COVID-19 神奈川県の感染者数プロファイルの解析[2021年1月24日]
Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Kanagawa Pref. [January 24th, 2021]
第3波プロファイルについて,プロファイルAとBの日別感染者数の計算値の和を図示しています。図の"再生産数"は,実効再生産数に相当する指標で,再生産率が1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1ならばその状態が継続,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。1を切る時点がピークです。
第3波のプロファイルはAとBの2つから成り,AとBは相関が強く,AはBが卓越してくるとBの影響を受けて本来(初期)のパラメータから変わってきます。Aは,初期の環境収容力は約3,000名でしたが,現在は約13,000名になり,基本再生産数の相当値が2.0から1.4まで下がりました。変曲点(ピーク)は11月20日から12月9日に移りました。これら変化は,解析がAとBの和の累計感染者数を最適化しているためです。
プロファイルBは既に変曲点を過ぎました。変曲点は14日です。ピークを越えて10日間を経過しており,Bのパラメータの確度は高くなっているはずです。その環境収容力は約24,400名,基本再生産数相当値は1.9と得られました。現在はプロファイルBが感染者数の大部分を占めています。合計した第3波の環境収容力は約37,200名です。合計した第3波のうちこれまで出現した数は30,400名なので,今後に見込まれる感染者数は6,800名となり,かなり少なくなりました。減少が加速すれば,今後の数は多少は少なくなります。
実際に感染がピークとなったのは,感染者数のピーク日の8日程度前と短めでも,1月6日になります。緊急事態宣言の前であり,その後の経過には効果があったのでしょうか。ちなみに,東京都の場合は,感染者数のピークが1月10日,実際の感染のピークが2日または3日です。東京都の発症日のピークはエピデータでは4日頃です。神奈川県は数日遅めです。なお,埼玉県と千葉県のプロファイルは神奈川県とよく似ており,感染者数のピークはまだ暫定的ですが,埼玉県が15日,千葉県が16日と,すこし遅めです。これで首都圏の4都県はピークを越えて明瞭な減少に入りました。
神奈川県の再生産率は,第2波の後も長くほぼ1に近い状態で,第2波の余波が一定の日別感染者数で推移しました。10月中旬には再生産率は1を越えて第3波となりました。増加のペースは12月10日頃から速くなり,1月1日頃には1.41の最大値を示しました。この値は,プロファイルAに,ほぼ同時進行したプロファイルBが大きく寄与しています。その後は減少に転じ,1月14日には1を切りました。ここが日別感染者数のピークです。11月20日頃にも再生産率が1を切りそうな状況がありましたが,Bの寄与が大きくなり,結果としてこのBが大きな感染者数を年初以後にもたらしました。
第2波が終息に至らなかったこと,第3波での11月下旬での減少の機会を逸したこと,などが長く大きな第3波の感染者数をもたらしたようです。この第3波も終息に向かっていますが,未だ感染者数はとても多く,今後の再拡大(第4波?)と高い感染力の変異ウイルスの脅威などを想起すると,感染者数を第2波の余波の状態よりも小さくすることが肝要と考えます。現状の人々の高まった感染への対応意識で,昨年の9月から10月の生活の状態を考えると,さほど不自由ではなく,経済活動も良好に過ごせそうです。
図1. 神奈川県のCOVID-19感染者数のプロファイル解析(1月24日) [図をクリックすると拡大します] |
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/t3u/dst/s0060925.html
図の見方などについては,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。
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