2020/11/17

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [11月17日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [11月17日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [November 17th, 2020]

 
東京都が本日11月17日に発表した感染者数は298名です。週の初めは報告される感染者数が少ないのですが,このことを念頭においても,東京都の場合,第3波の累計感染者数の規模は小さく(第2波の約1/3),13日には感染者数プロファイルのピークに達し,現在は収束の段階にあるといえます。

前回のブログ(11月11日)に記載した"東京都の感染指数プロファイルの解析"では,第3波に入ったようだと述べました。本日までの確定日別の感染者数をもとに,これまでと同じ方法でロジステック関数の最適化を行ないました。

図1に,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),本ブログの解析による日別の感染者数の計算値(日別calc),そして"再生産率"を挙げます。第2波の主要なピークの計算値は7月23日に記した"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のプロファイルとほぼ同じです。
 
図1. 11月17日発表の東京都の確定日別データ(11月16日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大]

図1の"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。

再生産率は,10月26日に1よりも大きくなり,11月5日には1.47の最大値となりました。12日と13日の間で1.0を切ってプロファイルのピークに達しました。直近では0.55に近い値となっています。第3波のプロファイル自体の基本再生産数の相当値は2.4程度と得られましたが,10月下旬からの再生産率は,減少傾向の"第2+γ波"と重なっていることから,かなり小さく得られていました。直近では,第2+γ波と第3波がともに減少傾向なので,再生産率も速やかに減少しています。

第2波の主要なプロファイル(日別感染者数はD f1 calc),"第2+β波"(D f2 calc),"第2+γ波"(D f3 calc),さらに"第3波"のプロファイル(D f4 calc)も計算に含め,これらを合成した計算値(日別calc)を図1と図2に示しています。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')は図2に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1となるように規格化した値です)。

最近の日別感染者数は,ほとんどが第2+γ波と第3波のプロファイルの和で,第2+γ波の寄与が次第に減少し,第3波の寄与が増加しています。

図2. 東京都の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]

図2に東京都の感染者数プロファイルの詳細を示します。第3波についての"τ×平均"と"τ×増加率"は,第2+γ波(主要な第2波とほぼ同じ基本再生産数の相当値です)に第3波を組み込んだものです。τ×平均は実質的な増加率であり,最適化で得られるτ×増加率を追随しています。

第2波の主要なプロファイルの環境収容力(プロファイル全体の累計感染者数)は17,080となりました。第2+γ波はまだ十分には収束していませんが,環境収容力は約9,270,ピークに到達したばかりの第3波については確度が低いのですが,環境収容力は約5,140と算出されました。第3波の基本再生産数の相当値が2.4程度と大きいことから,急峻な増加をたどり,ピークを過ぎると減少もまた速やかです。なお,減少傾向の第2+γ波との和として,感染者数の減少はやがて緩やかになります。

第3波のプロファイルが急峻な増加を示したこと,これに第2+γ波の寄与が加わったことから,第3波の規模は大きいのでは危惧されました。しかし,第3波の経過日数の広がり(プロファイルの幅)が小さいこと,基本再生産数相当値の大きさに比して立ち上がりの傾きが小さいことからピークの高さが小さくなり,結果としての環境収容力は第2波の約1/3と小さい値となりました。

第2波はピークを過ぎて日別感染者数がピークの半分に近くに減ってから,再生産率が1近辺の値に留まり,収束には至りませんでした。日別の感染者数がピークを過ぎても,実際に感染を惹起する感染者数はさらに1週間程度は増え続けます。したがって,今後2週間程度は感染が再度広がってしまう,クラスターが発生し易い,など感染プロファイルを変えてしまう要因がまだまだあります。プロファイルに沿った感染者数の減少となることを願っています。
 
補足: このブログで定義している再生産率は,実効再生産数に相当する値で,プロファイルから算出(累計感染者数の2階微分)されているので滑らかに変化します。再生生産率が1を越える大きな値となってから下降し始めたら,再生産率のカーブを延長してその先が1を切る日をピーク日の目安とすることができます。この目安の日は,後日に解析が進んだ段階の日よりも少し遅めになりますが,簡便にピークを知るには役立つでしょう。
 
図の見方は,以下,あるいは,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。

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