2021/01/01

COVID-19 神奈川県の感染者数プロファイルの解析 [1月1日]

COVID-19 神奈川県の感染者数プロファイルの解析[1月1日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Kanagawa Pref. [January 1st, 2021]

 
神奈川県のCOVID-19新型コロナウィルス感染症の感染者数のプロファイルを解析しました。使用した感染者数データは,本日1月1日現在の神奈川県が公表の感染者数の累計です。解析については本ブログの東京都などの最新のページをご覧ください。

図1に,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),累計の計算値から得られる日別の感染者数の計算値(日別calc)をプロットしました。曜日,クラスターの発生におもに起因する日別obsの大きなばらつきが,日別aveでは滑らかになっています。

第3波プロファイルについて,プロファイルAとBの日別感染者数の計算値の和を図示しています。図の"再生産数"は,実効再生産数に相当する指標で,再生産率が1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1ならばその状態が継続,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。1を切る時点がピークです。

第2波の主要なプロファイルの環境収容力(そのプロファイル全体の感染者数)は約3,850名,基本再生産数の相当値(感染の初期において1人の感染者が引き起こす新たな感染者の数の目安)は1.5,変曲点(日別感染者数のピークの日時)は8月13日でした。

第3波のプロファイルAは,環境収容力は約3,000名,基本再生産数の相当値は2.0,変曲点は11月20日と得られました。プロファイルBは未だピークに達しておらず,結果は暫定的で,ピークを越えて1週間に達しないと誤差が大きいものです。その環境収容力は約23,100名,基本再生産数相当値は1.6,変曲点は1月6日と得られました。現在はプロファイルBが感染者数の大部分を占めています。合計した第3波の環境収容力は26,100名で,第2波(主要)の9倍に近い大きな規模です。合計した第3波のうちこれまで出現した数は12,100名なので,今後に見込まれる感染者数は14,000名となり,まだまだ第3波は拡大します。

再生産率が9月23日頃からほぼで1で,第2波の余波が一定の日別感染者数で推移しました。10月20日頃に再生産率は1を越え,第3波となりました。増加のペースはやや速く,11月10日頃には1.41の最大値を示しました。この値は,プロファイルAと,ほぼ同時進行したプロファイルBの寄与の分を反映しています。その後は減少に転じ,11月23日には1を切りました。ここが日別感染者数の最初のピークです。このピークを越えてからはプロファイルBの寄与が大きくなり,12月1日には再び1を越えて感染は大きく拡大しました。

再生産率は12月17日には1.35まで達し,減少しながらも1を越えた状態で現在に至っています。感染の拡大は再生産率が1を越えた状態なので,拡大の期間が1ケ月間以上も続いています。たとえ直ちに収束に向かうとしても,期間は1ケ月は続くことになります。

図1. 神奈川県のCOVID-19感染者数のプロファイル解析(1月1日) [図をクリックすると拡大します]

Data source:
神奈川県公表"新型コロナウイルス感染症対策 陽性患者数及び陽性患者の属性データ"
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/t3u/dst/s0060925.html

累積の感染者数(累計obs)について最小二乗法により4つの関数プロファイルを最適化しています。図2は,各プロファイルからの日別感染者数の計算値(第2波(主要)がD f2 calc,これに付随するものがD f2' calc,第3波のAがD f3A calc,BがD f3B calc,合計がD f3 calc)と,これらを合成した計算値(日別calc)を示します。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')は図2に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1.0となるように規格化した値です)。

図2. 神奈川県の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]

第3波のプロファイルBについて"τ×平均"と"τ×増加率"を図2に示しています。τ×平均は実質的な増加率であり,最適化の計算で得られるτ×増加率を追随していて,このプロファイルのパラメータが感染者数をよく反映するものであることを意味しています。

図の見方などについては,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。

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