2020/08/27

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [8月27日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[8月27日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [August 27th, 2020]


東京都が本日8月27日に発表した感染者数は250名です。確定日の8月26日分は184名,25日分は205名(59名追加)です。8月26日の発表数は236名25日は182名,24日は95名と週末に向かって増えています。この4日分の合計は763名で,1週間前の4日分の合計が893名でしたから,1週間で15%の減少です。なお,最適化計算からは1週間では約9%の減少ですから,やや実際の減少の幅の方が大きくなっています。
 
変曲点(日別感染数のピーク)は確定日ベースの8月1日10時となり,24日からは7時間遅くなりました。今週は,わずかですが,遅くなる傾向が続いています。これは"τ×平均2"がやや高めに推移している(収束が遅くなる)傾向と対応しています。"τ×増加率"にも変化はほぼありません。
  
日別感染者数のプロファイルを見ると,変曲点の8月1日のピークを中心に左右対称になっています。7月23日に記した"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のプロファイルとほぼ同じ経過をたどっています。

感染のピークについて報道が数日来ありました。このピークは何を根拠にしているのしょうか。日々の発表数の最大値あるいは移動平均値,確定日ごとの最大値あるいは移動平均値,発症日ごとの最大値あるいは移動平均値,などいろいろ考えられます。発症日については,このデータから実効再生産数を見積もっているようですが,発症日が不明な人や無症状の人は除外されていますし,発症日そのものが判ってくるのは報道発表日の1~2週間後と遅くなっています。どれをピークとするかは,データのばらつきにも左右されるので,27~29日のように幅を持たせた形の発表となるのでしょうか。
 
このブログでは,確定日ごとのデータから得た回帰曲線の"変曲点"としています。各波について,すべての日々のデータから計算される,累計の曲線では中点,日別数では頂点,"τ×増加率"の中点が,同じ変曲点にあります(図をご覧ください)。東京都では発症日の平均から確定日の平均まで5.0日と公表されています。発症日ベースならば,8月1日から5日前の7月27日がピークとなります。なお,このブログの解析での日時の定義は,発表日の午前0時にすべての数が発生したものとしています。細かいことであまり意味はありませんが,12時間後に発生時刻を移して考えても,感覚的には大差ありません。

ところで,7月18日の"COVID-19 感染者数プロファイルの概形 [東京都: 7月18日]" をご覧ください。感染者数として顕れるのは,感染力を持つ感染者(I),回復者(R)と死亡者(D)の合計(I+R+D)の変化量(-dS/dt)です。感染力を持つ感染者の数(I)は解析の上だけに現れます。この数の最大値をピークと考えるのが最も妥当でしょう。この感染者の数(I)のピークは,感染者数の変化量のピーク(このブログでは変曲点)から,東京都の場合は7日ほど遅れて到来し,変曲点から2週間程度は感染力を持つ感染者の数(I)は最も多い状態にあります。この期間がことさら注意すべきで,感染者数(I+R+D)のピークを過ぎてからクラスターがなぜ発生し易いかも理解できると思います。
 
グラフの見方」は図の下方に挙げてあります。
 
8月27日発表の東京都の確定日別データ(8月26日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大]
"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

 

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。

0 件のコメント:

コメントを投稿