2020/11/01

COVID-19 大阪府の感染者数プロファイルの解析 [11月1日]

COVID-19 大阪府の感染者数プロファイルの解析 [11月1日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Osaka Pref. [November 1st, 2020]

 
大阪府の新型コロナウイルス感染症COVID-19の感染者数(大阪府発表,11月1日現在)の増加が急峻なことから,感染者数プロファイルをロジスティック関数への最適化により解析しました。使用したデータは,大阪府が公表している「大阪モデル モニタリング指標の状況」からの感染者数です。
 
解析の手法と結果の見方などについては,9月11日の"東京都の感染者数プロファイルの解析"のブログをご覧ください。
 
図1に, 日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),累計の計算値から得られる日別の感染者数の計算値(日別calc)をプロットしました。第2波の主要なプロファイルの日別calc,そして全期間の"再生産数"も図に示してあります。
 
このブログでの大阪府のCOVID-19の第1波は,環境収容力(そのプロファイル全体の感染者数)は1,790名,ピーク(変曲点)は4月13日,基本再生産数の相当値(1人の感染者が引き起こす新たな感染者の最大数の目安)は1.94でした。第2波の主要プロファイルは,環境収容力は5,370名,ピークは8月4日,基本再生産数相当値は1.90で,既に収束状態にあります。第2波に重なるように第2+α波のプロファイルが現れ,環境収容力はおよそ4,000名,ピークは9月6日頃,基本再生産数相当値は1.47で,なだらかな減少傾向が続いています。なお,第2+α波のプロファイルは,主要な第2波と次のプロファイルの橋渡し的かつ連続的なもので,計算では変動し易くて確度の低いものです。
 
10月11日を過ぎた頃からかなり急峻に増加するプロファイル(第2+γ波)が現れ,まだ増加の傾向にあります。現時点ではまだプロファイルの解析精度は十分ではないのですが,基本再生産数相当値は1.7程度と大きく,概ね1,700名の感染者数が本日までに現れたことになります。ロジスティック関数は対称的なので,3,400名を超える環境収容力となります。なお,ピークを1週間以上は過ぎないと,感染者数などのパラメータの見積もりの精度は低いので,ご注意ください。
 
図1. 大阪府の感染者数と最適化による計算値 [図をクリックすると拡大]
 
Data source: 大阪府が公表している「大阪モデル モニタリング指標の状況」http://www.pref.osaka.lg.jp/iryo/osakakansensho/corona_model.html
 
図1の"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1ならばその状態が継続,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。1を切る時点がピーク(変曲点)です。
 
第2波の再生産率は,拡大期では最大で1.78で,8月6日頃に1.0となって第2波は減少に転じました。その後,8月18日頃に0.68まで低下しましたが,以後は第2+α波が1に近い値で経過しました。10月7日頃には1を越えて日別の感染者数は増加に転じ,第2+γ波のプロファイルが顕著に優勢となりました。この再生産率は10月26日に1.42に達し,現在はピーク(再生産率は1)に向かって減少に転じたように見受けられますが,確定的ではありません。
 
累積の感染者数(累計obs)について最小二乗法により3つの関数プロファイルを最適化しました。図2は,各プロファイルからの日別感染者数の計算値(第2波の主要な分がD f1 calc,第2+α波がD f2 calc,第2+γ波がD f3 calc)と,これらを合成した計算値(日別calc)を示します。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')は図2に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1となるように規格化した値です)。
 
図2. 大阪府の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]
 
第2波についての"τ×平均"と"τ×増加率"は,第2+α波と第2+γ波を組み込んだものです。τ×平均は実質的な増加率であり,最適化で得られるτ×増加率をよく追随しています。
 
図の見方などについては,COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。

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