2020/11/27

COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [11月27日]

COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [11月27日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Ibaraki Pref. [November 27th, 2020]

茨城県の新型コロナウイルス感染症の感染者数のプロファイルをロジスティック関数への最適化により解析しました。使用したデータは,茨城県が公表している「新型コロナウイルス感染症陽性者一覧」で,本日11月27日までの最新の累計感染者数です。第3波はピークを過ぎたものと考えられます。

茨城県については,10月25日に"COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [10月25日]"にてこのブログで採り上げました。以下では,前回と同じ方法で感染者数のプロファイルを解析しました。

前回の時点では,累計感染者数は741名であり,感染者数は減少の傾向にありました。その後,感染者数は急激な増加に転じ,大きな"第3波"が現れました。本日までの累計感染者数は1,442名で,前回からの増加数は人口10万人当たりでは約24名となります。第3波の感染者の大部分が県南部の土浦市,つくば市,古河市などに帰属され,県の人口の半分がこれら地域に集中していると仮定して前記の増加数を人口10万人当たりで算出すると,第3波の感染者数が多い都道府県に匹敵する規模の感染者数(48名)となります。

図1に,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),累計の計算値から得られる日別の感染者数の計算値(日別calc)をプロットしました。日別obsはばらつきが大きいのですが,日別aveでは滑らかになり,日別calcとはよく合致しています。1日ないし2日の鋭く棒状に増えている日別感染者数は典型的なクラスターの発生を示唆します。なお,7月1日以前のグラフについては前回のブログをご覧ください。

第2波の主要なプロファイル,第3波プロファイルについて,日別calcと"再生産数"も図に示してあります。実効再生産数に相当する再生産率が1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1ならばその状態が継続,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。1を切る時点がピークです。

第2波の主要なプロファイルの環境収容力(そのプロファイル全体の感染者数)は約400名,基本再生産数の相当値(感染の初期において1人の感染者が引き起こす新たな感染者の数の目安)は1.7,変曲点(日別感染者数のピークの日時)は8月7日となっています。第3波のプロファイルは,暫定的ですが,環境収容力は約950名,基本再生産数の相当値は2.3,変曲点は11月21日と得られました。これら2つの間には,2つの小さなプロファイルがあり,10月6日頃がピークのプロファイルが"第2+γ波"で,環境収容力は120名,基本再生産数相当値は2.1でした。第3波の規模は第2波の2倍を超え,本日まで約700名が現われ,今後の分が250名となります。

第3波は,再生産率が10月17日頃から急に大きくなって24日頃には1を越えました。増加のペースは速く,11月4日頃には2.1を超える最大値を示しました。これらの挙動は基本再生産数相当値2.3に由来します。その後は減少に転じ,22日には1を切りました。このあたりが日別感染者数のピークです。本日27日の再生産率は0.45近くに低下しています。

図1. 茨城県の感染者数と最適化による計算値 [図をクリックすると拡大]

Data source: 茨城県が公表している「新型コロナウイルス感染症陽性者一覧」https://www.pref.ibaraki.jp/1saigai/2019-ncov/ichiran.html

累積の感染者数(累計obs)について最小二乗法により4つの関数プロファイルを最適化しています。図2は,各プロファイルからの日別感染者数の計算値(第2波の主要な分がD f1 calc,第2+β波がD f1' calc,第2+γ波がD f2 calc,第3波がD f3 calc)と,これらを合成した計算値(日別calc)を示します。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')は図2に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1.4となるように規格化した値です)。

図2. 茨城県の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]

第2+γ波について"τ×平均1"と"τ×増加率1",第3波について"τ×平均2"と"τ×増加率2"を図2に示しています。τ×平均は実質的な増加率であり,最適化で得られるτ×増加率を追随しています。

土日と休日に由来する感染者数の報告数の減少を反映する23-25日のデータについては,最小二乗法の重みを小さくして解析しました。解析では累計感染者数を取り扱っていることから,26日と27日の感染者数の増加で土日と休日の影響はほぼ相殺されています(図2の"τ×平均2"を参照)

図の見方などについては,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。

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