2020/09/30

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析[9月30日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [9月30日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [September 30th, 2020]

 
東京都が本日9月30日に発表した感染者数は194名で,連休後の先週後半の感染者数の多さは,週が明けてもまだ一段落していないようです。このブログで9月17日に記載した"東京都の感染指数プロファイルの解析"で指摘した傾向について,本日までの確定日別の感染者数を用いてプロファイルの解析を更新しました。9月17日に述べたこととほぼ同じような感染者数のプロファイルが継続していますが,ここ数日は,プロファイルを越える感染者数の兆候が伺えます。
 
図1に,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),本ブログの解析による日別の感染者数の計算値(日別calc)を挙げます。第2波の主要なピークの計算値は7月23日に記した"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のプロファイルとほぼ同じです。
 
図1. 9月30日発表の東京都の確定日別データ(9月29日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大]

9月に入ってから,日別感染者数が計算値を上回る日々が増え,9月17日のブログで述べたように,第1波のプロファイル(日別感染者数はD f0 calc)と第2波のプロファイル(D f1 calc)に,"第2+β波"のプロファイル(D f2 calc)も計算に含め,これらを合成した計算値(日別calc)が図1に示しています。感染者数の累計値(累計obs)に計算値を最適化した結果(累計calc)も図1に示してあります。第2+β波の導入により,報告値と計算値の一致が良好となっています。

図2に東京都の感染者数プロファイルの詳細を示します。第2波についてτ×平均1とτ×増加率1,第2+β波についてτ×平均2とτ×増加率2も図に記載してあります。τ×平均は実質的な増加率であり,最適化で得られるτ×増加率を追随しています。ただ,7月下旬の連休で報告される感染者数の減少を反映してτ×増加率を下回り,その直後は報告数の増加を反映して上回るといように,感染者数の変化も表現しています。こような現象は,8月の連休,そして9月の連休でも表れています。ただ,先の9月の連休後の増加の結果は未だ進行中のようです。

図2. 東京都の感染者数プロファイルの詳細
 
第1波の環境収容力(プロファイル全体の累計感染者数)は5,080,変曲点は4月13日,基本再生産数相当値は2.0と,前回と同じ値です。第2波の環境収容力は16,880,変曲点は7月31日,基本再生産数相当値は1.53とやはりほぼ同じです。

"第2+β波"については,前回はデータ数が少なかったことから,環境収容力はおよそ4,200,基本再生産数相当値は1.9程度と見積もりました。今回の解析では,環境収容力は5,400と大きくなり,第1波を越える数となりました。変曲点は9月19日,基本再生産数相当値は1.7となりました。これら数値の変化は,先の結果よりも第2+β波が大きくなり,まだ拡大の傾向を持っているいることを示唆します。第2+β波のこれまでの感染者数の寄与は約4,000名まで増えました。3波の合成値である累計calcは報告数とよく合致しています。

9月5日以降は,第2+β波が寄与する日別の感染者数が第2波の分よりも多くなり,現時点では第2+β波の寄与が89%と,大部分を占めています。第2+β波は変曲点を過ぎたと思われ,基本再生産数相当値が第1波に近いやや大きい値であることから,減少のペースは第2波よりも速やかです。第2波も日別の感染者数は緩やかに減少していますが,第2+β波と合わせたプロファイルは第2波の減少のペースよりも少し大きくなります。図2の本日のプロットをよく見ると,これらの傾向が把握しやすいでしょう。

ここ数日の感染者数の報告数と解析の結果を見ると,報告数が解析数を少しながら上回っています。この後の数日の感染者数の如何に注目する必要があります。なお,図の見方は,以下,あるいは,COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。
 

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。

2020/09/22

COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [9月21日]

COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析

[9月21日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Ibaraki Pref. [September 21st, 2020]


茨城県の新型コロナウイルス感染症の感染者数のプロファイルをロジスティック関数への最適化により解析しました。使用したデータは,茨城県が公表している「新型コロナウイルス感染症陽性者一覧」で,最新の9月21日までの累計感染者数です。
 
茨城県の人口は約289万人で,累計感染者数は627名なので,10万人当たりの感染者数(罹患率)は21.5人です。この値は,東京都の173人の1/8,埼玉県,千葉県や全国と比べても1/3と小さい。致死率(感染者数に対する死亡者数: これまでで16名)は2.6%で,最新の東京都の値1.6%,全国の値1.9%に比べるとやや高めですが,とくにきわだった値ではありません。全国的には第2波の致死率は0.7%程度に低下しているので,茨城県の最近の致死率も低くなっているはずです(50歳以下の致死率と重症化の割合は極めて低い)。
 
本ブログでの解析については,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"を参照ください。CompartmentモデルのSIRDモデルへの対応付けについては"COVID-19 感染者数プロファイルの概形"をご覧ください。
 
図1に, 累計の感染者数(累計obs')と解析で得られたその計算値(累計calc')を示します。これらは最新の累計の感染者数(最大値)で除して,規格化しています。日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),累計の計算値から得られる日別の感染者数の計算値(日別calc)をプロットしてあります。
 
感染者数は整数値で,茨城県の場合は数が小さいため,極めて離散的です。計算値は実数で,連続的なので,一見すると日別感染者数とその計算値の一致が良くないように見えますが,前者が離散的なことに対応しています(1目盛りが1人です)。日別aveは,週内の報告数の変動(土日曜日,休日とその直後は数が少ない)を和らげていて,また実数となるので,計算値との一致度は良くなっています。
 
茨城県の場合は感染者数が少ないこともあり,小規模のクラスターの発生があると日別感染者数は目立って大きくなります。例えば,4月1日の近傍の大きな数は,神栖市やつくば市などのクラスターによるものです。また,7月24日頃の数はそのころの連休日による報告数の減少を表し,その後の週は連休後の診断数の増加を反映しています。このブログで述べている解析では,累計数の経時変化みを用いているので,減少と増加があっても相殺する場合は結果にはあまり影響しません。

4月上旬の第1波の解析では,環境収容力(そのプロファイル全体の感染者数)は168で,正確に報告数と合致しています。変曲点(日別感染者数のピーク)は4月8日,基本再生産数の相当値(1人の感染者が引き起こす新たな感染者の数の目安)は2.2です。変曲点は他の都道府県よりも1週間ほど早くなっています(これは先述のクラスターが解析に影響しています)。茨城県の最初の感染者は3月17日で,他の都道府県に比べて遅かったのですが,第1波の収束は5月の連休のうちで,早いものでした。これはやや大きな基本再生産数相当値と関連しています。
 
第2波は,変曲点が8月6日,環境収容力が378,基本再生産数1.7のプロファイルが主たるものです。これに,変曲点が9月8日,環境収容力が108の小さなプロファイルを加え,これを"第2+β波"として解析しました。この第2+β波は,現時点では報告数が少なくて誤差が大きいので,基本再生産数相当値は東京都の値1.8を用いたものです。なお,これまで示してきた"τ×平均"のプロットを図1では省略しました。茨城県の場合も"τ×平均"は"τ×増加率"を追随していますが,報告数が少ないためにばらつきが大きく,図が込み合ってくるためです。

図1. 茨城県の感染者数と最適化による計算値 [図をクリックすると拡大]
 
Data source: 茨城県が公表している「新型コロナウイルス感染症陽性者一覧https://www.pref.ibaraki.jp/1saigai/2019-ncov/ichiran.html
 
累積の感染者数(累計obs)について最小二乗法により3つの関数プロファイルを最適化しました。図2は,各プロファイルからの日別感染者数の計算値(第2波の主要な分がD f1 calc,第2+β波の分がD f2 calc)と,これらを合成した計算値(日別calc)を示します。
 
図2. 茨城県の累計感染者数と感染者数プロファイル
 
第2+β波は,第2波のピークの近傍から現れだしましたが,第2波に近い関数のパラメータとなっています。そのため,第2+β波の今後の推移は第2波を見ると推察できます。第2波はほぼ収束状態にあり,現在は小さな第2+β波の寄与が多くを占めています。これらの和としても減少傾向なのでほどなく収束すると見込まれます。"第2+β波"の発生により,全体としての第2波は2-3週間は収束が遅れることになります。
 
茨城県の第2波は,感染者数が多い他の都府県よりも発生がやや遅く,ピークも数日遅めですが,基本再生産数が少し大きいので収束が早く,このままの経過が続けば10月の上旬には収束と見なせる状況(全県での1日当たりの平均の感染者数が1人未満)になるでしょう。なお,現時点でも,他者を感染させるような感染者の数(目安として,日別感染者数を実効再生産数で除した数)は100万人あたりで1人に満たない,極めて少ない数のはずです。
 
ところで,茨城県の交通事故の昨年度の統計(警察が把握している件数など)によると,事故の発生件数は7,447,負傷者数は9,368人,死亡者数は107人です。これまでの新型コロナ感染症の感染者は627人,死亡者数は16人です。ほかの疾患はもちろん,交通事故に合わない(起こさない)ようにしましょう。
 

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。

2020/09/17

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [9月17日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[9月17日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [September 17th, 2020]


東京都が本日9月17日に発表した感染者数は171名で,先週と同様にやや多めに推移しています。このブログで9月7日に記載した東京都の感染指数プロファイルの解析で指摘した傾向がより顕著になってきたと考え,本日までの確定日別の感染者数を用いてプロファイルの解析を更新しました。

図1に, 日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),8月22日前後の本ブログの解析による日別の感染者数の計算値(第1波についてD f0 calc,第2波についてD f1 calc)を挙げました。第2波の計算値は(7月23日に記した"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のプロファイルとほぼ同じものです),8月20日頃までの日別の感染者数の様子をよく反映しています。

図1. 東京都の確定日別の感染者数と最適化による計算値
 
しかし,その後は日別感染者数が計算値を上回る日々が増え,9月に入ってからはいっそう顕著です(青い矢印)。9月6日以降は,計算値よりも多く乖離している分が,計算値そのものよりも多い状態になっています。そのため,感染が拡大している,あるいは,"第3波"が発生しているのではと考える向きもありえます。

今回の解析では,乖離分に相当するロジスティック関数のプロファイルを追加し,累積の感染者数(累計obs)について最小二乗法により3つの関数プロファイルを最適化しました。図2は,各プロファイルからの日別感染者数の計算値(新たな分がD f2 calc)と,これらを合成した計算値(日別calc)を示します。累計obsに最適化した結果が累計calcで,一致がとても良好となっています。

図2. 東京都の累計感染者数と感染者数プロファイル

図3は,これまでのブログで示してきた感染者数プロファイルの詳細を表したものです。図の見方は,COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。また,下方にも挙げてあります。

第1波の環境収容力(プロファイル全体の累計感染者数)は5,080,変曲点(日別の感染者数のピーク)は4月13日,基本再生産数の相当値は2.0でした。第2波については,図1に記したプロファイルの寄与分を以下でも第2波とし,新たな追加プロファイルの寄与分を仮に"第2+β波"とよぶことにします。第2波の環境収容力は17,100,変曲点は8月1日,基本再生産数相当値は1.53です。

"第2+β波"については,変曲点は今週中だと考えられますが,データ数が少なくまだよく決まっていないために誤差が大きく,環境収容力はおよそ4,200です。基本再生産数は初期の値ですので値の変動がやや小さく,1.9程度です。"第2+β波"のこれまでの感染者数の寄与は約2,000名で,報告数とはよく対応します。この"第2+β波"は小さなものではなく,東京都の第1波に相当する,感染者数が多い他府県の大部分をも越えるくらい,大きなプロファイルです。
 
図3. 9月17日発表の東京都の確定日別データ(9月16日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大]

"第2+β波"は,第2波のピークの近傍から現れだしましたが,第1波に近い関数のパラメータとなっています。そのため,今後の推移は第1波を見ると推察できます。現在がピークだとすると,ほどなく減少に転じ,1か月間ほどで収束すると見込まれます。第2波も日別の感染者数は緩やかですが減少段階にあります。"第2+β波"も減少段階に入ることから,2つのプロファイルの和のプロファイルは第2波の傾きよりもより急峻に減少に向かうと考えられます。それでも,"第2+β波"の発生により,全体としての第2波は2-3週間は収束傾向が遅れることになります。
 
愛知県の感染者数プロファイルの解析(9月6日)では,"第2+α波"を記しました。この"第2+α波"は,第2波と同様に7月初めに最初の感染者が現れ始め,第2+α波はゆっくりと増え続け,8月半ばには第2+α波が優勢となり,8月20日をピークに,ゆっくりと減少し始めました。上記の"第2+β波"とは挙動が異なることから,東京都の場合をこのように"第2+β波"よびます。第3波とよんでも良いでしょう。なお,愛知県の最近のプロファイルを見ると,9月6日に指摘した"第2+α波"はその後も成り立っていて,さらに東京都の"第2+β波"に似た増加の傾向も現れだしました。このような傾向は大阪府などにも見受けられます。

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。

2020/09/07

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [9月7日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[9月7日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [September 7th, 2020]


東京都が本日9月7日に発表した感染者数は77名で,100名以下となったのは8月26日以来です。7月9日以来もっとも少ない人数です。
 
東京都の感染者数に関するブログは8月27日が最後でした。変曲点(日別感染数のピーク)は確定日ベースの8月2日16時となり,27日の解析からは1日遅くなりました。これは,8月20日頃から"τ×平均2"がやや高めに推移した(収束が遅くなった)結果,"τ×増加率"がわずかに小さくなったことにも反映しています。

"τ×平均2"が高めになる傾向は,愛知県(昨日のブログに記載)など,クラスター発生が頻発した人口が多い府県で著しいのですが,東京都でも同様の傾向がみられます。ただ,東京都の場合は感染者数プロファイルへの影響はわずかです。それでも,第2波全体の感染者数(環境収容力)に約500名増加をもたらしています。

日別感染者数のプロファイルを見ると,変曲点の8月2日のピークを中心に左右対称になっています。環境収容力が18,000名となりましたが,7月23日に記した"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のプロファイルとほぼ同じ経過をたどり続けています。 
 
東京都のサイト"東京都の最新感染動向"では,相変わらず"感染状況: 感染が拡大していると思われる"となっています。ピークアウトしてから1か月以上経過し,日別感染者数もピークの約1/4までも低下しているのに,なぜでしょうか。注意喚起を意図するならば,今後の見通しを含めた適切かつ的確な情報を提供してはいかがでしょうか。

このブログで8月27日にも書いたように,感染力を持つ感染者の数のピークは,感染者数の変化量のピーク(このブログでは変曲点)から,東京都の場合は7日ほど遅れて到来し,変曲点から2週間程度は感染力を持つ感染者の数が最も多い状態にあります。増加率が低下傾向にあったとしても,感染者数のピークを過ぎてからクラスターがなぜ発生し易いかを理解できると思います。愛知県に見られるように,他府県での傾向も同様ですが,感染力を持つ感染者の数のピークも過ぎていることから,全体としてもやや緩やかに収束に向かうでしょう。

グラフの見方」は図の下方に挙げてあります。
 
9月7日発表の東京都の確定日別データ(9月6日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大]
"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

 

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。

2020/09/06

COVID-19 愛知県の感染者数プロファイルの解析 [9月6日]

COVID-19 愛知県の感染者数プロファイルの解析

[9月6日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Aichi Pref. [September 6th, 2020]


愛知県が発表した感染者数を用いて,解析した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数のプロファイルを8月6日記載しました。その後,8月24日にも感染者数プロファイル解析を掲載しました。

以下は,本日9月6日発表のデータまでを用いた解析の結果です。8月24日では,クラスターの発生などの影響から,8月10日頃から感染者数が目立って増え,"τ×平均"が"τ×増加率"よりも大きくなって追随しきれておらず,プロファイルはこれまでの第2波の延長線上にないことを指摘しました。そこで,新たな第2波のプロファイルを追加しました。

感染者数のデータは5月17日から8月24日までの累計感染者数です。5月17日の累計感染者数を0名としています。日別の感染者数のばらつきが大きいことから,前後7日間の感染者数の移動平均を橙色の実線の"日別ave"としてグラフに示しています。解析については本ブログの"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のページをご覧ください。CompartmentモデルのSIRDモデルへの対応付けについては"COVID-19 感染者数プロファイルの概形"をご覧ください。
 
8月6日の計算での変曲点の日付は7月31日でした。これは"日別ave"のピークにも相当します。本日の解析では,図1に示すように,第2波の変曲点は8月1日になりました。"τ×増加率"の初めの頃の値から見積もった基本再生産数は2.6と,先の解析の値2.66とほとんど同じ値です。これは急峻な感染の拡大・収束を意味し,8月末には日別の感染者数はほぼゼロとなることを表してます。

8月12日以降は,"τ×平均"と"日別ave"が計算による回帰曲線を顕著に上まっています。これは,名古屋市での大きなクラスター,飲食店,高齢者施設などでのクラスターの発生を反映していると思われました。このように第2波と想定したプロファイルよりも増えた感染者数の寄与を第2+α波で最適化してみると,報告されている感染者数と全体プロファイルの一致が極めて良好になりました。

第2波の全累積感染者数(環境収容力)は2,760名,基本再生産数相当値は2.6,変曲点は8月1日です。図2に示すように,8月13日以降は第2+α波による日別感染者数(日別calc1)がd第2波の分(日別calc0)を上回り始め,8月末以降はほとんどが第2+α波の分です(日別calcは日別calc0と日別calc1の和)。第2+α波の全累積感染者数は1,550名,基本再生産数相当値は2.0,変曲点は8月20日です。
 
第2波も第2+α波も7月初めに最初の感染者が現れ始め,第2+α波はゆっくりと増え続け,8月半ばには第2+α波が優勢となり,8月20日をピークに,ゆっくりと減少し始めました。この傾向が続けば,9月下旬にはほぼ収束を迎えるでしょう。

グラフの見方」は図の下方にも挙げてあります。

図1. 愛知県が9月6日発表した感染者数のデータに基づいています [図をクリックすると拡大]
Data source:  愛知県新型コロナウイルス感染症対策サイト 
および https://github.com/code4nagoya/covid19/tree/development/data

"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。
図2. 累計感染者数(累計obs)について,第2波(感染者数の日別calc0)と第2+α波(日別calc1)のそれぞれのロジスティック関数の和としての累計calcを最適化しました。それぞれのパラメータは本文をご覧ください。

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。