2021/02/13

COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [2021年2月13日]

COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [2021年2月13日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Ibaraki Pref. [Feb. 13th, 2021]

茨城県の新型コロナウイルス感染症の感染者数のプロファイルをロジスティック関数への最適化により解析しました。使用したデータは,茨城県が公表している「新型コロナウイルス感染症陽性者一覧」で,本日2021年2月13日までの最新の累計感染者数です。

茨城県については,前回のブログ"COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [1月30日]"では,第3波としては3つのプロファイルで表していました。12月半ばから増加していた第3波のプロファイルCは,1月14日にピークに達した後に順調に減少を続けていましたが,1月24日頃からは減少のペースが遅くなりました。そこで,新たなプロファイルDを導入し,これまでと同じ方法で感染者数のプロファイルを解析しました,その結果,感染者数の経過をより詳細に表すことができました。 

図1に,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),累計の計算値から得られる日別の感染者数の計算値(日別calc)をプロットしました。なお,9月26日以前のグラフについては過去のブログをご覧ください。第3波AからDは,第3波の個別のプロファイルによる日別の計算値です。黒い破線の"第3波C1/23”は,1月23日の解析で得られた第3波Cのプロファイルで,本日の結果による"第3波C"との比較のために載せました。

図1. 茨城県の感染者数と最適化による計算値: 2月13日結果 [図をクリックすると拡大]

Data source: 茨城県が公表している「新型コロナウイルス感染症陽性者一覧」https://www.pref.ibaraki.jp/1saigai/2019-ncov/ichiran.html

図の"再生産率"は,実効再生産数に相当する指標で,ある日の日別calcの傾き(微分係数)から7日後の感染者数を計算し,ある日の感染者数で除しています。再生産率が1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1ならばその状態が継続,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。1を切る時点がピークです。

第3波はプロファイルA,B,CとDで表されています。これらの環境収容力の和は約4,690名(前回のブログでは約4,320名)で,今後の感染者も含めた第3波全体の累計感染者数です。プロファイルAとBは既に終息しており,現在はCとDが主体です。Cの環境収容力は約3,000名で,前回の約3,020名とほぼ同じです。基本再生産数の相当値は1.90,変曲点(ピーク)は1月14日で,Dの導入によって,1月23日の解析とほとんど同じプロファイルに収束しました。このことは,解析の確度が極めて高いことを証明しています。

プロファイルDは,環境収容力が約410名,基本再生産数の相当値が2.90,変曲点が2月6日で,減少を続けているCに乗っていて,しかも変曲点からの経過日数が短いため,まだ確度は低いと思われます。なお,現在の再生産率が0となっているのは,CとDが合わさった感染者数の減少のペースが大きいためで,プロファイルの将来の計算値から再生産率を算出する方式では0.3程度になります。

第3波は,1月24日頃から減少のペースが遅くなり,2月1日頃には再生産率が1に近くなって減少にいったんブレーキがかかりました。その後は,Dが変曲点を越えたので,減少のペースが急に大きくなりました。Dの基本再生産数相当値が大きいのでその減少も急で,2月下旬にはほとんど寄与しなくなり,Cのペースでの減少ペースの多くを占めます。Dは,1月17日頃に発生し,これまでのA,BとCのプロファイルとは異なるものです。感染者数プロファイルをこのブログの方法で解析することには,新たな感染プロファイルの発生を感知できるという大きなメリットもあります。

図2. 茨城県の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]
 
図2は,各プロファイルからの日別感染者数の計算値(第3波のAがD f3A calc,BがD f3B calc,CがD f3C calc,DがD f3D calc)と,これらを合成した計算値(日別calc)を示します。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')は図2に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1.2となるように規格化した値です)。
 
第3波CにDを繰り込んだ"τ×平均"と"τ×増加率"の指標を図2に示しています。τ×平均は実質的な増加率であり,最適化の計算で得られるτ×増加率が上下に振れながら,τ×平均を追随しています。

図の見方などについては,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。

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