COVID-19 大阪府の感染者数プロファイルの解析 [4月25日, 29日,5月9日,16日,24日更新]
Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Osaka Pref. [April 25th, 29th, May 9th, 16th, and 24th updated, 2021]
[更新 5月24日]
5月24日現在のプロファイルを掲載します。図0-2が感染者数と最適化による計算結果などです。図0-2の第4波は,図2-2のプロファイル4Aと4Bの合成(和)です。合成の環境収容力(そのプロファイル全体の感染者数)は52,950名です。16日より約1,700名増えています。
4Aは環境収容力が14,570名,変曲点(プロファイルのピーク)が4月10日,基本再生産数の相当値(1人の感染者が引き起こす新たな感染者の最大数の目安)が2.02に,4Bの環境収容力は38,380名,変曲点は4月29日,基本再生産数相当値は1.72となりました。第4波は極めて近接するほとんど同じ2個のプロファイルから成るため,個々のプロファイルの環境収容力と基本再生産数相当値は日々のデータの影響を大きく受けるので,目安の値です。2個を合成した"日別calc"に着目ください。4Aは既に収束に近い状態にあります。また4Bのプロファイルも,変曲点を2週間以上も過ぎているので,着実に収束に近づいています。
黒の破線で表した"第4波5/16"は,5月16日の解析でのプロファイルです。最新のプロファイルは5月9日頃以降で幅が少し広がり,感染者数が増えています。これは4Bの基本生産数相当値が0.07だけ小さくなったことに対応しています。
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図0-2.大阪府の感染者数と最適化による計算値(5月24日現在) [図をクリックすると拡大] |
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[更新 5月16日]
5月16日現在のプロファイルを掲載します。図0-1が感染者数と最適化による計算結果などです。図0-1の第4波は,図2-2のプロファイル4Aと4Bの合成(和)です。合成の環境収容力(そのプロファイル全体の感染者数)は51,280名です。
4Aは環境収容力が17,740名,変曲点(プロファイルのピーク)が4月11日,基本再生産数の相当値(1人の感染者が引き起こす新たな感染者の最大数の目安)が1.99に,4Bの環境収容力は33,540名,変曲点は4月30日,基本再生産数相当値は1.79となりました。第4波は極めて近接するほとんど同じ2個のプロファイルから成るため,個々のプロファイルの環境収容力と基本再生産数相当値は日々のデータの影響を大きく受けるので,目安の値です。合成の日別calcに着目ください。4Aは既に収束に近い状態にあります。また4Bのプロファイルも,変曲点を2週間以上も過ぎているので,着実に収束に近づいています。
黒の破線で表したプロファイルの第4波は,大型連休に入った4月29日のデータで得た第4波で,変曲点は4月11日と30日で,環境収容力の合計は48,600名でした。5月16日現在の第4波は,第4波4/29の前半とはよく重なっており,後方に少しピークと裾が伸びています。4月29
日の更新から,大型連休を挟んで,2週間以上も経過していますが,それでも両者の対応は良好です。
なお,5月9日の更新では,ピークの様子は良く再現できていましたが,連休後のデータが連休の影響を相殺するには不十分で,減少傾向が強調されていました。影響は15日のデータまで及んでいたと解釈しています。4月29日のプロファイルの方が,概形としては現在のものにより近いものでした。
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図0-1.大阪府の感染者数と最適化による計算値(5月16日現在) [図をクリックすると拡大] |
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[更新 5月9日]
5月9日現在のプロファイルを掲載します。図1が感染者数と最適化による計算結果などです。図1の第4波は,図2-2のプロファイル4Aと4Bの合成(和)です。合成の環境収容力(そのプロファイル全体の感染者数)は43,700名です。第4波の合成プロファイルは4月末には峠を越え,減少の傾向は明瞭となっています。
4Aは環境収容力が30,900名,変曲点(プロファイルのピーク)が4月14日,基本再生産数の相当値(1人の感染者が引き起こす新たな感染者の最大数の目安)が1.90に,4Bの環境収容力は12,700名,変曲点は4月30日,基本再生産数相当値は2.52となりました。第4波は極めて近接するほとんど同じ2個のプロファイルから成るため,個々のプロファイルの環境収容力と基本再生産数相当値は日々のデータの影響を大きく受けるので,目安の値です。合成の日別calcに着目ください。4Aは既に収束に近い状態にあります。また4Bのプロファイルも,変曲点を1週間以上も過ぎているので,収束段階にあります。第4波の再生産率は4月15日頃にほぼ1となり,再生産率が1となるピークの日は4月27日頃です。
黒の破線で表したプロファイルの第4波は,4月20日の解析で得た第4波で,変曲点は4月17日でした。5月9日現在の第4波は,第4波4/20の前半とはよく重なっていますが,頂上の部分が延長された状態となっています。頂上部は4月29日更新の様子とよく重なっていて,4Bが鋭いピークとなりました。そのため第4波のプロファイルの最大値はその変曲点の30日頃となりました。前回4月29 日のブログ更新から,大型連休を挟んで,2週間を経過しましたが30日頃までの合成プロファイルは,前回の更新とほぼ同じです。
今回の解析では,連休中の感染者数の報告数の減少,その後の増大が顕著であることから,累計感染者数の減少分を増大分で相殺する処理を行っています。この処理により補正した結果は日別aveにも反映されています。直近のプロファイルでは,やや急速に減少するプロファイルの和であること,とくに後ろの4Bの基本再生産数相当値が大きいことから,また,相殺処理の影響があってか,減少の傾向が著しいように見えます。今後,連休後の増加分が報告されるデータに入ってくると,4Bの基本再生産数相当値が小さくなり,減少傾向が鈍化あるいはピークが尾を引く状況が現れると思います。
なお,年末年始のプロファイルについて,4月25日は相殺処理なし,29日の更新では有り,今回の更新も有りです。これらを比較すると,日別aveとプロファイルの一致が著しく改善され,得られる解析のパラメータも実際をうまく反映できていると考えています。
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図1.大阪府の感染者数と最適化による計算値(5月9日現在) [図をクリックすると拡大] |
更新は以上です。以下は元の記録です。
[更新 4月29日]
4月29日現在のプロファイルを掲載します。図2-1が感染者数と最適化による計算値です。図2-2が各プロファイルからの日別感染者数の計算値などです。
図2-1の第4波は,図2-2のプロファイル4Aと4Bの合成です。4Aは環境収容力(そのプロファイル全体の感染者数)は20,700名,変曲点(プロファイルのピーク)は4月11日,基本再生産数の相当値(1人の感染者が引き起こす新たな感染者の最大数の目安)は1.95に,4Bが主要プロファイルで,環境収容力は28,000名,変曲点は4月30日,基本再生産数相当値は1.87となっています。4Aは既に収束に近い状態にあります。第4波としては4月23日頃が,再生産率が1となるピークです。
黒の破線で表したプロファイルの第4波4/20は,4月20日の解析で得た第4波で,変曲点は4月17日でした。29日現在の第4波は,第4波4/20の前半とはよく重なっていますが,頂上の部分が延長された状態となっています。頂上部は4Bの変曲点の30日近く延びていると考えると,ほぼ10日間もピークにあることになります。4月23日頃に7日間平均では小さな低下があり,その後は4Bが卓越しているように思われます。
4月20日に見られた大阪府のプロファイルは現在の4Aに相当し,その後に卓越した4Bは,兵庫県の第4波(これまでの私の解析では,大阪府より10日ほど遅い感染プロファイルで,変曲点が4月30日となっています)にとても近いプロファイルとなっています。どうやら兵庫県と感染の状況が相互作用し,大阪型から,兵庫県との相関型に変わってきたように見えます。ただし,始まりは必ずしも大阪府とはいえず,兵庫県が初期には先行し,大阪府が急速に感染が増え,兵庫県が僅かに緩やかに拡大し,大阪型プロファイルがピークに近づいてからは兵庫県と一体的となってきたように思われます。
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図2-1.大阪府の感染者数と最適化による計算値(4月29日現在) [図をクリックすると拡大] |
図2-2には,プロファイル4Aと4Bについて,増加率(解析からの理論値)と平均(実際の値から算出)もプロットしてあります。両者の合致が良好なので,解析の結果は感染者数の実際をよく反映していると思われます。4Aは,増加率の初期の値の1/2よりも平均が小さくなっていることから,既にピークを過ぎています。4Bは,1/2にほぼ近い時点に来ているので,まもなくピークです。
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図2-2. 大阪府の感染者数プロファイルの最適化の詳細(4月29日現在) [クリックで拡大] |
更新は以上です。以下は元の記録です。
[4月25日掲載]
大阪府の新型コロナウイルス感染症COVID-19の感染者数(大阪府発表,4月25日現在)のプロファイルをロジスティック関数への最適化により解析しました。使用したデータは,大阪府が公表している「大阪モデル モニタリング指標の状況」からの感染者数です。
図3に, 日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),累計の計算値から得られる日別の感染者数の計算値(日別calc)をプロットしました。第3波と第4波の主要なプロファイルの日別calc,そして全期間の"再生産数"も図に示してあります。
このブログでの大阪府のCOVID-19の第3波Bは,環境収容力(そのプロファイル全体の感染者数)は14,000名,ピーク(変曲点)は1月15日,基本再生産数の相当値(1人の感染者が引き起こす新たな感染者の最大数の目安)は1.98でした。第4波Aが主要プロファイルで,環境収容力は36,100名,ピークは4月19日,基本再生産数相当値は1.89で,既に収束に向かいつつあります。第4波Aに重なって第4波Bのプロファイルが現れ,環境収容力が2,400名,ピークは4月2日,基本再生産数相当値は2.8で,急峻でしたが一過的なものでした。この第4波Bは第4波の感染者数の急な増加,立ち上がりを反映しています。
第4波の再生産率(基本再生産数相当値)の最大値は1.9と大きく,日別の感染者数が1週間でほぼ倍増と,急速な感染拡大を呈しました。個々のロジスティック関数は対称的なので,このまま推移すると,5月3日頃には感染者数はピーク時の半分程度になるでしょう。ただし,隣接する兵庫県が大阪府よりも11日程度の遅れで同様の感染者数の挙動を見せており,その遅れたピークの影響(相互の関連)を受けるならば,ピークが尾を引いて減少のペースが遅くなるかもしれません。なお,ピークを1週間以上は過ぎないと,感染者数などのパラメータの見積もりの精度は低いので,ご注意ください。
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図1.大阪府の感染者数と最適化による計算値 [図をクリックすると拡大] |
Data source: 大阪府が公表している「大阪モデル モニタリング指標の状況」http://www.pref.osaka.lg.jp/iryo/osakakansensho/corona_model.html
図3の"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1ならばその状態が継続,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。1を切る時点がピーク(変曲点)です。
累積の感染者数(累計obs)について最小二乗法により4つの関数プロファイルを最適化しました。図4は,各プロファイルからの日別感染者数の計算値(第3波の主要な分がD
f3B calc,第3波と第4波の間がD f3C calc,第4波がD f4A
calcとD f4B calc)と,これらを合成した計算値(日別calc)を示します。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')は図4に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1となるように規格化した値です)。
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図4. 大阪府の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大] |
"τ×増加率2"は内的自然増加率の理論的な変化を表し,実際のデータからの"τ×平均2"が,最適化で得られるτ×増加率をよく追随していれば,解析モデルと実際のデータの一致が良好であることを示します。第4波Aは,これらの合致がとてもよく,感染の形態(変異株の構成が単一,など)が対象の期間にわたって一様であることを示唆します。これらの値が初期の半分を過ぎる時点が変曲点なので,既に日別感染者数のピークは過ぎているいることを意味しています。