2020/08/24

COVID-19 愛知県の感染者数プロファイルの解析 [8月24日]

COVID-19 愛知県の感染者数プロファイルの解析

[8月24日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Aichi Pref. [August 24th, 2020]


愛知県が発表した感染者数を用いて,解析した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数のプロファイルを8月6日記載しました。以下は,本日24日までの感染者数によるプロファイル解析の結果です。

感染者数のデータは5月17日から8月24日までの累計感染者数です。5月17日の累計感染者数を0名としています。解析については本ブログの"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のページをご覧ください。CompartmentモデルのSIRDモデルへの対応付けについては"COVID-19 感染者数プロファイルの概形"をご覧ください。

日別の感染者数のばらつきが大きいことから,前後7日間の感染者数の移動平均を橙色の実線の"日別ave"としてグラフに記しました。最適化計算では最近の累計感染者数の増加傾向を追随しきれておらず(赤い矢印),"τ×平均"は"τ×増加率"よりも大きくなっています(綠色の矢印)。追随しきれないのは,プロファイルはこれまでの延長線上にないことを意味しています。
 
先の計算での変曲点の日付は7月31日でした。これは"日別ave"のピークにも相当します。本日の解析では変曲点は8月3日になっています。"τ×増加率"の初めの頃の値から基本再生産数を見積もると2.26と見積もられ,先の解析の値2.66よりも小さくなり,収束が緩やかになっています。それでも,東京都の第2波の基本再生産数を1.55よりは大きな値であり,より急峻な感染の拡大・収束の傾向にあります。

プロファイルを見ると,8月8日頃にクラスター発生による感染者数の増大があり,その後1週間はそれまでのプロファイルに沿った経過をだとりました。最近の1週間は,"τ×平均"と"日別ave"が計算による回帰曲線を顕著に上まっています。これは,名古屋市の病院での大きなクラスター,飲食店,高齢者施設などでのクラスターの発生を反映していると思われます。

グラフと本文に示した内容は,上記のクラスターなどの寄与数を含めた最新の解析の結果を示したものです。"日別calc"は偶関数なので,変曲点を挟んで左右対称です。今後も同じ感染者数プロファイルが続くならば,9月初めのの日別感染者数は7月初めの感染者数と等しくなるはずです。
 
グラフの見方」は図の下方にも挙げてあります。

愛知県が8月24日発表した感染者数のデータに基づいています [図をクリックすると拡大]
Data source:  愛知県新型コロナウイルス感染症対策サイト 
および https://github.com/code4nagoya/covid19/tree/development/data

"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。

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