2020/10/18

COVID-19 北海道の感染者数プロファイルの解析 [10月18日]

COVID-19 北海道の感染者数プロファイルの解析 [10月18日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Hokkaido [October 18th, 2020]

 
北海道のCOVID-19新型コロナウィルス感染症の感染者数について,本日10月18日発表までのデータを使用して,感染者数のプロファイルを解析しました。
 
北海道のデータについては,5月23日に"COVID-19 北海道の感染者数の推移と予測"として,このブログに記載しました。ロジステック関数で最適化する方法で今回の解析も同様に行い,また,再生産率と増加率など,その後に考案した指標で,結果を解釈しています。
 
図1は,2月10日から本日までの,日別の感染者数(日別obs)とその累計値(累計obs),日別感染者数の7日間移動平均価(日別ave)をプロットしています。累計calcは最適化によって得た累計値の計算値,日別calcは累計calcから算出した日別感染者数の計算値です。
 
累計calcは,5個のロジステック関数の和で表され,累計obsとよく重なっており,最適化が良好に行われていることを示しています。日別obsは週内の変動,休日での検査件数の減少とその後の増大,などの影響を受けてばらつきが大きいのですが,日別aveは週内の変動を緩やかにしています。解析で得られた日別calcは,これらの変化の様相を的確に表現しています。日別calcを見ると,感染の拡大・縮小の様子が把握しやすくなります。
図1. 北海道の感染者数プロファイルの最適化 [クリックで拡大]
 
Data source: 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報: 北海道オープンデータポータル https://www.harp.lg.jp/opendata/dataset/1369.html

図1の3月3日にピークがあるプロファイル1は全感染者数が160名で基本再生産数相当値が2.2,4月24日のプロファイル2は
全感染者数が860名で基本再生産数相当値が2.1で,こちらが全国的に第1波と呼ばれるものに相当します。このピークは東京都のピークから約10日遅れています。この後には散発的な第3のプロファイル3があり,第1波の余波的なものです。全感染者数が280名で基本再生産数相当値が1.6,ピークは6月13日頃です。7月の上旬までは,収束には至らなかった,比較的に感染者数が少ない状態が続きました。

図2に示すように,7月に入って,素のデータでは明瞭ではありませんが,プロファイル4は全国的には感染者数が多い第2波に相当します。全感染者数は500名で基本再生産数相当値が1.7,ピークは8月10日でやはり東京都よりは10日遅れです。図2では日別感染者数の計算値も第2波(主要)としてプロットしてあります。
 
9月中旬からはなだらかでやや高いプロファイル5が現れ,現在はピークにあるようです。このプロファイル5がこれまでの経過を辿るならば,全感染者数は1,270名で基本再生生産数相当値は1.6,ピークは10月14日頃と見積もられました。なだらかなピーク(基本再生産数が小さい)ですが,全感染者数は第1波の2倍が見込まれ,第3波と呼んでよさそうです。
図2. 北海道の感染者数プロファイルの詳細と再生産率 [クリックで拡大]

図2には,再生産率をプロットしてあります。この再生産率は日別感染者数の計算値から求めたもので,詳細は"COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [10月11日]"(
図の見方,説明などもこちら)をご覧ください 。再生産率は,1人の感染者が新たに引き起こす感染者の数,すなわち,実効再生産数に相当する値です。1ならば感染者数は横ばい,1よりも大きければ多きいほど感染は急速に増大し,1より小さければ小さいほど速やかに感染者数は減少します。独立したプロファイルでは実効再生産数の初期の値が基本再生産数にほぼ相当します。

図2の再生産率を見ると,その高いところの値は基本再生産数相当値に対応して現れていますが,プロファイルが重なっているために鈍化して低めの値となっています。再生産率が1を越えると日別の感染者数が増えだし,1を切って小さくくなるところでピークを迎えて減少し始めます。
 
第1波は,2を越える大きな再生産率でしたが,ピークを過ぎると速やかに減少して順調に下がり,0.22まで低下しました。しかし,収束に至る0近くまでは低下せず,その後は上昇し始め,以後は1を挟んで上昇・下降を繰り返しました。第3波と呼ぶプロファイル5では,現在は1を下回っていますが1に近い状態にあります。ピークを概ね1週間経過するまでは最適化の精度が充分ではないので,ご注意ください。

図3には,最適化解析の詳細,各プロファイルの日別感染者数の計算値(プロファイル3についてD f1 calc,プロファイル4についてD f2 calc,プロファイル5についてD f3 calc)などを示します。
図3 北海道の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]

図3での感染者数の累計値は,累計obsの直近の値(最大値)で除して1となるように規格化して累計obs',最適化した累計calcも同じ値で除して累計calc'としてプロットしてあります。この2つのプロットがよく重なっていれば最適化が良好であることを意味します。
 
第2波についての"τ×平均"と"τ×増加率"は,第2波と第3波を組み込んだものです。値は,日別感染者数をプロファイルの累計感染者数で除したものに感染惹起期間τを乗じたもので,平均は感染者数の移動平均値(日別ave),増幅率は最適化から得た計算値(日別calc)を,それぞれ累計の計算値で除して算出しています。

τ×平均は実質的な増加率であり,最適化で得られるτ×増加率を追随しています。これは計算モデルが適切であること,モデルが実際を充分に追跡できていることを意味しています。よく見ると,7月下旬の連休で報告される感染者数の減少を反映してτ×増加率を下回り,その直後は報告数の増加を反映して上回るといった具合に,感染者数の変化も表現しています。このような現象は,8月の連休,そして9月の連休でも表れています。
 
図の見方などは,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"もご覧ください。


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