2020/09/07

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [9月7日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[9月7日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [September 7th, 2020]


東京都が本日9月7日に発表した感染者数は77名で,100名以下となったのは8月26日以来です。7月9日以来もっとも少ない人数です。
 
東京都の感染者数に関するブログは8月27日が最後でした。変曲点(日別感染数のピーク)は確定日ベースの8月2日16時となり,27日の解析からは1日遅くなりました。これは,8月20日頃から"τ×平均2"がやや高めに推移した(収束が遅くなった)結果,"τ×増加率"がわずかに小さくなったことにも反映しています。

"τ×平均2"が高めになる傾向は,愛知県(昨日のブログに記載)など,クラスター発生が頻発した人口が多い府県で著しいのですが,東京都でも同様の傾向がみられます。ただ,東京都の場合は感染者数プロファイルへの影響はわずかです。それでも,第2波全体の感染者数(環境収容力)に約500名増加をもたらしています。

日別感染者数のプロファイルを見ると,変曲点の8月2日のピークを中心に左右対称になっています。環境収容力が18,000名となりましたが,7月23日に記した"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のプロファイルとほぼ同じ経過をたどり続けています。 
 
東京都のサイト"東京都の最新感染動向"では,相変わらず"感染状況: 感染が拡大していると思われる"となっています。ピークアウトしてから1か月以上経過し,日別感染者数もピークの約1/4までも低下しているのに,なぜでしょうか。注意喚起を意図するならば,今後の見通しを含めた適切かつ的確な情報を提供してはいかがでしょうか。

このブログで8月27日にも書いたように,感染力を持つ感染者の数のピークは,感染者数の変化量のピーク(このブログでは変曲点)から,東京都の場合は7日ほど遅れて到来し,変曲点から2週間程度は感染力を持つ感染者の数が最も多い状態にあります。増加率が低下傾向にあったとしても,感染者数のピークを過ぎてからクラスターがなぜ発生し易いかを理解できると思います。愛知県に見られるように,他府県での傾向も同様ですが,感染力を持つ感染者の数のピークも過ぎていることから,全体としてもやや緩やかに収束に向かうでしょう。

グラフの見方」は図の下方に挙げてあります。
 
9月7日発表の東京都の確定日別データ(9月6日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大]
"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

 

グラフの見方


感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。

累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。

"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。

最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ (tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。

日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。

これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。

"累計calc'""日別calc""τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。

日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc""τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率""τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。

"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。

0 件のコメント:

コメントを投稿