COVID-19 日本の感染者数プロファイルの解析
[7月17日]
Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Japan [July 17, 2020]
日本国内でのCOVID-19感染者数(朝日新聞発表,7月18日現在)の累計値を,ロジスティック関数への最適化で解析しました。
先週の後半よりも感染者数が大幅に増え,棒グラフの"日別obs"は大きく変動しています。綠の実線の"日別calc"はこれらをよく追随しています。この先もまだまだ増えそうです。
"τ×増加率"は関数から得られる実効再生産数に相当する値(ロジスティック関数について独自に定義しています),"τ×平均"は日別の感染者数から算出した実効再生産数の相当値です。計算モデルが妥当ならば,累計数が増えるにしたがって,"τ×平均"は"τ×増加率"に近づくはずです。第1波はこれを示しています。第2波の値は現在0.5程度です。
初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,第1波はおよそ1.8で東京都よりは小さめ,第2波はこれまでの経過からは1.6程度でやや大きめです。第1波は東京都よりは緩やかに,第2波はすこし急に感染が拡大しているようです。ただし,これらの特徴は,東京都も含めた日本全体をひとまとめで解析した結果です。
「グラフの見方」は図の下方に挙げました。
7月18日まで掲載の日本国内の感染者数の累計データに基づいています [クリックで拡大] |
"τ×平均2"の値が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。
グラフの見方
感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。
累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計calc'"をプロットしています。
"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。
最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ
(tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。
日別の感染者数から見積もることができる,"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。
これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。
"累計calc'","日別calc"と"τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。
日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc"と"τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率"と"τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。まだまだ先のようです。
"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計はほとんど同じ値になります。
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