2020/11/24

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [11月23日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [11月23日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [November 23th, 2020]

 
東京都が11月23日に発表した感染者数は314名でした。週の初めは報告される感染者数が少ないのですが,この日は休日なのでことさら感染者数が少ないものと思われます。以下の検討から,現在は日別の感染者数のピークにあると考えます。

前回のブログ(11月17日)に記載した"東京都の感染指数プロファイルの解析"では,暫定的な結果として,第3波のピークに13日に達したようだと述べました。その後,19-21日には500名を超える感染者数が報道されました。本日までの確定日別の感染者数をもとに,これまでと同じ方法でロジステック関数の最適化を行ない,検討を行いました。
 
図1に,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),本ブログの解析による日別の感染者数の計算値(日別calc),そして"再生産率"を挙げます。第2波の主要なピークの計算値は7月23日に記した"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のプロファイルとほぼ同じです。図1の"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。
 
解析では,23日(確定日ベースで22日。以下の日付はすべて確定日ベースです)発表分について,休日の月曜日であること,発表分の半数が21日以前で22日が156名と少ないことから,22日のデータの重みを0,0.3,0.6,1.0と変えて最適化を行いました。すると,第3波のプロファイルの変曲点(ピーク)が,21日から24日へと変動しました。さらに,第3波については2つのプロファイルから成るケースも計算してみました。これらを踏まえて,重み0.6での結果に基づいてここでは述べます。
 
再生産率は,10月24日に1よりも大きくなり,11月7日には1.38の最大値となりました。その後は減少し,22日に1.0を切ってプロファイルのピークに達しています。第3波のプロファイル自体の基本再生産数の相当値は,前回のブログでは2.4程度と得られましたが,今回の値は1.80と小さくなりました。単一のプロファイルならばこの相当値は一定の値のはずです。このように小さくなるのは,プロファイルの性格が変わった,複数のプロファイルの合算である,などによりプロファイルの幅が広がったことを意味します。
 
仮に基本再生産数相当値が2.05のプロファイルaとbから第3波が成るとすると,aの約3倍のbが2週間遅れで現れ,aが13日頃に変曲点に達してからbが遅れて28日頃に変曲点に達するモデルが得られました。この場合の第3波のピークは25日頃になります。しかし,このモデルはプロファイルbに寄与するデータ数が未だ少ないことから,ここでは単一プロファイルのケースのみを記しています。
 
図1. 11月23日発表の東京都の確定日別データ(11月22日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大]

第2波の主要なプロファイル(日別感染者数はD f1 calc),第2+β波(D f2 calc),第2+γ波(D f3 calc),第3波のプロファイル(D f4 calc)を計算に含め,これらを合成した計算値(日別calc)を図1と図2に示しています。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')は図2に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1となるように規格化した値です)。
 
最近の日別感染者数は,ほとんどが第3波のプロファイルの寄与が占めています。このプロファイルの環境収容力(全期間の感染者数)は約15,000名で,第2波(主要)に近いものとなりました。

図2. 東京都の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]

図2に東京都の感染者数プロファイルの詳細を示します。第3波についての"τ×平均"と"τ×増加率"は,第2+γ波(主要な第2波とほぼ同じ基本再生産数の相当値です)に第3波を組み込んだものです。τ×平均は実質的な増加率であり,最適化で得られるτ×増加率を追随しています。
 
第2波はピークを過ぎて日別感染者数がピークの半分に近くに減ってから,再生産率が1近辺の値に留まり,収束には至りませんでした。日別の感染者数がピークを過ぎても,実際に感染を惹起する感染者数はさらに1週間程度は増え続けます。したがって,今後2週間程度は感染が再度広がってしまう,クラスターが発生し易い,など感染プロファイルを変えてしまう要因がまだまだあります。とくに,休日を挟んでいることから,水曜日ころまでは感染者数が少なく見積もられそうですので,木・金曜日の数に注意しましょう。

図の見方は,以下,あるいは,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。

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