COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析
[8月4日]
Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [August 4th, 2020]
東京都が本日8月4日に発表した感染者数は309名です。確定日の8月3日分は197名で,2日分は207名(74名追加)に,1日分は358名(29名追加)に変更されました。 確定日ベースの31日分の472名(10名追加)がこれまでの最大です。
連休後の感染者数の増大で,"τ×平均2"が"τ×増加率"よりも大きかった値が,"τ×増加率"に近づきました。"τ×平均2"と"τ×増加率"がともにやや小さくなり,初期の頃の値の半分を下回りました。変曲点(日別感染数のピーク)は確定日ベースの7月29日22時で,ほぼ確定です。なお,昨日のブログの時刻の取り扱いに記したように,実質的な変曲点は30日と考えることができます。
7月24日前後の週は日別感染者数が少なく,その様子が"τ×平均2"に現れています。その影響で変曲点が2日間ほど早まりました。1日早まると約600名の減少なので,2日間では約1,200名も感染者が少なくなったはずです。7月23日の時点での"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"の図を現時点での結果と併せて解釈しても,このブログでの解析の精度は良好ではないでしょうか。
「グラフの見方」は図の下方に挙げてあります。
8月4日発表の東京都の確定日別データ(8月3日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大] |
"τ×平均2"が,"τ×増加率"よりも小さい(下方の)時は収束の傾向(実効再生産数が減少),大きい(上方の)時はいっそう拡大の傾向(実効再生産数が増大)を意味しています。なお,"τ×増加率"自体も日々のデータに応じた最適化により,更新されていることにご注意ください。
グラフの見方
感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。
累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。
"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。
最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ
(tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。
日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。
これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。
"累計calc'","日別calc"と"τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。
日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc"と"τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率"と"τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。
"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。