2021/01/30

COVID-19 北海道の感染者数プロファイルの解析 [2021年1月17日; 30日更新]

COVID-19 北海道の感染者数プロファイルの解析 [2021年1月17日; 23日; 30日更新]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Hokkaido [Jan. 17th, 2021; Updated Jan. 23th and 30th]

北海道のCOVID-19新型コロナウィルス感染症の感染者数について,本日2021年1月17日発表までのデータを使用して,感染者数のプロファイルを解析しました。減少傾向にあった第3波は,12月30日と31日に感染者数の増加があった後に年初は最小の状態にありました。しかし,1月6日からは急な増加を示し,週末と11日の休日には減少したものの,先週の後半には感染者が多く報告されました。

北海道のデータについては,前回12月16日の"COVID-19 北海道の感染者数プロファイルの解析(前回)"のブログでは,第3波が収束に傾向にあることを述べました。上記のような感染の再拡大が見られたことから,新たにプロファイルCを導入し,ロジステック関数でプロファイルを最適化する方法で,今回の解析も前回と同様に行いました。

1月30日更新: 図0-2は30日現在までのデータを用いた解析の結果(内容説明は図1と同じ)です。プロファイルCの変曲点(ピーク)は前回の13日から14日になりました。

第3波のプロファイルAとBは終息し,Cも収束の傾向を継続しています。第3波の環境収容力の和は約14,700名から15,260名に増え,Cだけだと約3,900名から約4,900名に増えました。Cのうち4,250名が現在まで現れたことから,今後の分は約650名です。Cの基本再生産数の相当値は2.1から1.86に低下し,減少のペースが遅くなったことを示しています。再生産率(実効再生産数に相当)は0.36まで低下しています。

図の黒い破線(日別1/23)は,1月23日のプロファイルCです。本日のプロファイルCが幅広にになり,基本再生産数相当値の減少に伴って,感染者数の減少のペースが低下していることが明瞭に表れています。これをもたらしているのは,主に今週になってからの感染者数が高止まりしているに由来しています。この傾向は新たなプロファイルの発生を示唆しているのかもしれず,今後も注目する必要があります。更新はここまで。

図0-2. 北海道の感染者数プロファイルの詳細と再生産率: 1月30日更新 [図のクリックで拡大]

1月23日更新: 図0-1は23日現在までのデータを用いた解析の結果(内容説明は図1と同じ)です。プロファイルCは,19日に変曲点(ピーク)が13日まで早まり,その後は現在までほぼ一定のパラメータとなりました。変曲点からほぼ10日間が経過したことから,パラメータはほぼ確定です。

日別の感染者数は,20日にはやや大きい値を示しましたが,累計の計算値よりも未だ小さく,直前の少なかった数を相殺するものです。23日の感染者数も同様です。第3波のプロファイルAとBはほぼ終息し,Cも収束の傾向を継続しています。第3波の環境収容力の和は一定となって約14,700名で,Cだけだと約4,000名です。和のうち13,900名が現在まで現れ散ることから,今後の分は約800名です。Cの基本再生産数の相当値は2.1なので,1.7のBよりは減少のペースは早めです。

再生産率(実効再生産数に相当)を見ると,第3波の立ち上がりは速めでした。1を切って減少し始めて28日間が経過してからCが増え始めました。そのCも1月13日には1より小さくなり,現在は0.35までも小さくなっています。第3波のAとBの合計が最大の40%まで低下してからCが卓越したことが,速やかに増減し,かつ環境収容力が小さいプロファイルで第3波の後半が経過したことにつながりました。

日本の他の都府県では,年末から年初にかけて,とても大きな感染者が生じています。北海道は,第3波のピークを11月20日頃に迎える形で抑制することができ(他の都府県ではこの頃には抑制できませんでした),その後の減少の期間も長かったことから,プロファイルCの規模を小さく抑えることができたといえます。Cの今後についても,十分に数を低下させることができれば,次の感染(第4波?)の規模も小さくできると期待できます。更新はここまで。

図0-1. 北海道の感染者数プロファイルの詳細と再生産率: 1月23日更新 [図のクリックで拡大]

図1に9月6日から本日までの日別の感染者数(日別obs),日別感染者数の7日間移動平均値(日別ave)を示します(以前のプロットについてはこれまでのブログをご覧ください)。累計calcは最適化によって得た累計値の計算値,日別calcは累計calcから算出した日別感染者数の計算値です。"第3波"のプロファイルは,プロファイルA(図2のD 3fA calcに相当),B(D f3B calc),C(D f3C calc)の日別の感染者数の計算値の和です。

図1には,再生産率をプロットしてあります。この再生産率は日別感染者数の計算値から求めたもので,詳細は"COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [10月11日]"(図の見方,説明などもこちら)をご覧ください。

再生産率は,1人の感染者が新たに引き起こす感染者の数,すなわち,実効再生産数に相当する値です。 図1の再生産率を見ると,その高いところの値は基本再生産数の相当値に対応して現れていますが,プロファイルが重なっているために,鈍化して低めの値,重なりの結果次第では1以下の値となっています。再生産率が1を越えると日別の感染者数が増えだし,1を切って小さくくなるところでピークを迎えて減少し始めます。COVID-19の感染の拡大・縮小期では,ある時点での感染者数に再生産率を乗じた数の感染者が,1週間後の新たな感染者数の目安となります。

図1. 北海道の感染者数プロファイルの詳細と再生産率[図のクリックで拡大]

Data source: 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報: 北海道オープンデータポータル https://www.harp.lg.jp/opendata/dataset/1369.html 

プロファイルAとBの環境収容力(プロファイルの終わりまでの全体の感染者数)の和は10,570名となりました。1月に入ってからは減少傾向のBと増加傾向のCが感染の主体となり,現在は大部分がCです。Bの基本再生産数相当値は1.72,Cの基本再生産数相当値は1.78で,基本再生産数相当値がほぼ等しいプロファイルです。

これら3つのプロファイルのパラメータは,連続的な累計感染者数から求めた便宜的なもので,和としてのプロファイルの方が個々のプロファイルよりも有意なものです。ただし,プロファイルCは,プロファイルAとBが一つの山となっているのに対して,別のピークで起点もかなり遅くなっています。第4波と呼んでもよいかもしれませんが,全国的にこのピークは第3波としてほぼ同じ時期に現れていることから,第3波Cとここでは呼びます。

日別calcと日別aveを見ると,年末年初には日別aveは日別calcを下回り,その後は逆に大きく上回っています。これは,年末年初には感染者数が少なく報告され,それが6日以降に加算されて大きな数になったと考えました。この過多と思われる分を過少の方へ移動させる補正を施すと,計算されるプロファイルとの合致が著しく改善されました。

解析では,この補正を行った結果を採用しています(補正を施さないと,1月6日からの分布が1週間程度の孤立したピークとなりました)。なお,他の都府県でも同様な過少と過多が顕著で,このブログのような補正を行わないと,適切な解釈が得られていない,あるいは感染拡大の過大なシグナルと捉えるのではとの危惧が推察されます。多くの都道府県の感染者数のデータは,年末年始の他にも,週末と休日の後の報告数が少なく,その後の週の後半に,この過少分が合わさって大きな感染者数となる場合がほとんどです。

図1の再生産率を見ると,11月27日には1を越え,感染者数の増加が始まりました。1月7日に1.30に達して,現在は1.10程度です。このまま経過すると19-20日には1を切り,この頃がプロファイルCの変曲点(ピーク)となります。Cの環境収容力は約6,600名と得られています。Cの基本再生産数相当値はBよりやや大きく,Bよりは減少ペースが早めです。個々のプロファイルは変曲点を挟んで時刻軸では左右対称なので(図2のD 3f calc を参照),収束には1ケ月間以上は要します。

北海道のプロファイルCは,他の都府県と比較して規模が小さく,収束も速やかのように見えます。これは,北海道では,12月には感染が明らかな減少傾向にあったこと,感染への取り組みが功を奏してきていた,などが背景にあるのでは推察しています。

図2 北海道の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [図のクリックで拡大]
 
図2には,最適化解析の詳細として,各プロファイルの日別感染者数の計算値として,第3波のプロファイルAについてD f3A calc,BについてD f3B calc,CについてD f3 C calcも示します。

図2での感染者数の累計値は,累計数の直近の値(最大値)で除して1となるように規格化して累計obs',最適化した累計値も同じ値で除して累計calc'としてプロットしてあります。この2つのプロットがよく重なっていれば最適化が良好であることを意味します。第3波についての"τ×平均"と"τ×増加率"は,第3波のBにCを組み込んだものです。

図の見方などは,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"もご覧ください。

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