2021/05/29

COVID-19 兵庫県の感染者数プロファイルの解析 [4月25日,5月9日,16日,24日,29日更新]

COVID-19 兵庫県の感染者数プロファイルの解析 [4月25日,5月9日,16日,24日,29日更新]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Hyougo Pref. [April 25th, May 9th, 16th, 24th, and 29th updated, 2021]

 
兵庫県の新型コロナウイルス感染症COVID-19の感染者数(兵庫県発表,4月25日現在)のプロファイルをロジスティック関数への最適化により解析しました。使用したデータは,NHKが公表している「新型コロナウイルスデータ一覧」からの感染者数です。
 
解析の手法と結果の見方などについては,9月11日の"東京都の感染者数プロファイルの解析"のブログをご覧ください。
 
このブログでの兵庫県のCOVID-19の第3波は2つのプロファイルAとB,第4波は1つのプロファイルで最適化の近似ができました。兵庫県の場合は最適化が容易で,第1波の1個と第2波の2個と合わせて,わずか6個のプロファイルです。
 
[5月29日更新]
 
兵庫県の感染者数を5月29日までのデータで解析しました。図0-3は,4月25日記載の図3に相当する,更新した解析結果を表しています。
 
結果は,5月24日のパラメータと同じく得られました。図では,5月17日の第4波プロファイルを破線で"第4波5/17"としてプロットしてあります。最新のプロファイルと見分けができないほど重なっています。兵庫県では,感染の傾向がこの間は全く変化していないことになります。
 
5月31日までの第4波の累計感染者数は21,715名と算出され,環境収容力の22,571名との差の856名が6月1日以降の累計感染者数の見積となります。第4波の全体のわずか4%にも満たない数です。感染者数を減ずるという観点からは,緊急事態宣言の意義は何なのでしょうか?[更新は以上]
 
図0-3. 兵庫県の感染者数と最適化による計算値(5月29日) [図をクリックすると拡大]
 
[5月24日更新]

兵庫県の感染者数を5月24日までのデータで解析しました。図0-2は,4月25日記載の図3に相当する,更新した解析結果を表しています。
 
第4波のプロファイルのピークは4月25日と,約1日遅くなりました。環境収容力は22,570名,基本再生産数相当値は1.64です。図1に破線で示した"第4波5/16"と比べると,後方にプロファイルが広がっています。前回のべたように,基本再生産数相当値が0.01とわずかに小さくなり,プロファイルの幅が後方に広がりました。これに対応して環境収容力が約1,000だけ大きくなりました。
 
上記の変化は,感染傾向の変化を示しているというよりは,大型連休の影響がその後のデータで補完され,データ全体の整合性が満たされたことによると考えられます。第4波のプロファイルは非常に確度が高くなっていると思われ,新たなプロファイルが現れなければ,このプロファイルに沿って感染が進行するでしょう。すなわち,プロファイルに変化が現れれば,それは新たな感染パターンの始まりといえます。
 
図0-2. 兵庫県の感染者数と最適化による計算値(5月24日) [図をクリックすると拡大]
 
[5月16日更新]

兵庫県の感染者数を5月16日までのデータで解析しました。図0-1は,4月25日記載の図3に相当する,更新した解析結果を表しています。
 
第4波のプロファイルのピークは4月24日で前回と変わらず,環境収容力は21,500名,基本再生産数相当値は1.65です。図1に破線で示した"第4波5/9"とほぼ同じプロファイルとなっています。ただし,この間の"日別ave"感染者数が多めなので,この先の解析では基本再生産数相当値がやや小さくなる(プロファイルの幅が広がる)でしょう。
 
図0-1. 兵庫県の感染者数と最適化による計算値(5月16日) [図をクリックすると拡大]
 
[5月9日更新]

兵庫県の感染者数を5月9日までのデータで解析しました。図1は,4月25日記載の図3に相当する,更新した解析結果を表しています。
 
第4波のプロファイルのピークは4月24日と得られ,環境収容力は21,600名,基本再生産数相当値は1.65です。既にピークに達しており,2週間を経過しようとしており,パラメータの確度は高くなっています。
 
"日別ave"は連休の影響を考慮して算出した7日間移動平均です。黒い破線は4月20日解析のプロファイルです。隣接の大阪府と連動してピークが早まったようです。新たな感染の形態が現れなければ,今回の解析のプロファイルで経過すると思われ,減少が続くものと思われます。なお個々のプロファイルは変曲点を挟んで図では左右対称なので,今後の感染者数の減少は増加を時間軸の逆にたどります。
 
図1. 兵庫県の感染者数と最適化による計算値(5月9日) [図をクリックすると拡大]
 
更新は以上です。
 
[4月25日記載]
 
図2と図3に, 日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),累計の計算値から得られる日別の感染者数の計算値(日別calc)をプロットしました。図2は3月末からの現在までの感染者数とその累計への最適化を示します。図3は第3波と第4波について,各プロファイルの日別calc,そして全期間の"再生産数"も図に示してあります。
 
図2. 兵庫県の感染者数と最適化: 第1波,第2波,第3波と第4波 [図をクリックすると拡大]
 
第3波Aは,環境収容力(そのプロファイル全体の感染者数)は5,230名,ピーク(変曲点)は11月30日,基本再生産数の相当値(1人の感染者が引き起こす新たな感染者の最大数の目安)は1.65でした。第3波Bは,環境収容力は9,670名,ピークは1月14日,基本再生産数の相当値は1.70でした。
 
第4波は単一のプロファイルで,環境収容力は29,400名,ピークは4月30日,基本再生産数相当値は1.6で,未だピークには達していません。第4波は第3波の約3倍の累計感染者数が見込まれます。
 
第4波の再生産率(基本再生産数相当値)の最大値は1.52と大きく,大きな値の期間が長かったので感染者数がとても大きくなりました。隣接する大阪府よりも11日程度の遅れで,大阪府と同様の感染者数の挙動を見せており,先行する大阪府のピーク(4月19日頃)の影響(相互の関連)を受けるならば,ピークが早めに到来し,減少のペースがやや早まるかもしれません。なお,ピークには未だ達していないことから,とりわけ,ピークを1週間以上は過ぎないと,感染者数などのパラメータの見積もりの精度は低いので,ご注意ください。ただし,最適化の状況が良好なので,確かさが高いと考えています。
 
図3. 兵庫県の感染者数と最適化による計算値(4月25日) [図をクリックすると拡大]
 
Data source: NHKが公表している「新型コロナウイルスデータ一覧」からの兵庫県の感染者数です。https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-widget/
 
図3の"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1ならばその状態が継続,1よりも小さければ小さいほど収束に向かう傾向が大きくなります。1を切る時点がピーク(変曲点)です。
 
累積の感染者数(累計obs)について最小二乗法により3つの関数プロファイルを最適化しました。図4は,各プロファイルからの日別感染者数の計算値(第3波のD f3A calc,第3波の主要な分がD f3B calc,第4波がD f4 calc)と,これらを合成した計算値(日別calc)を示します。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')は図4に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1となるように規格化した値です)。
 
図4. 大阪府の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]
 

"τ×増加率2"は内的自然増加率の理論的な変化を表し,実際のデータから"τ×平均2"が,最適化で得られるτ×増加率をよく追随していれば,解析モデルと実際のデータの一致が良好であることを示します。第4波は,これらの合致がとてもよく,感染の形態(変異株の構成が単一,など)が対象の期間にわたって一様であることを示唆します。これらの値が初期の半分を過ぎる時点が変曲点ですが,まだ日別感染者数のピークには達していません。
 
図の見方などについては,COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご覧ください。

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