2021/02/14

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [2021年2月14日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [2021年2月14日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [Feb. 14th, 2021]

 
東京都が本日2021年2月14日に報道発表した感染者数は371名でした。感染の診断が確定された日の"確定日"ベースでは,感染者数は漸次に修正・更新されていきますが,1月6日の2,549名が現時点での日別の最大数で,1月26日の1,075名の後は1千名を越える日は無く,減少の傾向が続いています。しかしながら,1月24日以降は減少のペースが緩やかになり,これまでの解析プロファイルとの一致が低下しました。そこで,第3波に新たなプロファイルCを導入し,感染者数のプロファイルの解析を本日の確定日データで更新しました。
 
前回のブログ(2月7日更新)の"東京都の感染者数プロファイルの解析"までは,第3波を2つのプロファイルAとBで表していました。新たなプロファイルCを導入した第3波についての環境収容力(全期間の感染者数)の合計は約79,100名となり,前回よりも約3,000名増えました。以下の日付は確定日ベースで,報道発表データよりは概ね1日早くなります(1日差し引く)。なお,実効再生産数は感染が生じた日が基準なので,"再生産率"を実効再生産数に対応させる際は日付から7日を差し引いてグラフをご覧ください。
 
図1は,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),本ブログの解析による日別の感染者数の計算値(日別calc),そして"再生産率"を挙げます。"第3波"としてはプロファイルA,BとCの和として日別の感染者数の計算値をプロットしてあります。黒い破線の"第3波B1/23"は,1月23日時点での第3波Bの計算値です。
 
"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1でピーク,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。再生産率は,日別の感染者数のピークにあたる変曲点の1月10日に1を切ってからは1を下回っていますが,2月4日前後には0.74まで上昇しました。その後はまた減少に戻って,現在は0.40の低い値になっています。
 
第3波のプロファイルAは,基本再生産数相当値(R0)が1.5,環境収容力(全期間の感染者数)が約24,560名,変曲点が11月30日となりましたプロファイルBは,R0が1.9,環境収容力は約49,370名,変曲点は1月10日です。プロファイルCは,R0が2.3,環境収容力は約5,200名,変曲点は2月6日です。前回のBの環境収容力は約57,200名でしたが,今回との差は主にAに割り振られ,Cにも増加分とし約3,000名が含まれています。 なお,Cが日別感染者数として最初に出現するのは1月1日以降です。
 
第3波B1/23は,R0が1.9,環境収容力は約47,840名,変曲点は1月10日なので,ほとんど1月24日からプロファイルBには変化はありません。緊急事態宣言はBには影響を及ぼしてはいないと言えます。緊急事態宣言が寄与してくる1月24日以降にCが明確に現われ,減少のペースが鈍化したように,感染者数だけを見れば思われがちです。実際には,緊急事態宣言が無い場合の東京都のデータが存在しないので,比較は本来できないものです。ただ,緊急事態宣言が発出されなかった茨城県の場合は,Bに対応するプロファイルは幅広になっている(基本再生産数相当値が小さくなる)こと,Cに対応するプロファイルがBに比べて大きめであることから,茨城県(北海道もほぼ同じ傾向)と比較すると,緊急事態宣言の効果が東京都の場合は小さいながらも確実にあったと言えそうです。
 
1. 東京都が2月14日発表の確定日別データ(2月13日まで)に基づく [図をクリックすると拡大]

図2に東京都の感染者数プロファイルの詳細を示します。第3波に先行するプロファイル(日別感染者数はD f2' calc),第3波のプロファイルA(D f3A calc),プロファイルB(D f3B calc),プロファイルC(D f3C calc)とこれまでのすべてを合成した計算値(日別calc)を示しています。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')も図2に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1となるように規格化した値です)。

図2. 東京都の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]
 
第3波の3つの近接・連続するプロファイルのパラメータは,一連の累計感染者数データから求めた便宜的なもので,和としてのプロファイルの方が意味のあるものです。第3波についての"τ×平均"と"τ×増加率"は第3波BにCの寄与を繰り込んだものです。この2つの指標が合致していれば,データへのプロファイルの最適化が良好であることを意味します。

図の見方は,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご参考ください。

2021/02/13

COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [2021年2月13日]

COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [2021年2月13日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Ibaraki Pref. [Feb. 13th, 2021]

茨城県の新型コロナウイルス感染症の感染者数のプロファイルをロジスティック関数への最適化により解析しました。使用したデータは,茨城県が公表している「新型コロナウイルス感染症陽性者一覧」で,本日2021年2月13日までの最新の累計感染者数です。

茨城県については,前回のブログ"COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [1月30日]"では,第3波としては3つのプロファイルで表していました。12月半ばから増加していた第3波のプロファイルCは,1月14日にピークに達した後に順調に減少を続けていましたが,1月24日頃からは減少のペースが遅くなりました。そこで,新たなプロファイルDを導入し,これまでと同じ方法で感染者数のプロファイルを解析しました,その結果,感染者数の経過をより詳細に表すことができました。 

図1に,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),累計の計算値から得られる日別の感染者数の計算値(日別calc)をプロットしました。なお,9月26日以前のグラフについては過去のブログをご覧ください。第3波AからDは,第3波の個別のプロファイルによる日別の計算値です。黒い破線の"第3波C1/23”は,1月23日の解析で得られた第3波Cのプロファイルで,本日の結果による"第3波C"との比較のために載せました。

図1. 茨城県の感染者数と最適化による計算値: 2月13日結果 [図をクリックすると拡大]

Data source: 茨城県が公表している「新型コロナウイルス感染症陽性者一覧」https://www.pref.ibaraki.jp/1saigai/2019-ncov/ichiran.html

図の"再生産率"は,実効再生産数に相当する指標で,ある日の日別calcの傾き(微分係数)から7日後の感染者数を計算し,ある日の感染者数で除しています。再生産率が1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1ならばその状態が継続,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。1を切る時点がピークです。

第3波はプロファイルA,B,CとDで表されています。これらの環境収容力の和は約4,690名(前回のブログでは約4,320名)で,今後の感染者も含めた第3波全体の累計感染者数です。プロファイルAとBは既に終息しており,現在はCとDが主体です。Cの環境収容力は約3,000名で,前回の約3,020名とほぼ同じです。基本再生産数の相当値は1.90,変曲点(ピーク)は1月14日で,Dの導入によって,1月23日の解析とほとんど同じプロファイルに収束しました。このことは,解析の確度が極めて高いことを証明しています。

プロファイルDは,環境収容力が約410名,基本再生産数の相当値が2.90,変曲点が2月6日で,減少を続けているCに乗っていて,しかも変曲点からの経過日数が短いため,まだ確度は低いと思われます。なお,現在の再生産率が0となっているのは,CとDが合わさった感染者数の減少のペースが大きいためで,プロファイルの将来の計算値から再生産率を算出する方式では0.3程度になります。

第3波は,1月24日頃から減少のペースが遅くなり,2月1日頃には再生産率が1に近くなって減少にいったんブレーキがかかりました。その後は,Dが変曲点を越えたので,減少のペースが急に大きくなりました。Dの基本再生産数相当値が大きいのでその減少も急で,2月下旬にはほとんど寄与しなくなり,Cのペースでの減少ペースの多くを占めます。Dは,1月17日頃に発生し,これまでのA,BとCのプロファイルとは異なるものです。感染者数プロファイルをこのブログの方法で解析することには,新たな感染プロファイルの発生を感知できるという大きなメリットもあります。

図2. 茨城県の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]
 
図2は,各プロファイルからの日別感染者数の計算値(第3波のAがD f3A calc,BがD f3B calc,CがD f3C calc,DがD f3D calc)と,これらを合成した計算値(日別calc)を示します。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')は図2に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1.2となるように規格化した値です)。
 
第3波CにDを繰り込んだ"τ×平均"と"τ×増加率"の指標を図2に示しています。τ×平均は実質的な増加率であり,最適化の計算で得られるτ×増加率が上下に振れながら,τ×平均を追随しています。

図の見方などについては,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。

2021/02/07

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [2021年2月7日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [2021年2月7日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [Feb. 7th, 2021]

 
東京都が本日2021年2月7日に報道発表した感染者数は429名でした。累計の感染者数は2月1日に10万名を越え,本日は103,845名となりました。感染者数は,最大数が1月7日の2,447名で,29日以降は1,000名未満となり,確実に減少しています。感染の診断が確定された日の"確定日"ベースでは,感染者数は漸次に修正・更新されていきますが,6日の2,548名が現時点での最大数です。1千名以上となった最後は1月26日でした。感染者数のプロファイルの解析を本日の確定日データで更新し,以下に述べます。
 
第3波についての環境収容力(プロファイルの全期間の感染者数)の合計は約76,000名となり,東京都の感染者数では,第3波が3/4を占めるに至りました。致死率は低下傾向にありましたが,1月22日頃の0.84の最小値を底に,0.98まで上昇しました。また,感染の様式が,施設などからのクラスター感染(Clusters of cases)から,感染経路が特定できないケースが増えた市中感染(Community transmission)に変化したことが,自治体別の感染者数からも示唆されます(後述)。

前回のブログ(1月30日更新)の"東京都の感染者数プロファイルの解析"では,第3波の2つのプロファイルAとBのうち,後の方のプロファイルBが第3波の大部分を占め,変曲点(日別の感染者のピーク)は1月10日で,速やかな減少を続けていること,しかし,僅かに幅が広くなってきたこと指摘しました。本日までのデータでは,幅が広がる,すなわち減少のペースが低下する傾向がより強まっています。
 
確定日ベースの感染者数を用いて,これまでと同じ方法によってロジスティック関数の最適化を行ない,感染者数のプロファイルを解析しました。なお,以下の日付は確定日ベースで,報道発表データよりは概ね1日早くなります(1日差し引く)。なお,実効再生産数は感染が生じた日が基準なので,"再生産率"を対応させる際は日付を7日程度差し引いてグラフをご覧ください。
 
図1は,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),本ブログの解析による日別の感染者数の計算値(日別calc),そして"再生産率"を挙げます。"第3波"としてはプロファイルAとBの和として日別の感染者数の計算値をプロットしてあります。黒い破線の"第3波1/23"は,1月24日時点の解析による第3波の計算値です。
 
"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1でピーク,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。再生産率は,日別の感染者数のピークにあたる変曲点の1月10日に1を切ってから順調に低下し続け,現在は0.31まで低下しています。
 
第3波のプロファイルAは,基本再生産数相当値(R0)が1.6,環境収容力(全期間の感染者数)が約19,400名,変曲点が11月26日となりましたプロファイルBは,R0が1.76,環境収容力は約57,200名,変曲点は1月10日です。です。前回のブログよりも基本再生産数相当値が小さくなりました (時間・空間的に広がった)。
 
本日の第3波プロファイルは,1月24日頃からは"第3波1/23"よりも広がり,減少のペースが緩やかになっています。AとBの環境収容力の和は76,550名となり,第3波1/23の和の73,130名よりも,3,420名だけ増えました。現在の和のうち,本日までに感染者数として出現したのは73,630名で,今後も現在のプロファイルが継続した場合に見込まれる感染者数は2,920名となります。なお,これまでの解析の実績からは,変曲点を3週間程度経過後の環境収容力の確からしさ,およそ1%なので,これら数値は確度が高いものです。
 
1. 東京都が2月7日発表の確定日別データ(2月6日まで)に基づく [図をクリックすると拡大]

実際の感染のピークは2日ないし3日となり,6日からの大きな感染者数が報道される前,緊急事態宣言の発出の8日のもっと前です。発症のピークが4日という東京都のエピデータともよく対応します。プロファイルは23日頃までは,日別aveともよく合致し,また解析の詳細を表す図2の平均も増加率の追随性が良好です。解析によるプロファイルはほぼ1月半の期間から得られているので,このような合致は,23日頃までは緊急事態宣言の発出の影響がほぼ無いこと,それまでの感染への対応が継続していたことを意味します。この時点までの感染者数の減少は,年初の多数の感染者によって都民にブレーキが働いたのではなく,それ以前の対応の結果であると理解できます。
 
1月24日以降は,第3波1/23よりも現プロファイルが上方にあり,実際の感染者数と日別aveが現プロファイルよりも上方にあります。これは減少の傾向が減速していることを示します。24日以降は緊急事態宣言の効果が現れてきているはずで,そうならば減少の傾向が強まるはずですが,解析の結果はその逆の結果を示しています。ただし,このことは緊急事態宣言の効果が無い(あるいは逆の効果をもたらした)ことを意味しているのではありません。緊急事態宣言が無かった場合の事例データは存在せず,比較できないからです。もしも緊急事態宣言が無かったら,感染数がもっと増えていたかもしれないのです。
 
緊急事態宣言が発出された埼玉県,千葉県と神奈川県の場合には,1月下旬にはプロファイルに減少傾向の加速が見られます。このような加速の傾向は通常は見られないことから,宣言の効果があったと考えることができます。ただ,これら3県の変曲点が東京都よりも遅く,効果が現れやすい時期であった可能性があります。緊急事態宣言がどれほどあるのかは,その社会・経済に与える影響は甚大で,効果の検証には綿密な分析が必要ですが,効果の検証は極めて重要です。しかるに,緊急事態宣言が発出された4月から5月の効果の検証が充分になされたとは言えず,残念です。財政,政策など政治・行政の効果検証をしっかりと行うことが我国の課題(マスコミ,専門家などの責務)なのではないでしょうか。

図2. 東京都の感染者数プロファイルの最適化の詳細: 2月7日付 [クリックで拡大]

第2波の"主要"なプロファイル(日別感染者数はD f2 calc),第3波のプロファイルA(D f3A calc)とプロファイルB(D f3B calc),これらすべてをを合成した計算値(日別calc)を図1と図2に示しています。"第3波"はAとBの和です。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')は図2に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1となるように規格化した値です)。

第3波の2つの近接するプロファイルのパラメータは,連続的な累計感染者数から求めた便宜的なもので,和としてのプロファイル(図1と2の"第3波")の方が意味のあるものです。東京都,周辺の埼玉県,千葉県と神奈川県の場合は同じようなプロファイルで,感染者数が増加の傾向が続き,ピークにはまだ到達していません。

図2に東京都の感染者数プロファイルの詳細を示します(2月16日まで)。第3波についての"τ×平均"と"τ×増加率"は第3波Bに関するものです。τ×平均は実質的な増加率であり,年初には大きく減少していますが,その後は12日頃までは増加しています。この増加分を年初の減少分に移動すると,最適化で得られるτ×増加率の追随性を著しく改善します。年初の大きな減少がその後の増加で相殺されていること,23日頃までは両方の指標が合致することから,これら期間の実際の感染者数はプロファイルの範疇にあることを証明しています。なお,24日以降はτ×平均がτ×増加率よりも僅かに大きくなっており,また累計obs'よりも累計calc'よりもやはり多めになっています。これは図1で見られた感染者数の減少が減速傾向であることに対応しています。

図の見方は,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご参考ください。

自治体別感染者数: 東京都の感染者数を自治体ごとに,人口10万人当たりの1週間または5日間の新規感染者数で比べ,図3と図4に示します。2021年1月19日からは,自治体ごとの相対的な偏差は小さくなり,感染リスクはどこでも同じようです。 第3波では,夜の街・飲食店が多そうな区が感染の大部分を占めていました。

図3. 東京都の2021年1月中旬の自治体(区部と市部)ごとの感染者数

図4. 第3波での自治体ごとの感染者数

特別区部と市部を,人口10万人当たりの1週間の新規感染者数で比べてみたのが図5です。 第2波の7月には区部が市部の約7倍,第2波で約3倍,11月23日以降は2倍を下回りました。 1月18日以降は1.36倍まで低下し,自治体間の差が縮小(市中感染に変化)しています。様々な解釈があり得ますが,たとえば飲食店等の感染が区部では減少した結果が反映されているなどです。なお,この時期には65歳以上の感染者が占める割合も増加していました。

図5. 特別区部と市部の感染者数とその比率の変化