2020/12/19

COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [12月19日; 1月8日更新]

COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [12月19日; 1月8日更新]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Ibaraki Pref. [December 19th, 2020; updated Jan. 8th, 2021]

茨城県の新型コロナウイルス感染症の感染者数のプロファイルをロジスティック関数への最適化により解析しました。使用したデータは,茨城県が公表している「新型コロナウイルス感染症陽性者一覧」で,本日12月19日までの最新の累計感染者数です。第3波は11月24日にピークを越え,ピーク時の約3割まで日別の感染者数が減少し,収束に向かっています。

2021年1月8日更新: 年が明けて5日以降,感染者数が増えて8日には127名が報道されました。これらを反映して,第3波Cのプロファイルが増大するものとして,解析を更新しました。パラメータを駆動する日数が4日程度なので暫定的な結果ですが,環境収容力は5,500名と驚くほど大きな値です。基本再生産数相当値は2.1と変化がなく,変曲点(ピーク)は1月20日と得られました(図0-3)。8日現在の再生産率は1.80で,プロファイルに変化がなければ,変曲点での値1.0に向かって減少していきます。

第3波Aと第3波Bの環境収容力の和は1,530名となりました。第1波は170名,第2波の主要部は410名(付随した部分が別に180名)でした。始まったばかりの第3波Cのプロファイルは,さらに大きくなるかもしれない兆候(増幅率)がありますので,くれくぐれも推移にご注意ください。

図0-3. 茨城県の感染者数と最適化による計算値: 2021年1月8日暫定結果 [図をクリックすると拡大]
 

2021年1月1日更新: 第3波Cのプロファイルについて,暫定的な結果として,環境収容力は935名,基本再生産数相当値2.1,変曲点(ピーク)は1月2日と得られました(図0-2)。第3波Aと第3波Bの環境収容力の和は1,304名です。

図0-2. 茨城県の感染者数と最適化による計算値: 2021年1月1日暫定結果 [図をクリックすると拡大]
 

12月28日更新: 先週のデータを見ると,収束の途上にあったプロファイルに新たな傾向が現われました。図0-1の"第3波BC"の先週の部分に,増加の傾向となっているプロファイルの"第3波C"に注目です。このプロファイルC(1,180名)は,関東地方で最近増えている状況の影響を受けている可能性があり,第3波のAとBの合計(1,110名)に匹敵する累計感染者数になるかもしれません。まだデータの日数が少ないので,解析結果は暫定的です。

図0-1. 茨城県の感染者数と最適化による計算値: 12月28日暫定結果 [図をクリックすると拡大]

茨城県については,11月27日に"COVID-19 茨城県の感染者数プロファイルの解析 [11月27日]"にてこのブログで採り上げ,22日頃が第3のピークと指摘しました。その後,12月4日には85名もの感染者数が報道されましたが,ブログで指摘したように収束傾向は続きました。ただ,収束の傾向は,感染拡大時とは異なる緩やかな減少を示したので,第3波としては2つのプロファイルを採ることにしました。以下では,前回と同じ方法で感染者数のプロファイルを解析しました。

図1に,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),累計の計算値から得られる日別の感染者数の計算値(日別calc)をプロットしました。クラスターの発生に起因する日別obsの大きなばらつきが,日別aveでは滑らかになっています。1日ないし2日の鋭く棒状に増えている日別感染者数は典型的なクラスターの発生を示唆します。なお,7月1日以前のグラフについては10月25日のブログと,以下の図3をご覧ください。

第3波プロファイルについて,プロファイルAとBの日別感染者数の計算値の和を図示しています。図の"再生産数"は,実効再生産数に相当する指標で,再生産率が1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1ならばその状態が継続,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。1を切る時点がピークです。

第2波の主要なプロファイルの環境収容力(そのプロファイル全体の感染者数)は約400名,基本再生産数の相当値(感染の初期において1人の感染者が引き起こす新たな感染者の数の目安)は1.7,変曲点(日別感染者数のピークの日時)は8月7日でした。第3波のプロファイルAは,環境収容力は約680名,基本再生産数の相当値は2.2,変曲点は11月22日と得られました。プロファイルBは,環境収容力は約840名,基本再生産数相当値は1.8,変曲点は12月4日と得られました。現在はプロファイルBが感染者数の大部分を占めています。合計した第3波の環境収容力は1,520名で,第2波(主要)の4倍近い規模です。基本再生産数相当値は2.1でした。合計した第3波のうちこれまで出現した数は1,380名なので,今後に見込まれる感染者数は140名となります。

第3波は,再生産率が10月17日頃から急に大きくなりはじめて20日頃には1を越えました。増加のペースは速く,11月3日頃には1.96の最大値を示しました。この値は,プロファイルAと,ほぼ同時進行したプロファイルBの寄与の分を反映しています。その後は減少に転じ,11月24日には1を切りました。ここが日別感染者数のピークです。このピークを越えてからはプロファイルBの寄与が大きくなり,再生産率の低下は緩やかなり,本日12月19日の再生産率は0.42近くにあります。感染の拡大は再生産率が1を越えた状態なので,拡大の期間が1ケ月間以上も続きましたが,その後の収束状態ももうすぐ1ケ月続くことになります。

図1. 茨城県の感染者数と最適化による計算値 [図をクリックすると拡大]

Data source: 茨城県が公表している「新型コロナウイルス感染症陽性者一覧」https://www.pref.ibaraki.jp/1saigai/2019-ncov/ichiran.html

累積の感染者数(累計obs)について最小二乗法により4つの関数プロファイルを最適化しています。図2は,各プロファイルからの日別感染者数の計算値(第2+γ波がD f2 calc,第3波のAがD f3A calc,BがD f3B calc,合計がD f3 calc)と,これらを合成した計算値(日別calc)を示します。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')は図2に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1.2となるように規格化した値です)。

図2. 茨城県の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]

第3波について"τ×平均"と"τ×増加率"を図2に示しています。これらはプロファイルAにBの寄与を組み込んだものです。τ×平均は実質的な増加率であり,最適化の計算で得られるτ×増加率を追随しています。

図3は,2021年1月1日までの累計の感染者数の計算値(累計calc)と日別感染者数の計算値(日別calc)を挙げました。計算には最適化で得られたパラメータを使用しており,予測ではなく,むしろ過去のプロファイル挙動の表示です。12月10日以降は日別感染者数の減少が緩やかになっています。この状況は,首都圏で今だに拡大し続けている第3波の後方側プロファイルに対応するのかもしれません。この漸減状況を脱することができれば,収束はより速やかになるでしょう。

図3. 茨城県のプロファイル関数の最適化と計算値の詳細(1月1日まで) [クリックで拡大]

図の見方などについては,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。

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