2021/01/01

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [2021年1月1日]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [2021年1月1日]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [January 1st, 2021]

 
東京都が2021年1月1日に報道発表した感染者数は783名でした。前日の12月31日には1,337名のこれまでの最大数が報道されました。その以前は12月27日の949名が最大でした。確定日ベースでは,12月29日が1,005名,30日が1,155名と最大数が更新されています。なお,これら確定日ベースの数は今後修正され,感染者数はこれらよりも数%増えるはずです。
 
前回のブログ(12月17日)の"東京都の感染者数プロファイルの解析"では,第3波が2つのプロファイルAとBから成るモデルとし,後の方のプロファイルBが増え続けていることを述べました。確定日ベースの感染者数を用いて,これまでと同じ方法によってロジスティック関数の最適化を行ない,感染者数のプロファイルを解析しました。なお,以下の日付は確定日ベースで,報道発表データよりは概ね1日早くなります。
 
図1に,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),本ブログの解析による日別の感染者数の計算値(日別calc),そして"再生産率"を挙げます。"第3波"としてはプロファイルAとBの和として日別の感染者数の計算値をプロットしてあります。"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1でピーク,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。
 
再生産率は,11月7日の1.38の最大値から減少に向かい,25日に1を切りいったん感染者数のピークに達した後にすぐ,28日には1を越えて感染者数が増加に転じました。その後は感染者数の漸増を表す再生産率1.2程度の日が続き,1月1日現在でも1.09で,感染者数の増加が続いています。再生産率は小さいのですが,感染者数自体が大きいので,(再生産率)×(感染者数)が示す,およそ1週間後の感染者数は大きな数となっています。
 
第3波のプロファイルAは,基本再生産数相当値が1.90,環境収容力(全期間の感染者数)が約8,200名,変曲点が11月18日で,前回のブログとほぼ同じです。プロファイルBは,基本再生産数相当値が1.45,環境収容力が約59,500名,変曲点が1月7日と得られました。基本再生産数相当値が小さくなり (時間・空間的に広がった),環境収容力はさらに大きくなりました。プロファイルBは変曲点(ピーク)にはまだ達していないので,解析結果は暫定的で,不確定の要素は大です。

図1. 東京都が1月1日発表の確定日別データ(12月31日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大]

第2波の"主要"なプロファイル(日別感染者数はD f1 calc),第2+γ波(D f2 calc),第3波のプロファイルA(D f3A calc)とプロファイルB(D f3B calc),これらすべてをを合成した計算値(日別calc)を図1と図2に示しています。"第3波"はAとBの和です。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')は図2に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1となるように規格化した値です)。

最近の日別感染者数は,ほとんどがプロファイルBの寄与が占めています。"第3波"のプロファイルの環境収容力の合計は約67,700名で,最近10日間で約8,000名の増加です。合計は第2波(主要)約17,000名の4.0倍となりました。合計のうち,これまで約30,500名の感染者が報告されたことになり,合計の半分には達しておらず,プロファイルがこのまま推移するとしたら(楽観的な見通し),約38,000名の感染者が今後に生じます。
 
第3波の2つの近接するプロファイルのパラメータは,連続的な累計感染者数から求めた便宜的なもので,和としてのプロファイル(図1と2の"第3波")の方が意味のあるものです。プロファイルAはほぼ終息に達しましたが,Bはまだ収束段階には入っていません。東京都,周辺の埼玉県,千葉県と神奈川県の場合は同じようなプロファイルで,感染者数が増加の傾向が続き,ピークにはまだ到達していません。
 
図2. 東京都の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]

図2に東京都の感染者数プロファイルの詳細を示します。第3波についての"τ×平均"と"τ×増加率"は第3波Bのものです。τ×平均は実質的な増加率であり,最適化で得られるτ×増加率を追随していて,12月末の大きな感染者数もプロファイルの範疇にあることを指し示しています。これらの値が初期の値の半分になる時点が変曲点(ピーク)となります。

第2波はピークを過ぎて日別感染者数がピークの半分に近くに減ってから,再生産率が1近辺の値に留まり,収束には至りませんでした。第3波の日別の感染者数がピークを過ぎても,実際に感染を惹起する感染者数はさらに1週間程度は増え続けます。したがって,1月中旬までの間は,感染が再度広がってしまう,クラスターが発生し易い,のように感染プロファイルを変えてしまう要因は多々ありえますので,最新のデータで解析をアップデートする必要があります。

図の見方は,以下,あるいは,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。

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