2020/06/29

COVID-19 K値は日感染者数の7日間移動平均に対応する


COVID-19: K値は日感染者数の7日間移動平均に対応する

COVID-19: The K value is related to the 7-days moving average of daily increases in infected cases

(As of June 29, 2020)

最近注目の,大阪大学の中野貴志教授らによる,K値について考察してみました。

中野貴志教授らによる論文のpreprint: Novel indicator of change in COVID-19 spread status: by Takashi Nakano, Yoichi Ikeda (doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.25.20080200)
この論文については,次のwebサイト[中野貴志教授(核物理研究センター)による論文等(K値について)]に詳しく記載されています。
https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/info/corona/corona_info/from_members/rcnp_nakano

上記の論文でのK値は,
    K =1(1週間前の総感染者数)/(当日の総感染者数)        1)
として表されています。

1日の新たな日感染者数の,ある基準日からの累計が総感染者数です。1週間前の総感染者数は,直前の7日間の日感染者の和を,当日の総感染者数から差し引いた数となります。
   (1週間前の総感染者数)=(当日の総感染者数)(7日間の日感染者の和)
ところで,
   (7日間の日感染者の和)=7×(7日間の日感染者の和/7)=7×(7日間の日感染者の移動平均)
なので,この2つの関係を式1)に代入すると,
   K =1(当日の総感染者数)7×(7日間の日感染者の移動平均)}/(当日の総感染者数)
      =7×(7日間の日感染者の移動平均)/(当日の総感染者数)
      =(7日間の日感染者の和)/(当日の総感染者数)
となります。この値を以下では仮に補正移動平均値Mとよびます。

次のグラフは,東京都の確定日別による陽性者数について,累計値(グラフでは累計obs),K値,M値をプロットしました。同時にプロットした累計SIcalcは,私が累計値に対して最適化したロジステック関数の値です。なお,累計の基準日は,感染の最初の確定日である122日としています。
Fig. 1 K値と補正移動平均値Mの比較(東京都の確定日別陽性者数)
グラフを見ると,K値とM値は完璧に一致しており,同じものであることが解ります。すなわち,K値は,(7日間の日感染者の和)/(当日の総感染者数),あるいは,7×(7日間の日感染者の移動平均)/(当日の総感染者数)です。感染者数の指標として7日間の移動平均値を採用する場合も多々見受けられ,それらの値を累計数で除したものがK値に相当すると考えると,双方とも互いに密接に関連していると理解できます。

次のグラフでは,累計数の基準日(以降の累計数からこの日7日前の累計数を差引く)を330日,そして523日として,K値とM値をプロットしました。これら基準日の後では,ほぼ直線的に値は減少しています。しかし,値が小さくなるにつれて,傾きの絶対値は小さくなっています。
 
Fig. 2 K値とM値の比較(基準日の選択)

なお,ロジステック関数は,コンパートメントモデルの基本となるSIモデル(SIRモデル,SIRDモデル等で,RDへの推移を0とした場合に相当)と同じものです。ここでは,2つのロジステック関数の和として累計数に最適化しています。このときの日感染者数と,最適化関数から計算した日感染者数を次に示します。
Fig. 3  東京都の感染者数
Data source: 東京都の公開データ"確定日別による陽性者数の推移"
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/?tab=reference

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