2020/08/28

COVID-19 日本の感染者数プロファイルの解析 [8月28日]

COVID-19 日本の感染者数プロファイルの解析

[8月28日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Japan [August 28th, 2020]



日本国内でのCOVID-19の感染者数(朝日新聞発表,8月28日現在)の累計値を,ロジスティック関数への最適化によって解析しました。
 
7月30日に掲載した前回の解析の結果からは,第2波の基本再生産数に対応する値が0.07だけ大きくなり,およそ1.65となりました。また,変曲点(日別の感染者数のピーク)が8月6日に確定しました。感染者数のプロファイルには変更はほとんどありません。
 
日別の感染者数は棒グラフの"日別obs"で,大きく変動していますが,綠の実線の"日別calc"はこれらをよく追随しています。"τ×平均2"は"τ×増加率"に沿って減少しています。しかし,ここ数日はやや大きくなる傾向にあります。これは,8月に入ってから各地で発生しているクラスターの影響を受けているためでしょう。これらクラスターが無かったならば,変曲点は8月4日頃であったと考えられます。

プロファイルの初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応し,第2波の1.65は東京都よりは大きめです。第2波は東京都よりはすこし急峻に感染が拡大・収束しています。

 
プロファイルから求まる第1波全体の感染者数は17,100名,
第2波全体の感染者数は55,800名となっています。本日までの第2波の累計感染者数は49,000名と計算され,今後はさらに約7,000名が見込まれます。すなわち,第2波全体の7/8が既に累計されており,今後,これまでの経過をとるならば(大きなクラスターの頻発や新たな第3波のようなプロファイルの発生が無ければ),緩やかな減少をたどるはずです。
 
計算モデルとグラフの見方は,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧下さい。
   
8月28日までの日本国内の感染者数の累計データに基づいています [図をクリックすると拡大できます]
"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

2020/08/27

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [8月27日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[8月27日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [August 27th, 2020]


東京都が本日8月27日に発表した感染者数は250名です。確定日の8月26日分は184名,25日分は205名(59名追加)です。8月26日の発表数は236名25日は182名,24日は95名と週末に向かって増えています。この4日分の合計は763名で,1週間前の4日分の合計が893名でしたから,1週間で15%の減少です。なお,最適化計算からは1週間では約9%の減少ですから,やや実際の減少の幅の方が大きくなっています。
 
変曲点(日別感染数のピーク)は確定日ベースの8月1日10時となり,24日からは7時間遅くなりました。今週は,わずかですが,遅くなる傾向が続いています。これは"τ×平均2"がやや高めに推移している(収束が遅くなる)傾向と対応しています。"τ×増加率"にも変化はほぼありません。
  
日別感染者数のプロファイルを見ると,変曲点の8月1日のピークを中心に左右対称になっています。7月23日に記した"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のプロファイルとほぼ同じ経過をたどっています。

感染のピークについて報道が数日来ありました。このピークは何を根拠にしているのしょうか。日々の発表数の最大値あるいは移動平均値,確定日ごとの最大値あるいは移動平均値,発症日ごとの最大値あるいは移動平均値,などいろいろ考えられます。発症日については,このデータから実効再生産数を見積もっているようですが,発症日が不明な人や無症状の人は除外されていますし,発症日そのものが判ってくるのは報道発表日の1~2週間後と遅くなっています。どれをピークとするかは,データのばらつきにも左右されるので,27~29日のように幅を持たせた形の発表となるのでしょうか。
 
このブログでは,確定日ごとのデータから得た回帰曲線の"変曲点"としています。各波について,すべての日々のデータから計算される,累計の曲線では中点,日別数では頂点,"τ×増加率"の中点が,同じ変曲点にあります(図をご覧ください)。東京都では発症日の平均から確定日の平均まで5.0日と公表されています。発症日ベースならば,8月1日から5日前の7月27日がピークとなります。なお,このブログの解析での日時の定義は,発表日の午前0時にすべての数が発生したものとしています。細かいことであまり意味はありませんが,12時間後に発生時刻を移して考えても,感覚的には大差ありません。

ところで,7月18日の"COVID-19 感染者数プロファイルの概形 [東京都: 7月18日]" をご覧ください。感染者数として顕れるのは,感染力を持つ感染者(I),回復者(R)と死亡者(D)の合計(I+R+D)の変化量(-dS/dt)です。感染力を持つ感染者の数(I)は解析の上だけに現れます。この数の最大値をピークと考えるのが最も妥当でしょう。この感染者の数(I)のピークは,感染者数の変化量のピーク(このブログでは変曲点)から,東京都の場合は7日ほど遅れて到来し,変曲点から2週間程度は感染力を持つ感染者の数(I)は最も多い状態にあります。この期間がことさら注意すべきで,感染者数(I+R+D)のピークを過ぎてからクラスターがなぜ発生し易いかも理解できると思います。
 
グラフの見方」は図の下方に挙げてあります。
 
8月27日発表の東京都の確定日別データ(8月26日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大]
"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

 

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。

2020/08/24

COVID-19 愛知県の感染者数プロファイルの解析 [8月24日]

COVID-19 愛知県の感染者数プロファイルの解析

[8月24日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Aichi Pref. [August 24th, 2020]


愛知県が発表した感染者数を用いて,解析した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数のプロファイルを8月6日記載しました。以下は,本日24日までの感染者数によるプロファイル解析の結果です。

感染者数のデータは5月17日から8月24日までの累計感染者数です。5月17日の累計感染者数を0名としています。解析については本ブログの"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のページをご覧ください。CompartmentモデルのSIRDモデルへの対応付けについては"COVID-19 感染者数プロファイルの概形"をご覧ください。

日別の感染者数のばらつきが大きいことから,前後7日間の感染者数の移動平均を橙色の実線の"日別ave"としてグラフに記しました。最適化計算では最近の累計感染者数の増加傾向を追随しきれておらず(赤い矢印),"τ×平均"は"τ×増加率"よりも大きくなっています(綠色の矢印)。追随しきれないのは,プロファイルはこれまでの延長線上にないことを意味しています。
 
先の計算での変曲点の日付は7月31日でした。これは"日別ave"のピークにも相当します。本日の解析では変曲点は8月3日になっています。"τ×増加率"の初めの頃の値から基本再生産数を見積もると2.26と見積もられ,先の解析の値2.66よりも小さくなり,収束が緩やかになっています。それでも,東京都の第2波の基本再生産数を1.55よりは大きな値であり,より急峻な感染の拡大・収束の傾向にあります。

プロファイルを見ると,8月8日頃にクラスター発生による感染者数の増大があり,その後1週間はそれまでのプロファイルに沿った経過をだとりました。最近の1週間は,"τ×平均"と"日別ave"が計算による回帰曲線を顕著に上まっています。これは,名古屋市の病院での大きなクラスター,飲食店,高齢者施設などでのクラスターの発生を反映していると思われます。

グラフと本文に示した内容は,上記のクラスターなどの寄与数を含めた最新の解析の結果を示したものです。"日別calc"は偶関数なので,変曲点を挟んで左右対称です。今後も同じ感染者数プロファイルが続くならば,9月初めのの日別感染者数は7月初めの感染者数と等しくなるはずです。
 
グラフの見方」は図の下方にも挙げてあります。

愛知県が8月24日発表した感染者数のデータに基づいています [図をクリックすると拡大]
Data source:  愛知県新型コロナウイルス感染症対策サイト 
および https://github.com/code4nagoya/covid19/tree/development/data

"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [8月24日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[8月24日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [August 24th, 2020]


東京都が本日8月24日に発表した感染者数は95名です。100名を切ったのは,7月8日以来初めてです。確定日の8月23日分は63名,22日分は146名(26名追加)と少なくなっています。この2日分が発表分の大多数を占めています
 
変曲点(日別感染数のピーク)は確定日ベースの8月1日3時となり,昨日からは1時間早まりました。ほぼ1週間前の変曲点の日時と同じ日時になっていて,8月1日1時頃を中心に3-4時間前後するという変動を示しています。変動幅はわずかですが,発表数が多ければ遅くなり,少なければ早まるという,最適化に付随する特性があります。
  
日別感染者数のプロファイルを見ると,変曲点の8月1日のピークを中心に左右対称になっています。7月23日に記した"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のプロファイルとほぼ同じ経過をたどっています。

政府の専門家の見解が報道されていますが,この解析のブログを書いている者としては,見解につていは少なからぬ違和感を覚えます。見立てが遅すぎること,緊張を強いるようなトーンであること,なによりも,将来の見通しがないこと,希望への光が感じられないこと,などです。プロファイルを見ていて,行政の掛け声が結果としてプロファイルに現れていない(接触の8割削減もしかり)と思えるのは私だけでしょうか。的確な情報が提供されないと,行政への信用,ひいては感染対策への参加姿勢が失われてしまうのではと危惧されます。 
 
グラフの見方」は図の下方に挙げてあります。
 
8月24日発表の東京都の確定日別データ(8月23日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大]
"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

 

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。

2020/08/23

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [8月23日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[8月23日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [August 23th, 2020]


東京都が本日8月23日に発表した感染者数は212名です。確定日の8月22日分は120名,21日分は249名(85名追加)と,この2日分が発表分の大多数を占めています
 
変曲点(日別感染数のピーク)は確定日ベースの8月1日4時となり,昨日からは3時間遅くなりました。ほぼ1週間前の変曲点の日時と同じ日時になっていて,8月1日1時頃を中心に3-4時間前後するという変動を示しています。変動幅はわずかですが,発表数が多ければ遅くなり,少なければ早まるという,最適化に付随する特性があります。
  
日別感染者数のピークから3週間が過ぎ,7月23日に記した"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のプロファイルとほぼ同じ経過をたどっています。
 
グラフの見方」は図の下方に挙げてあります。
 
8月23日発表の東京都の確定日別データ(8月22日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大]
"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

 

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。

2020/08/22

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [8月22日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[8月22日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [August 22th, 2020]


東京都が本日8月22日に発表した感染者数は256名です。確定日の8月21日分は164名,20日分は288名(86名追加)と,この2日分が発表分の大多数を占めています
 
変曲点(日別感染数のピーク)は確定日ベースの8月1日1時となりましたが,昨日からは3時間遅くなりました。発表数が多ければ遅くなり,少なければ早まるという,最適化に付随する特性があります。感染者数プロファイルには変化はありません。

日別感染者数のピークから3週間が過ぎ,7月23日に記した"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のプロファイルとほぼ同じ経過をたどっています。
 
グラフの見方」は図の下方に挙げてあります。
 
8月22日発表の東京都の確定日別データ(8月21日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大]
"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

 

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。

2020/08/21

COVID-19 千葉県の感染者数プロファイルの解析 [8月21日]

COVID-19 千葉県の感染者数プロファイルの解析

[8月21日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Chiba Pref. [August 21th, 2020]


千葉県のCOVID-19新型コロナウィルス感染症の感染者数のプロファイルを解析しました。使用した感染者数データは,千葉県発表の診断確定日ごとの感染者数の累計で,最初の感染が報告された1月30日以降の値です。

解析については本ブログの"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のページをご覧ください。CompartmentモデルのSIRDモデルへの対応付けについては"COVID-19 感染者数プロファイルの概形"をご覧ください。

確定日のデータを用いている東京都の場合に準じて,移動平均の算出,公表の最新日の感染者数の取り扱いも同様に行いました。

感染者数の累計値は,"累計obs'"が1となるように最新の値(最大値)で除し,同様に計算値も除して"累計calc'"としてグラフに示しています。日別の感染者数は棒グラフの"日別obs"で,大きく変動しています。綠の実線の"日別calc"はその計算値です。水色の実線の"日別ave"は日別感染者数の7日間の移動平均です。
 
"τ×増加率"は実効再生産数の目安となる値で,最初の頃の値から,第1波は2.0,今回の第2波は1.6と基本再生産数は見積もられ,双方とも東京都の値とさらに埼玉県の値とほぼ同じ値です。

日別の感染者数のピークとなる変曲点として,これまでのデータからは8月6日と見積もられました。しかし,"日別ave"を見ると8月3日にピークがあり,さらにここ数日にもピークの兆候があります。

"τ×平均"と"τ×増加率"が互いに沿いながら一様に下降していれば,感染の傾向もほぼ一様であることを意味します。下方への減少は,連休などによる発表数の減少を,上方への突出は連休後の増加,またはクラスターの発生を示唆しています。
  
千葉県では8月に入ってから「昼カラ」などのクラスターが報道され,最近も八千代市の病院と2保育施設などのクラスターも報道されております。これらは"τ×平均2"にも大きな値として顕れております。クラスターの影響を除けば,"日別ave"にも見られるように8月3日よりも数日前にピークがあったと考えられ,基本再生産数の同一性からも,東京都,埼玉県と千葉県は同一の感染プロファイルであると見た方が良いでしょう。
 
千葉県が8月21日発表感染者数のプロファイル解析(データは8月20日まで) [図をクリックすると拡大します]
Data source: 千葉県公表"患者の発生について|新型コロナウイルス感染症"の”感染者数の詳細データ"
https://www.pref.chiba.lg.jp/shippei/press/2019/ncov-index.html

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [8月21日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[8月21日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [August 21th, 2020]


東京都が本日8月21日に発表した感染者数は258名です。確定日の8月20日分は202名,19日分は284名(46名追加)と,ほぼ解析による計算値と合致しています
 
変曲点(日別感染数のピーク)は確定日ベースの7月31日21時で,昨日と同じです。感染者数プロファイルには変化はありません。

日別感染者数のピークから3週間が過ぎ,7月23日に記した"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のプロファイルとほぼ同じ経過をたどっています。
 
グラフの見方」は図の下方に挙げてあります。
 
8月21日発表の東京都の確定日別データ(8月20日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大]
"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

 

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。