COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析
[7月29日]
Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [July 29, 2020]
東京都が本日7月29日に発表した感染者数は250名でした。確定日別のデータは,28日分が210名です。27日分が236名(34名追加)に,26日分が107名(+3名)に増えました。
連休直後は"τ×平均2"が"τ×増加率"よりも値が小さかったのですが,28日の値も小さいままです。"τ×増加率"のカーブは小さな発表数の影響を受けて,計算での感染ピークは7月29日に早まりました。
月曜日と火曜日のPCR検査の数が連休前の水準に近づき,陽性率も6.5%と安定していること,"τ×増加率"も次第に減少したことから,感染ピークの変曲点に近いことが判ります。
早まったのには,人々が感染拡大を自覚して適切に行動したこと,天候の不順,連休での行動の自粛などが寄与しているかもしれません。収束傾向が早まると,全体としての感染者数(ピークとその前後の数にほぼ比例)が大きく減少することを意味しています。
これまでは木曜日と金曜日の発表数が著しく大きかったので,この木曜日と金曜日の発表にはとくに注目です。感染者数"日別calc"のピークは,大きな変動が無ければ今週末です。
"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。
グラフの見方
感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。
累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。
"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。
最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ
(tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。
日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。
これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。
"累計calc'","日別calc"と"τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。
日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc"と"τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率"と"τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。
"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。
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