COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析
[7月28日]
Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [July 28, 2020]
東京都が本日7月28日に発表した感染者数は266名でした。確定日別のデータは,27日分が202名です。26日分が104名(37名追加)に,25日分が189名(+12名)に増えました。これら感染者数の大多数は連休中に検査に付された方々についてのものでしょう。
連休直後のため,"τ×平均2"が"τ×増加率"よりも値が小さく,25日と26日の値はとくに小さくなっています。"τ×増加率"のカーブは小さな発表数の影響をそれほどは受けてはいませんが,感染ピークは7月30日になりました。感染者数"日別calc"のピークは,今後の変動があったとしても,今週末か来週早々です。
今後,連休中の少なかった検査数の反動で,日別の感染者数が2倍近くに大きくなると考えられることから,日別の増加数の軸の最大値を大きくしてあります。
ワクチン開発が世界中で加速されているとのニュースを見聞きします。感染を拡大させない免疫保持者(集団免疫)の割合は,基本再生産数 R0 を用いると 1-(1/R0) で表されます。第1波の見かけの R0 が2.0でしたので約5割が必要です。第2波の見かけの R0 は1.55程度なので約3割が必要となります。緩やかな第3波ならば R0 はもっと小さくなり,感染拡大もより緩やかとなり,集団免疫に必要な割合もさらに低下することになります。
"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。
グラフの見方
感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。
累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。
"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。
最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ
(tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。
日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。
これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。
"累計calc'","日別calc"と"τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。
日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc"と"τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率"と"τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。
"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。
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