2020/07/11

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [7月11日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[7月11日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [July 11, 2020]


東京都が本日7月11日に発表した感染者数は206名でした。確定日別のデータは10日が171名です。9日分は220(+29)名へと遡ってまたまた増えました。

確定日別データの最新発表日の前日の値


確定日別データの約80%が前日分で,残りの多くが前日の前の日の分となっています,10日分は翌日以降に約20%が追加されると思われます。この解析では,このような状況であっても,データをそのまま使用してきました。検討したところ,発表があった当日の値を前日の仮の値とする(171を206とする)方が,確定日分として翌日以降に追加されるであろう約20%分を含むため,解析結果が良好です。そこで,当面はこのように取り扱います[12日改良]。

感染者数が連日で大幅に増えたのにも関わらず,矢印で示す"τ×平均2"値は少し低下しました(先述の改良によって値の挙動がかなり改善されました)。ここ数日の0.5を超える値は,4月13日頃のピークに匹敵する値です。平均的な実効再生産数に相当する"τ×増加率"は大きくなり,下降傾向も小さくなって,ピークから収束へ向かう傾向は全く見通すことができません。

"日別obs"の増加を反映して,"累計calc'"と"日別calc'"の計算値が今後に向けて大きな立上りの傾向です。これらの傾きは,4月上旬の傾きに近くなってきました。しかし,ピークに向かう様子は読み取ることはできません。2つのプロファイルの比較から,第1波の数倍の累計感染者数になるのではと危惧されます。第1波は予兆波で,今回を第2波としても主要波と見なせそうです。

最近の4日間の感染者数は,区部が545名,市部が72名です。区部は人口10万人当たり5.6名の増加で,新宿区が48名と突出しています。市部の人口10万人当りの増加は1.7名で,これは周辺3県と同じような値です。全期間の累計についても周辺3県と同じような値です。市部は新宿区の約28分の1なのです。
Fig. 1. 7月11日発表の東京都の確定日別データ(7月10日まで)に基づいています[12日改良版]

計算,理論,説明などは,7月2日分(7月3日にアップ)をご覧ください。

"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

致死率が減少傾向


東京都の致死率が減少の傾向が顕著になってきました。これは,感染者の多数が40歳以下になってきたことに対応しています。致死率は罹患率(人口10万人当りの累計感染者数)のプロファイルに遅れて現れますが,これを考慮しても,確実に減少しています。最近の死亡者数がとても少ないこと,また,重症化する患者数が少ないことにも合致します。40歳以下の年代では死亡例は極めて少なく,東京都の第1波では0で,重症化もほとんど見られませんでした。

東京都の致死率は4.2%,日本全体でも4.8%です。これは,米国,ブラジル,イラン,ドイツなど感染者が多い国々とほぼ同じ値で,日本が際立って低いのではありません。ただし,日本の罹患率はこれらの国々の数10分の1です。罹患率と致死率の積が死亡率で,死亡率はそうすると数10分の1となります。死亡率の低さを論じている記事も散見されますが,致死率と感染者の年代構成で説明ができそうです。若い年代が多い国々は致死率が低くなっています。

日本の肺炎の年間死亡者は約8-10万人で,ほとんどは高齢者です。COVID-19の死亡者はまだ1,000名以下ですので,高齢者の罹患を防がねばなりません。 
Fig. 2. 東京都のCOVID-19の致死率(%)

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