2021/09/11

COVID-19 日本,東京近県と大阪府の感染者数プロファイルの解析 [9月11日; 2021年]

COVID-19 日本,東京近県と大阪府の感染者数プロファイルの解析 [9月11日; 2021年]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Japan, those for Prefectures nearby Tokyo, and Osaka Pre. [September 11th, 2021]

 

日本のCOVID-19感染者数と,東京の近県,大阪府の感染者数について,NHKの集計データ(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-widget/)を用いて感染者数のプロファイルを解析しました。データは2021年9月11日までの累計の感染者数です。
 
ここでは日本全体神奈川県千葉県,埼玉県茨城県大阪府のプロファイルの解析結果を示します。前回の解析(9月4日)と同様に,第5波の主要なプロファイルの変曲点(ピーク)はこれらでは8月22日頃です。各プロファイルの確度は,変曲点から概ね1週間以上を経過しているので,かなり高くなっていますが,県によって異なります。
 
解析の方法は,ブログ(8月28日)の"東京都の感染者数プロファイルの解析"と同様で,"第5波"の3つのロジステック関数のプロファイル5A,5Bと5Cで表しています。第4波と第5波,およびそれ以前のプロファイルをロジステック関数の和で表し,日々の累計の感染者数に対して,第4波と第5波の各関数のパラメータを最小二乗法により最適化しました。最適化の具体的な方法は上記ブログの東京都と同様です。
 
グラフの図では,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),本ブログの解析による日別の感染者数の計算値(日別calc),着目している各プロファイルの日別の感染者数の計算値,そして"再生産率"を示しています。また,破線の"第5波x/y"として,x月y日時点での解析による第5波の各プロファイルの和をグラフに示してあります。その時点と現在の差異からプロファイルの変化と確度を推察ください。
 
"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1でピーク(増加時。減少時には底の値),1よりも小さければ小さいほど減少・収束に向かう傾向が大きくなります。以下での基本再生産数相当値は,感染初期の再生産数を内的自然増加率より算出しています。この値は,感染対策が行われているもとでの,しかもワクチン接種が行われている状態での値で,見かけの値なのでこのブログではR0'と表記します。なお,ワクチンの接種率を50%とすると,ワクチン接種の影響を取り除くには 2×R0'-1 が目安です。R0'が3.5ならば,ワクチン接種が無い状態だと基本再生産数相当値は6となり,極めて大きな値になります。
 
[日本全国]
 
図1は日本全国の感染者数についてのものです。第5波はプロファイル5Cが主体で,5Aと5Bはほとんど終息の段階です。5Cの変曲点は8月22日,基本再生産数相当値(R0')は1.86,環境収容力(終息までの全期間の累計感染者数)は72万名です。9月4日からのプロファイルの変化はほぼ無くなりました。再生産率が0.48となり,1週間で感染者数が半減するペースに入りました。
 
1. 日本全体の感染者数とそのプロファイル [図をクリックすると拡大]

第5波のプロファイルの合計の累計感染者数(環境収容力。将来に現れる感染者数も含みます)は約918,000となりました。
 
図2は,10月4日までの感染者数を,プロファイルが変わらないとして,計算したものです。9月20日以降に休日が2日ありますが,日々に報告される感染者数が休日の後方の日に移るだけで,プロファイル自体は変わらないと考えられます。9月20日の週は2千人台,26日の週は1千人前後,10月に入ると1千人を相当下回るはずです。
 
2. 10月4日までの日本全体の感染者数とそのプロファイル [図をクリックすると拡大]

図の見方は,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご参考ください。

[神奈川県]
 
神奈川県についての解析の結果を図3に挙げます。8月18日頃にはほぼ一定のパラメーターとなり,第5波Cの変曲点は22日で,R0'は1.76から1.92へと大きくなりました。これは減少のペースが速まったこと(素早く減少)を意味します。これは先週の感染者数が少なく報告された一時的なものか,実際にペースが速まったのかは,この土日曜日の感染者数がやや多いことから,明らかではありません。ペースがこのような期間で速まることは極めてまれで,ワクチン接種の進行が寄与しているのかもしれません。
 
再生産率は0.45まで低下しています。5Cの環境収容力は約89,000名から74,000名に減りましたが,第5波全体では約101,000名で前回より約5,000名の減少です。
 
図3. 神奈川県が9月11日発表の日別データに基づきます [図をクリックすると拡大]
 
[千葉県]
 
千葉県についての解析の結果を図3に挙げます。9月4日の第5波からの変化が無くなり,一定のプロファイルとなりました。5CのR0'は1.79,変曲点は22日,環境収容力は約52,000名です。第5波全体でも約65,000名とほぼ変化はありません。現在の再生産率は0.52です。4. 千葉県が9月11日発表の日別データに基づきます [図をクリックすると拡大]
 
4. 千葉県が9月11日発表の日別データに基づきます [図をクリックすると拡大]

[埼玉県]
 
埼玉県についての解析の結果を図4に挙げます。5Bの変曲点は8月2日R0'は1.96で,環境収容力が約11,000名と小さくなりました。5Cが主要なプロファイルで,変曲点が8月20日に早まり,R0'は1.86から1.81まで小さくなりなりました。環境収容力は約55,000名です。第5波全体では約68,000名で,先週とほぼ同じです。プロファイルのパラメータはほとんど確定です。ただし,先週の後半の感染者数が多めなのが気になります。減少が少しペース・ダウンするかもしれません。
 
5. 埼玉県が9月11日発表の日別データに基づきます [図をクリックすると拡大]

[茨城県]
 
茨城県について,結果を図5に挙げます。プロファイル5Bの後続の5Cが主要な大きなプロファイルです。5Bの変曲点は8月3日R0'は2.62となり,環境収容力は約1,400名と大きくなりました。5Cは,変曲点が8月21日,R0'が1.68まで小さくなりました。環境収容力は約12,100名で変わりません。第5波全体では前回の約13,100名から約13,900名に少し増えました。現在の再生産率は0.57とあまり変わらず,近県よりも減少がペース・ダウンしています。
 
茨城県の感染者数はクラスター発生などによる数値のばらつきが大きい傾向があります。それでも,第5波としては全体の一致度が改善し,プロファイルは確からしくなったと考えています。
 
図6. 茨城県9月11日発表の日別データに基づきます [図をクリックすると拡大]


[大阪府]
 
図7は,9月11日の大阪府についての解析で,第5波はのピークは8月27日で,東京よりは10日(東京近県よりは5日)遅くなっています。9月4日のプロファイルと現在のはすっかり重なって,プロファイルは確度が高くなっています。
 
プロファイル5Aは第4波に近く,環境収容力が約1,970名と小さい。プロファイル5Bがやや大きく,後続の5Cが主要な大きなプロファイルです。5Bの変曲点は8月3日R0'は1.76,環境収容力は約23,000名で前回とほぼ同じです。5Cは,変曲点が8月27日,R0'が1.98から1.93へと小さくなり,それでも減少のペースは他県よりは大きい。環境収容力は約72,800名とほぼ変わらず,第5波全体でも約96,000名で,これは第4波の約54,000名の2倍に近い大きさです。
 
再生産率は,6月26日に1.0を越えて感染者数は増加に転じ,7月14日に最大の値1.6まで上昇しました。その後は1.35程度のやや大きな状態が続き,8月27日になってようやく1.0を切り,ピーク・アウトとなりました。現在は0.46まで小さくなり,早い減少のペースを反映しています。

図7. 大阪府9月11日発表の日別データに基づきます [図をクリックすると拡大]

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