2020/11/02

COVID-19 北海道の感染者数プロファイルの解析 [11月2日]

COVID-19 北海道の感染者数プロファイルの解析 [11月2日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Hokkaido [November 2nd, 2020]

 
北海道のCOVID-19新型コロナウィルス感染症の感染者数について,本日11月2日発表までのデータを使用して,感染者数のプロファイルを解析しました。最新のプロファイルとして,第3波について,前回までのプロファイルを先駆部とし,急速に増大しつつある新たなプロファイルを急峻部として導入しました。
 
北海道のデータについては,10月18日に"COVID-19 北海道の感染者数プロファイルの解析",10月25日にも"COVID-19 北海道の感染者数プロファイルの解析"として,このブログで記載しました。感染者数が多い状況が続き,月曜日は報告される感染者数が通常は少ないのですが,本日は96名と最多を更新しました。ロジステック関数でプロファイルを最適化する方法で今回の解析も同様に行いました。

図1に4月20日から本日までの,日別の感染者数(日別obs),日別感染者数の7日間移動平均価(日別ave)を示します(2月10日からのプロットは10月18日をご覧ください)。累計calcは最適化によって得た累計値の計算値,日別calcは累計calcから算出した日別感染者数の計算値です。
 
9月上旬までの感染者数と解析したプロファイルについては,先の2つのブログの内容からの大きな変更はありません。図1では,日別感染者数の計算値も第3波(先駆)として,9月中旬からのなだらかな大きいプロファイル5をプロットしています。

感染者数は10月23日から大きく増えはじめ,とくに先週から本日までは感染者数がさらに増えました。第3波(先駆)のプロファイルのみでは感染者数の動向を表現しきれなくなったので,前回のブログで述べたように,新たに第3波(急峻)としてプロファイル6を導入しました。このプロファイル6はまだピークに達していないようで,得られたパラーメータの精度は詳細を記述するには充分ではありませんが,最近の3週間の感染者数をよく反映しています。

第3波(先駆)のプロファイルは,環境収容力(得られたパラメータが継続するとしたときの全感染者数)は890名,基本再生生産数の相当値は第2波と同じ値の1.7,ピークは10月7日頃と得られました。第3波(急峻)のプロファイルは,本日までに660名の感染者数をカバーしており,ピークは1週間程度先と算出されました。したがって,感染者数が多い状況が3週間程度は続くのではと,とても危惧されます。

第3波(急峻)の基本再生産数の相当値は2.1程度(1週間で倍増するペース)と大きい値が得られています。第3波全体としては,2つのプロファイルの和なので,ピークの時期と環境収容力はまだ精度が充分ではないのですが,和としての環境収容力は3,600名と算出され,第1波の約4倍,第2波の約7倍と大きな数です。これまでに報告された感染者数として,第3波に帰属される感染者数は約1,470名で,9月7日以降の感染者数に対応します。

1. 北海道の感染者数プロファイルの詳細と再生産率 [図のクリックで拡大]

Data source: 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報: 北海道オープンデータポータル https://www.harp.lg.jp/opendata/dataset/1369.html

図1には,再生産率をプロットしてあります。この再生産率は日別感染者数の計算値から求めたもので,詳細は"COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [10月11日]"(図の見方,説明などもこちら)をご覧ください 。再生産率は,1人の感染者が新たに引き起こす感染者の数,すなわち,実効再生産数に相当する値です。

図2の再生産率を見ると,その高いところの値は基本再生産数相当値に対応して現れていますが,プロファイルが重なっているために鈍化して低めの値となっています。再生産率が1を越えると日別の感染者数が増えだし,1を切って小さくくなるところでピークを迎えて減少し始めます。COVID-19では,ある時点での感染者数に再生産率を乗じた数の感染者が,1週間後の新たな感染者数の目安となります。
 
第3波は,9月6日に1を越え,10月28日に1.63に達し,本日は1.5とまだとても大きい値です(2週間で倍増のペース)。この1.5は,減少する第3波(先駆)と第3波(急峻)の和が寄与したもので,第3波(急峻)のみを見ると2.1から始まる大きな値です。なお,ピークを概ね1週間経過するまでは最適化の精度が充分ではないので,第3波(急峻)の推移にはご注意ください。
 
2 北海道の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [図のクリックで拡大]
 
図2には,最適化解析の詳細として,各プロファイルの日別感染者数の計算値(第2波プロファイル4についてD f1 calc,第3波(前駆)プロファイル5についてD f2 calc,第3波(急峻)プロファイル6についてD f3 calc)などを示します。

図2での感染者数の累計値は,累計数の直近の値(最大値)で除して1となるように規格化して累計obs',最適化した累計値も同じ値で除して累計calc'としてプロットしてあります。この2つのプロットがよく重なっていれば最適化が良好であることを意味します。
 
第3波についての"τ×平均"と"τ×増加率"は,第3波(先駆)に第3波(急峻)を組み込んだものです。値は,日別感染者数をプロファイルの累計感染者数で除したものに感染惹起期間τを乗じたもので,平均は感染者数の移動平均値(日別ave),増幅率は最適化から得た計算値(日別calc)を,それぞれ累計の計算値で除して算出しています。

τ×平均は実質的な増加率であり,最適化で得られるτ×増加率を追随しています。これは計算モデルが適切であること,モデルが実際を充分に追跡できていることを意味しています。図2の矢印は,直近の計算値の追随性について留意すべき箇所(赤い矢印)を指します。
 
図の見方などは,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"もご覧ください。

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