2020/07/14

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [7月14日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[7月14日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [July 14, 2020]


東京都が本日7月14日に発表した感染者数は143名でした。確定日別のデータは13日が118名です。12日分は97(+9 )名,11日分は115(+10 )名,などへと遡って増えました。

火曜日の感染者数が系統的に低くなっていますので,明日,明後日と確定日別の感染数が追加されたとしても,先週の後半よりは小さな値でしょう。1週間前と比べるとやはり増える傾向です。

有意性と見易さの観点から,"τ×平均2"と"τ×増加率"のプロットを6月7日からのものとしました。この部分の様子はグラフ下方の"τ×平均1"の部分に細かく顕れています。

ここ2日間は数が小さかったことから,"τ×平均2"は0.35近くに下がりました。平均化が効いてくる3日前とその直前の"τ×平均2"は,数学モデルの"τ×増加率"に次第に近づいてきました。依然として"τ×増加率"の減少の傾きは小さく,半分となる変曲点(日別の増加のピーク)にはほど遠い状態です。
Fig. 1. 7月14日発表の東京都の確定日別データ(7月13日まで)に基づいています [クリックで拡大]

計算,理論,説明などは,7月2日分(7月3日にアップ)をご覧ください。

"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

日本国内での陽性者の年齢階級別の人数,致死率,重症者と死亡者


Fig. 2. . 年齢構成,致死率と重症率(5月5日時点)
5月5日および7月8日までの時点での, 日本国内での陽性者(感染者)の年齢階級別の人数,致死率,重症者と死亡者をグラフに示します。致死率は,年齢階級別にみた死亡者数の陽性者数に対する割合です。

5月5日の死亡者数については,厚生労働省が精査前の数値で,約170名が数381には含まれていません。
 
5月5日時点(図2)での致死率は2.5%(精査分を含めると3.6%)で,6月中は5.3%の高い状態が続きましたが,7月に入ってからは減少傾向に変わり,7月8日時点(図3)で4.9%になりました。減少傾向は続き,14日には4.3%程度です。東京都の致死率減少の傾向は7月11日のグラフをご覧ください。なお,東京都の死亡者数は7月8日時点で325で,6月24日以降,7月14日までは増えていません。

Data source: 厚生労働省の"新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(2020年7月8日18時時点)
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000647797.pdf
Fig. 3. 年齢構成,致死率と重症率
5月5日時点の重症率は,重症者数(合計381)の陽性者数(合計15,186)に対する年齢階級別の割合で,合計では2.5%です。7月8日時点での重症率は,年齢階級別にみた重症者数の入院治療等を要する者数に対する割合です。要入院数は合計1,776,重症者数は合計38で,合計では2.1%です。

7月8日までのデータでは,高齢者の致死率が極めて高いことが判ります。70代で約15%,80代以上では29%にもなります。このこともあって,重症率は高齢者層で明確に下がっています。重症率の重症者は重症化しても生存されている方で,亡くなった方をも含めた重症率を考えるべきです。

死亡者と重症者は若年者層でとくに少なく,7月8日までの死亡者の数は全体で976,10歳未満と10代ではともに0,20代で1,30代で4で,40歳未満ならばわずか5致死率0.06%です。40代で14(0.8%),50代でも33(1.4%)です。


Fig. 4. 年齢構成と死亡割合
重症率は10歳未満,10代,20代では0.0%,30代と40代はともに0.8%です。
 
7月8日までの死亡者の年齢階級別の割合を図4で示します。70代と80代以上で全体の83%,60代を加えると93%になります。高齢者の死亡割合が高い傾向は,5月5日まで,7月8日まで,および,これらの間で,ほとんど同じです。
 
図4には,5月6日から7月8日までの年齢階級別の陽性者の割合を示します。20代と30代が半数以上を占めており,最近はさらにこれら年齢階級の割合が高まっています。


2020/07/13

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [7月13日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[7月13日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [July 13, 2020]


東京都が本日7月13日に発表した感染者数は119名でした。確定日別のデータは12日が88名です。10日分は185(+25 )名へと遡って増えました。

発表された感染者数が200を下回り,ほぼ半減です。グラフを見ると,日曜日,月曜日と火曜日の感染者数が系統的に低くなっています。土曜日に受診した感染者の検査結果が日曜日に判り,それらを集計したものが月曜日に発表されているようです。土,日曜日は受診者数が少ないので,火曜日の発表分も数が少ないでしょう。

"日別calc"は,解析結果から計算された日別感染者数です。これを報告数の"日別obs"と比べると,各週に系統的な差異が認められます。日,月と火曜日の"日別obs"の値が,緑の”日別calc"の線に沿って増えてきていることが解ります。やはり,東京都の感染は増大しています。
Fig. 1. 7月13日発表の東京都の確定日別データ(7月12日まで)に基づいています

計算,理論,説明などは,7月2日分(7月3日にアップ)をご覧ください。

"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

2020/07/12

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [7月12日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[7月12日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [July 12, 2020]


東京都が本日7月12日に発表した感染者数は206名で,4日連続の200越えでした。確定日別のデータは11日が160名です。10日分は211(+40 )名へと遡って増えました。

本日発表された確定日別データの約80%が前日分で,残りの多くがその前の日の分の傾向です。前日分は翌日以降に約20%が追加されてきました。そこで,発表があった当日の値を前日の仮の値とする(160を206とする)方が,確定日分として翌日追加されるであろう約20%分を含むため,解析結果が良好です。昨日11日の解析でも改良版に差し替え,本日と以降もこのように取り扱います。

矢印で示す"τ×平均2"値の0.55を超える値は,4月13日頃のピークに匹敵する値です。なお,6月上旬までの"τ×平均2"値がさらに大きくなってきました。このことは過日に述べたように,分母となる関数値が最適化に伴って小さくなってきたためです。"τ×平均1"値と同様にプロファイルの時刻の先の部分の値はあまり精度が高くなく,本来の有意性が小さいものです。平均的な実効再生産数に相当する"τ×増加率"も大きくなり,下降傾向が小さくなって,ピークから収束へ向かう傾向は全く見通すことができません。


本日の発表分では,20代と30代で感染者の65%で,ついで40代,10歳未満が多いです。いずれも重傷化と死亡者がとても少ない年令代で,本日も重傷者の報告は0です。
Fig. 1. 7月12日発表の東京都の確定日別データ(7月11日まで)に基づいています

計算,理論,説明などは,7月2日分(7月3日にアップ)をご覧ください。

"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

東京都の区部と市部の罹患率


5月16日以降の4日間ごとの罹患率として,区部と市部の自治体ごとに,人口10万人当りのデータを期間ごとの積み上げグラフで示します。どこで,如何ほどの感染者が現れたかが一目で判ります。6月の最初の週でもう新宿区では感染者が増え始めていたようです。5月中旬の小金井市の病院でのクラスターも顕れています。
Fig. 2. 東京都の区部と市部の,期間ごとの罹患率 [グラフをクリックすると拡大
Data source: "東京都新型コロナウイルス感染症対策本部報"の"新型コロナウイルスに関連した患者の発生について"より: https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/saigai/1007261/index.html

2020/07/11

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [7月11日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[7月11日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [July 11, 2020]


東京都が本日7月11日に発表した感染者数は206名でした。確定日別のデータは10日が171名です。9日分は220(+29)名へと遡ってまたまた増えました。

確定日別データの最新発表日の前日の値


確定日別データの約80%が前日分で,残りの多くが前日の前の日の分となっています,10日分は翌日以降に約20%が追加されると思われます。この解析では,このような状況であっても,データをそのまま使用してきました。検討したところ,発表があった当日の値を前日の仮の値とする(171を206とする)方が,確定日分として翌日以降に追加されるであろう約20%分を含むため,解析結果が良好です。そこで,当面はこのように取り扱います[12日改良]。

感染者数が連日で大幅に増えたのにも関わらず,矢印で示す"τ×平均2"値は少し低下しました(先述の改良によって値の挙動がかなり改善されました)。ここ数日の0.5を超える値は,4月13日頃のピークに匹敵する値です。平均的な実効再生産数に相当する"τ×増加率"は大きくなり,下降傾向も小さくなって,ピークから収束へ向かう傾向は全く見通すことができません。

"日別obs"の増加を反映して,"累計calc'"と"日別calc'"の計算値が今後に向けて大きな立上りの傾向です。これらの傾きは,4月上旬の傾きに近くなってきました。しかし,ピークに向かう様子は読み取ることはできません。2つのプロファイルの比較から,第1波の数倍の累計感染者数になるのではと危惧されます。第1波は予兆波で,今回を第2波としても主要波と見なせそうです。

最近の4日間の感染者数は,区部が545名,市部が72名です。区部は人口10万人当たり5.6名の増加で,新宿区が48名と突出しています。市部の人口10万人当りの増加は1.7名で,これは周辺3県と同じような値です。全期間の累計についても周辺3県と同じような値です。市部は新宿区の約28分の1なのです。
Fig. 1. 7月11日発表の東京都の確定日別データ(7月10日まで)に基づいています[12日改良版]

計算,理論,説明などは,7月2日分(7月3日にアップ)をご覧ください。

"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

致死率が減少傾向


東京都の致死率が減少の傾向が顕著になってきました。これは,感染者の多数が40歳以下になってきたことに対応しています。致死率は罹患率(人口10万人当りの累計感染者数)のプロファイルに遅れて現れますが,これを考慮しても,確実に減少しています。最近の死亡者数がとても少ないこと,また,重症化する患者数が少ないことにも合致します。40歳以下の年代では死亡例は極めて少なく,東京都の第1波では0で,重症化もほとんど見られませんでした。

東京都の致死率は4.2%,日本全体でも4.8%です。これは,米国,ブラジル,イラン,ドイツなど感染者が多い国々とほぼ同じ値で,日本が際立って低いのではありません。ただし,日本の罹患率はこれらの国々の数10分の1です。罹患率と致死率の積が死亡率で,死亡率はそうすると数10分の1となります。死亡率の低さを論じている記事も散見されますが,致死率と感染者の年代構成で説明ができそうです。若い年代が多い国々は致死率が低くなっています。

日本の肺炎の年間死亡者は約8-10万人で,ほとんどは高齢者です。COVID-19の死亡者はまだ1,000名以下ですので,高齢者の罹患を防がねばなりません。 
Fig. 2. 東京都のCOVID-19の致死率(%)

2020/07/10

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [7月10日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[7月10日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [July 10, 2020]


東京都が本日7月10日に発表した感染者数は243名でした。確定日別のデータは9日が191名です。8日分は243(+47)名へと遡って大きく増えました。

感染者数が2日連続で大幅に増えたので,矢印で示す"τ×平均2"値は大きくなりました。3月25日の頃の"τ×平均1"に似たプロファイルになるのでしょうか。確定日別の過去の最大値は49日の266人でした。

"日別obs"の増加を反映して,"累計calc'"と"日別calc'"の計算値が今後に向けて大きな立上りの傾向です。平均的な実効再生産数に相当する"τ×増加率"も大きくなっています。9日の"日別calc'"値は147とまだ小さいのですが,"日別calc'"と"累計calc'"の先行きの計算値はいっそう大きくなっています(変曲点前では誤差が大きすぎますので,とても書けません)。"日別calc'"は4月の最大値に匹敵しており,今回の緩やかなピークから,5月までの5千名の累計を大きく超える累計値となることは想像に難くはありません。

昨日の増加分は月曜日の検査分から来ているらしく,週の後半には週の前半の結果も合わせた数値となってきます。本日発表の243名のうち,確定患者との接触歴がある濃厚接触者が142名,"調査中"が101名で,うち重症者は0名です。昨日までの区市町村別患者数を見ると,人口10万人当たりでも,新宿区が特に多く.ついで豊島区,中野区,渋谷区となっています。他の地域でもじわじわと増えています。大きく増えた時には,クラスター(感染集団)発生が報道されていましたが,この頃は特にそのような事例は目にしておりません。

最近のWHOの分類では,日本はこれまで"Clusters of cases"でした。米国や,ヨーロッパの大量の感染者が出た国々は"Community transmission"に分類されています。ロシアはまだ"Clusters of cases"で,スペイン,フランスとドイツは最近この"Clusters of cases"に戻りました。"Community transmission"は"市中感染"に相応し,感染経路が不明("調査中")の割合が増えると,epidemicからpandemicに突入でしょうか。

7月10日発表の東京都の確定日別データ(7月9日まで)に基づいています

計算,理論,説明などは,7月2日分(7月3日にアップ)をご覧ください。

"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

2020/07/09

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [7月9日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[7月9日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [July 9, 2020]


東京都が本日79日に発表した感染者数は224名でした。確定日別のデータは8日が196名です。7日は93+24)名に,6日は79(+3)名にと,遡って増えました。8日の数値そのものも明日以降さらに増えるでしょう。

感染者数が大幅に増えたので,矢印で示す"τ×平均2"値は急上昇です。一昨日,昨日の値で少し安堵していたのですが,想像を超える大きな値です。

この解析で使用している確定日別の過去の最大値は49日の266人で,報道発表の最大値の417日の206人とは日と数が大きく異なります。

発表の224名のうち,確定患者との接触歴がある濃厚接触者が120名,調査中が104名で,うち重症者は0名です。年代は20109名,3060名,性別は男性141名,女性83名となっています。区市町村別患者数は従来どおりなら明日夜の発表です。
 
Tomorrow is another day!
 
7月9日発表の東京都の確定日別データ(7月8日まで)に基づいています

計算,理論,説明などは,7月2日分(7月3日にアップ)をご覧ください。

"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

2020/07/08

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [7月8日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析

[7月8日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [July 8, 2020]


本日7月8日発表分のデータの解析結果です。東京都発表の確定日別のデータは感染者数75名でした。7月7日は感染数が69名と少なくなり,6月30日と同じ数です。7月6日は75名,5日は91名へと少し増えました。

感染者数が少なかったため,矢印で示す"τ×平均2"値は実効再生産数0.25相当まで小さくなりました。この値は4月21日頃の値に近い小さいもので,減少の傾向が続いて欲しいものです。

計算,理論,説明などは,7月2日分(7月3日にアップ)をご覧ください。改訂してあります。

"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。

K値については,"K値を厳密に取扱う"で示したように"τ×平均2"値を時間遅れで追随しています。時間の遅れは"τ×平均2"値に比して約4日で,これはK値が日増加数の"直近7日間の移動平均と等価"であることに対応しています。K値の特性と挙動をこのように示すことができ,これを指標とする利点が無いことから,これにて記載を終えます。
7月8日発表の東京都の確定日別データ(7月7日まで)に基づいています