2020/10/25

COVID-19 北海道の感染者数プロファイルの解析 [10月25日]

COVID-19 北海道の感染者数プロファイルの解析 [10月25日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Hokkaido [October 25th, 2020]

 
北海道のCOVID-19新型コロナウィルス感染症の感染者数について,本日10月25日発表までのデータを使用して,感染者数のプロファイルを解析しました。
 
北海道のデータについては,10月18日に"COVID-19 北海道の感染者数プロファイルの解析"として,前回のブログに記載しました。その後も感染者数が多い状況が続き,24日には60名と最多を更新しました。ロジステック関数で最適化する方法で今回の解析も同様に行いました。

図1に4月20日から本日までの,日別の感染者数(日別obs),日別感染者数の7日間移動平均価(日別ave)を示します(2月10日からのプロットは前回をご覧ください)。累計calcは最適化によって得た累計値の計算値,日別calcは累計calcから算出した日別感染者数の計算値です。
 
ピークが4月24日にあるプロファイル2は,全感染者数が860名,基本再生産数相当値が2.1で,こちらが全国的に第1波と呼ばれるものに相当します(こちらを第2波と呼ぶことがあります)。このピークは東京都のピークから約10日遅れています。

ピークが8月9日のプロファイル4は,全国的には感染者数が多かった第2波に相当し,本日の解析では全感染者数450名で基本再生産数相当値1.7となり,やはり東京都よりは10日近い遅れです。図1では日別感染者数の計算値も第2波(主要)としてプロットしてあります。
 
9月中旬からのなだらかな大きいプロファイル5をここでは第3波と呼びます。10月23日,24日と過去最多の感染者数が更新され,本日の解析では,このプロファイルが継続するとしたときの全感染者数は2,190名,基本再生生産数相当値は1.5,ピークは10月27日頃となりました。前回の解析では全感染者数1,270名,基本再生生産数相当値1.6,ピークは10月14日頃と見積もられていました。

第3波のピークの日時は,多かった先週の感染者数が影響して2週間近く遅くなり,想定される全感染者数が920名にも増えるという結果が得られました。なだらかなピークプロファイル(基本再生産数が小さい)がさらに広がって,全感染者数は第1波の2.5倍が見込まれます。

1. 北海道の感染者数プロファイルの詳細と再生産率 [図のクリックで拡大]
Data source: 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報: 北海道オープンデータポータル https://www.harp.lg.jp/opendata/dataset/1369.html

図1には,再生産率をプロットしてあります。この再生産率は日別感染者数の計算値から求めたもので,詳細は"COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [10月11日]"(
図の見方,説明などもこちら)をご覧ください 。再生産率は,1人の感染者が新たに引き起こす感染者の数,すなわち,実効再生産数に相当する値です。

図2の再生産率を見ると,その高いところの値は基本再生産数相当値に対応して現れていますが,プロファイルが重なっているために鈍化して低めの値となっています。再生産率が1を越えると日別の感染者数が増えだし,1を切って小さくくなるところでピークを迎えて減少し始めます。
 
第1波は,2を越える大きな再生産率でしたが,ピークを過ぎると速やかに減少して順調に下がり,0.22まで低下しました。しかし,収束に至る0近くまでは低下せず,その後は上昇し始め,以後は1を挟んで上昇・下降を繰り返しました。第3波のプロファイル5では,現在は1に近い状態にあります。ピークを概ね1週間経過するまでは最適化の精度が充分ではないので,ご注意ください。

図2には,最適化解析の詳細として,各プロファイルの日別感染者数の計算値(プロファイル3についてD f1 calc,プロファイル4についてD f2 calc,プロファイル5についてD f3 calc)などを示します。
2 北海道の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [図のクリックで拡大]

図2での感染者数の累計値は,累計数の直近の値(最大値)で除して1となるように規格化して累計obs',最適化した累計値も同じ値で除して累計calc'としてプロットしてあります。この2つのプロットがよく重なっていれば最適化が良好であることを意味します。
 
第2波についての"τ×平均"と"τ×増加率"は,第2波と第3波を組み込んだものです。値は,日別感染者数をプロファイルの累計感染者数で除したものに感染惹起期間τを乗じたもので,平均は感染者数の移動平均値(日別ave),増幅率は最適化から得た計算値(日別calc)を,それぞれ累計の計算値で除して算出しています。

τ×平均は実質的な増加率であり,最適化で得られるτ×増加率を追随しています。これは計算モデルが適切であること,モデルが実際を充分に追跡できていることを意味しています。よく見ると,7月下旬の連休で報告される感染者数の減少を反映してτ×増加率を下回り,その直後は報告数の増加を反映して上回るといった具合に,感染者数の変化も表現しています。このような現象は,8月の連休,そして9月の連休でも表れています。
 
図2の矢印は,直近の計算値の追随性について留意すべき箇所(赤い矢印)を指します。報告される感染者数が現在のプロファイルを大きく越えている(青い矢印)ことから,これが過度的なのか,あるいは,第6のプロファイルが重なって表れてくる可能性を示唆するのか,今後の経過にいっそう注意すべきです。
 
図の見方などは,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"もご覧ください。

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