2020/10/25

COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [10月25日]

COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [10月25日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Ibaraki Pref. [October 25th, 2020]


茨城県の新型コロナウイルス感染症の感染者数のプロファイルをロジスティック関数への最適化により解析しました。使用したデータは,茨城県が公表している「新型コロナウイルス感染症陽性者一覧」で,最新の10月25日までの累計感染者数です。
 
茨城県については9月22日のブログにて記載しています。今回は,9月11日の"東京都の感染者数プロファイルの解析"で述べた解析の改良を踏まえて,感染者数が比較的少ないケースでもある茨城県の感染者数のプロファイルの解析を更新しました。
 
図1に, 日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),累計の計算値から得られる日別の感染者数の計算値(日別calc)をプロットしました。第2波の主要なプロファイルの日別calcと"再生産数"も図に示してあります。なお,日別感染者数の目盛りは1人単位の離散的なものであることにご留意ください。
 
茨城県の場合は感染者数が少ないこともあり,小規模のクラスターの発生があると日別感染者数は目立って大きくなります。10月7日にピークがあるプロファイル(第2+γ)は,千葉県柏市のクラスターからの余波として茨城県に感染者が現れたケースが主に反映されています。このようなクラスターは,1日ないし2日程度の鋭い棒状のグラフとして現れます。
 
先述のプロファイルは, 基本再生産数の相当値(1人の感染者が引き起こす新たな感染者の数の目安)は2.2と大きく,環境収容力(そのプロファイル全体の感染者数)は120となっています。このプロファイルが出現したこともあって,第2波の収束は1月近く遅れましたが,再生産率が0となって,ほぼ収束といえる状態となりました。
 
図1. 茨城県の感染者数と最適化による計算値 [図をクリックすると拡大]
Data source: 茨城県が公表している「新型コロナウイルス感染症陽性者一覧https://www.pref.ibaraki.jp/1saigai/2019-ncov/ichiran.html
 
図1の"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1ならばその状態が継続,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。1を切る時点がピーク(変曲点)です。

第2波の再生産率は,1.7で始まり,8月8日頃に1.0となって第2波は減少に転じました。その後,9月4日ころに1を越えた時期があり,9月18日からは1を越えて先述のプロファイルが優勢となりました。10月5日には1を切ってピークを迎え,以後は減少し続け,現在は0です。

累積の感染者数(累計obs)について最小二乗法により3つの関数プロファイルを最適化しました。図2は,各プロファイルからの日別感染者数の計算値(第2波の主要な分がD f1 calc,第2+β波がD f2 calc,第2+γ波がD f3 calc)と,これらを合成した計算値(日別calc)を示します。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')は図2に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1となるように規格化した値です)。
 
図2. 茨城県の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]
 
第2波についての"τ×平均"と"τ×増加率"は,第2+β波と第2+γ波を組み込んだものです。τ×平均は実質的な増加率であり,最適化で得られるτ×増加率を追随しています。

図の見方などについては,COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。

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