2021/08/28

COVID-19 日本と東京近県の感染者数プロファイルの解析 [8月28日; 2021年]

COVID-19 日本と東京近県の感染者数プロファイルの解析 [8月28日; 2021年]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Japan and also those for prefectures nearby Tokyo [August 28th, 2021]

 

日本のCOVID-19感染者数と,東京の近県の感染者数について,NHKの集計データ(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-widget/)を用いて感染者数のプロファイルを解析しました。データは2021年8月28日までの累計の感染者数です。
 
ここでは日本全体神奈川県千葉県,埼玉県茨城県のプロファイルの解析結果を示します。第5波の主要なプロファイルの変曲点(ピーク)はこれらでは8月22日頃で,東京都の17日よりは遅くなっています。各プロファイルの確度は,変曲点から概ね1週間を経過すると高くなりますが,現時点での日数が少ないことから,県によって異なります。それでも,感染者数の傾向をプロファイルはよく表していると思っています。
 
解析の方法は,ブログ(8月28日)の"東京都の感染者数プロファイルの解析"と同様で,"第5波"の3つのロジステック関数のプロファイル5A,5Bと5Cで表しています。第4波と第5波,およびそれ以前のプロファイルをロジステック関数の和で表し,日々の累計の感染者数に対して,第4波と第5波の各関数のパラメータを最小二乗法により最適化しました。最適化の具体的な方法は上記ブログの東京都と同様です。
 
グラフの図では,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),本ブログの解析による日別の感染者数の計算値(日別calc),着目している各プロファイルの日別の感染者数の計算値,そして"再生産率"を示しています。"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1でピーク(増加時。減少時には底の値),1よりも小さければ小さいほど減少・収束に向かう傾向が大きくなります。また,破線の"第5波8/x"として,8月x日時点での解析による第5波の各プロファイルの和をグラフに示してあります。その時点と現在の差異からプロファイルの変化と確度を推察ください。
 
[日本全国]
 
図1は日本全国の感染者数についてのものです。東京都の場合と同様に,第5波はプロファイル5Cが主体で,5Aと5Bはほとんど終息の段階です。5Cの変曲点は8月22日,基本再生産数相当値(R0)は2.13,環境収容力(終息までの全期間の感染者数)は557,000名です。8月23日からのプロファイルの変化が小さくなっているので,5Cのパラメーターは確度が高くなっています。今後やや幅が広がって(R0小さくなって),変曲点が遅くなるかもしれません。
 
1. 日本全体の感染者数とそのプロファイル [図をクリックすると拡大]
 
再生産率は7月24日に最大値の1.7(目安としては,1週間後には日感染者数が1.7倍になる)に達し,8月22日には1を切ってピークを迎えたました。
 
プロファイル5AはR0が1.53で,"アルファ型"(イギリス型)の感染プロファイルを反映していると考えられます。また,プロファイル5Bと5CはR0が2.43と2.13と大きく,両者とも"デルタ型"(インド型)の感染力の強さと,出現の割合を示唆しています。5Aと5Bは流行の時期の差異を映し出しているようです。
 
第5波のプロファイルの合計の累計感染者数(環境収容力。将来に現れる感染者数も含みます)は約814,000となりました。そのうち,約652,000名が本日までに現れているので,今後の累計感染者数は約162,000名です。入院など療養を要する人の数は,感染者数の日付から概ね2週間遅れて来るので,まだピークと想定される数の半数には達してはいないでしょう。また,死亡される方の数は3週間程度の遅れとなるので,感染者数の大きさから,今後が危惧されます。
 
解析では,できるだけ少ない数のロジスティック関数を用いて,関数の和として累積の感染者数へ最適化しています。用いているデータは暦日(日付,曜日,休日)についての過去の累積感染者数のみです。 したがって,予測ではありません。新たなプロファイルが現れた時には,過去のプロファイルからの乖離としてその出現を検知できます。プロファイルの確度は出現の初期には低く,おおむね変曲点を1週間を過ぎると信頼に値する確度になります。もちろん,新たな出現とその性状は見通すことはできません。また,結果も報告(公表)されるデータの性質と正確さに依存しています。結果の解釈は,結果を観る観点にも大いに依存していますので,ご留意ください。

図の見方は,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご参考ください。

[神奈川県]
 
神奈川県についての解析の結果を図2に挙げます。東京都と比べると,プロファイル5Cが大きくなり続けましたが,8月18日頃にはほぼ一定のパラメーターとなりました。第5波Cの変曲点は22日で,東京都の17日よりも5日遅れとなりました。R0は1.76とやや小さいのですが,5BのR0は3.64ととても大きい値です。そのため,7月下旬には急激な感染者数の増大があり,28日には再生産率は1.78まで大きくなっています。5Cの環境収容力は約89,000名で,第5波全体で約107,000名です。
 
2. 神奈川県が8月28日発表の日別データに基づきます [図をクリックすると拡大]
 
[千葉県]
 
千葉県についての解析の結果を図3に挙げます。神奈川県と同様に,プロファイル5Cが大きくなり続けました。8月21日頃までの再生産率が大きく,R0が大きかったのですが,現在は2.1となっています。5Cの変曲点は20日で,東京都の17日よりも3日遅れです。5BのR0は3.15ととても大きい値で,5CのR0は1.76とやはり大きい値です。そのため,7月下旬には急激な感染者数の増大があり,26日には再生産率は1.80まで大きくなっています。5Cの環境収容力は約36,000名で,第5波全体で約57,000名です。
 
8月21日の"第5波8/21"よりもプロファイルの広がりも傾向が顕著です。しかも,8月27日と28日の感染者数は,これまでのプロファイルによるものよりも多く,大きなクラスターの発生,お盆以降の感染者数の増大,あるいは新たなプルファイルの発生を示唆しているかもしれません。
 
3. 千葉県が8月28日発表の日別データに基づきます [図をクリックすると拡大]
 
[埼玉県]
 
埼玉県についての解析の結果を図4に挙げます。プロファイル5Aは第4波に近く,環境収容力が約1,200名と小さい。プロファイル5Bと5Cが大きく,他の近県とは異なっています。5Bの変曲点は8月9日R0は1.80,環境収容力は約37,000名です。現時点で日別感染者数への寄与が大きい5Cは,変曲点が8月22日,R0が2.26で近県の値に近く,環境収容力は約23,000名です。第5波全体では約62,000名です。
 
4. 埼玉県が8月28日発表の日別データに基づきます [図をクリックすると拡大]
 

[茨城県]
 
茨城県については,8月29日までのデータを解析しました。結果を図5に挙げます。プロファイル5Aは第4波に近く,環境収容5が約420名と小さい。プロファイル5Bが大きく,後続の5Cがやや小さく,埼玉県に近い状態ですが,この2つは起点が分かれています。現在はこれら2つともほぼ同じように減少に向かっています。5Bの変曲点は8月8日R0は1.97,環境収容力は約7,000名です。5Cは,変曲点が8月23日,R0が2.87と大きく,環境収容力は約3,300名です。第5波全体では約10,800名です。
 
近県よりは人口当たりの感染者数は少ないのですが,頻発しているクラスターによる感染者数の変動ぶれが大きくなっています。それでも再生産率は7月21日には1.75にも達する大きな値でした。現在の再生産率は0.15近辺まで小さくなっていますが,これはR0が大きい5Cとクラスター発生に由来しており,データの日数が増えると算出されるR0が小さくなって,減少のペースが鈍化するものと考えられます。

5. 茨城県8月29日発表の日別データに基づきます [図をクリックすると拡大]

2021/08/14

COVID-19 東京都と近県の感染者数プロファイルの解析 [8月21日更新, 2021年]

COVID-19 東京都と近県の感染者数プロファイルの解析 [8月14日, 21日更新; 2021年]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo and nearby Prefectures [August 14th and 21th updated, 2021]

 

東京都が発表した確定日別の感染者数を用いて,感染者数のプロファイルを解析しました。2021年8月7日のブログでのプロファイルには,その後に顕著な変化が現われました。8月14日のデータによると,感染者数のピークは漸増を示し,8月15日(報道発表の速報データの日付では16日)頃を過ぎてようやく減少となります。東京オリンピック開催の期間が,今回の感染者数の増加の時期と対応しています。
 
参考までに,神奈川県千葉県埼玉県のプロファイルの解析結果を後方に挙げました。東京都,神奈川県と千葉県の第5波の主要なプロファイルは5Cで,基本再生産数相当値はおよそ1.83でほぼ同じ値です。埼玉県のプロファイルはこれらとは異なっていて,第5波の基本再生産数相当値はやはり1.82とほぼ同じです。
 
前回のブログ(8月7日)の"東京都の感染者数プロファイルの解析"では,"第5波"を2つのプロファイル5Aと5Bで表していました。その後の漸増傾向を本解析に反映するため,3つ目のプロファイ5Cを導入しました。第4波と3つの第5波のプロファイルをロジステック関数の和で表し,日々の累計の感染者数に対して各関数のパラメータを最小二乗法により最適化しました。最適化の具体的な方法は従来の解析と同じです。
 
[8月21日更新]
 
図0-1が8月14日の図1に,図0-2が同じく図2に対応する,8月21日の解析結果です。
 
第5波はプロファイル5Cが主体となり,5Aは僅な日別感染者数,5Bはほとんど終息の状態です。5Cの変曲点は8月18日,基本再生産数相当値は1.80,環境収容力は144,700名です。第5波の全期間の全体の感染者数は21万名となりました。前回の解析よりも約8,000名の増加です。
 
前回の解析では5Cはまだ変曲点(前回の計算では17日)には到達していませんでしたが,今回の解析では日別感染者数が僅かに増えて変曲点は1日遅くなりました。再生産率も17日には1よりも小さくなっており,このまま経過すると,来週後半には日別感染者数の減少傾向がより明瞭となり,プロファイルの確度も高くなりそうです。
 
0-1. 東京都が8月21日発表の確定日別データ(8月20日まで)に基づく [図をクリックすると拡大]

図0-2. 東京都の感染者数プロファイルの最適化の詳細(8月21日解析) [クリックで拡大]

更新は以上です。
 
[8月14日の続き]
 
最適化の期間内には,7月22日から25日までの4連休と8月8日と9日の連休がありました。報告される感染者数は,連休の影響を受けて,その期間と直後は感染者数は少なく報告されます。連休中と直後の数日は,通常の日曜日とその直後の感染者数の比率(計算値に対する報告数の割合)に近くなると仮定し,また最小二乗法の重みも小さくして解析を行いました。また,この操作の後に,減少分を後日の増加分で補填する処理を行いました。その他の日々については,曜日ごとの過去の比率データで補正して曜日による変動を低減しています。これら操作により,ある期間の累計感染者数は実際の累計数とは乖離させないという条件を付しています(前回までのブログにて説明しました)。
 
以前の解析の期間には,主要なプロファイルはせいぜい1つで,これに裾を引いた前後のプロファイルが重なっていました。今回の解析では,7月以降は,なんと3つのプロファイルが重なっています。これら3つのプロファイルの個々のパラメータは累計感染者数の日々の値を反映するもので,個々のパラメータの意味するところはこれまでのパラメータの意味よりも低くなっています。典型例と考えてください。
 
図1は,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),本ブログの解析による日別の感染者数の計算値(日別calc),そして"再生産率"を挙げます。また,前回の解析での第5波のプロファイルの和を"第5波8/07"としてグラフに示してあります。"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1でピーク(増加時。減少時には底の値),1よりも小さければ小さいほど減少・収束に向かう傾向が大きくなります。

第4波のプロファイルは,5月3日が変曲点(ほぼピークに相当)で,基本再生産数相当値(R0)は1.48,環境収容力(期間全体の累計感染者数)はおよそ46,000名です。これらのパラメータ値はこれまでのブログからは変化がほとんどありません。本ブログの日付は確定日ベースで,報道発表データ(当日分の数は1%程度,前日分が約80%,残りがその前の日付の分です)よりは概ね1日早くなります(報道発表の日付は1日を加えて考えてください)。なお,実効再生産数は感染が生じた日が基準なので,"再生産率"を実効再生産数に対応させる際は,日付から7日を差し引いてグラフをご覧ください。
 
再生産率は,日別の感染者数が最小となった6月11日から1を上回りはじめ,第5波となりました。6月30日には再生産率は1.28まで増加し,ほぼ横ばいとなりました。これはプロファイル5Aが寄与したもので,"アルファ型"(イギリス型)の感染プロファイルを反映していると考えられます。その後,7月11日頃から急激な増加を見せ始め,24日には1.71まで大きくなりました。これは1週間でおよそ1.7倍の日感染者を生ずる大きな値です。この様子を反映してるのがプロファイル5Bで,"デルタ型"(インド型)の感染力の強さと,出現の割合を示唆しています。
 
再生産率は8月4日には1を切ってひとまずピークを迎えたました。その後はまた微増に転じ,第5波プロファイルAとBから乖離する感染者数の増加分が8月7日頃に認められ,5Cのプロファイルを加えました。この間の再生産率は1.06まで僅かに増えました。プロファイル5Cの基本再生産数相当値は5Bよりも小さいので減少の速度は低下しています。再生産率が1よりも小さくなるのは15日で,この時には5Aと5Bの割合が大きく低下しているので,今後の減少傾向は5Cのもので,やや緩やかな減少となります。5Cはやはりデルタ型を反映していると考えています。
 
第5波はまだ進行中なので,プロファイルの現在の値は暫定的です。とくに5Cは未だ変曲点に達しておらず,しかも4連休と2連休があったこと,3つプロファイルが近接して重なっているので,確度はまだ高くはありません。それでも図1の"第5波8/07"とは極めてよく合致しており,前回と今回の解析の確度は高いと考えています。
 
プロファイル5Aは,変曲点が7月15日,R0は第4波よりも少し大きい1.57,環境収容力がおよそ34,400名です。5Bは,変曲点が7月31日,R0は2.86,環境収容力がおよそ26,000名です。5Cは,変曲点が8月16日,R0は1.86,環境収容力がおよそ130,000名です。5Aの最大の日感染者数は約700名,5Bは約1,700名,5Cは約4,000名です。これらが重なった8月4日には約4,130名,14日には約4,300名の最大の計算値となっています。東京都の最新のエピカーブ(発症日ごとの感染者数データ)を見ると,7月27日頃に最初のピークがあり,その後にやや大きなピークが認められます。 解析したプロファイルには,診断確定日ベースで7月31日(発症日に約4日を加算した日付)が5Bのピークなので,対応は良好です。
 
第5波のプロファイルの合計の累計感染者数(環境収容力。将来に現れる感染者数も含みます)は約202,000となりました。前回の合計は104,600名でしたので,この1週間で倍増し,約10万名の増加となりました。この増加は,図1の"第5波8/07"を越える分で,オリンピック開催開始後の1週間に感染した人に起因する数と考えられます。また,直近1週間の感染者数は約3万名で,10万名の増加分は今後にも大きな感染者数をもたらします。なお,第5波は第4波のプロファイルよりもはるかに大きい4.4倍です。
 
1. 東京都が8月14日発表の確定日別データ(8月13日まで)に基づく [図をクリックすると拡大]
  
図2に東京都の感染者数プロファイル解析の詳細を示します。第4波のプロファイル(日別感染者数はD f4 calc),第5波のプロファイルA(D f5A calc),プロファイルB(D f5B calc)とC(D f5C calc),これまでのすべてのプロファイルを合成した計算値(日別calc)を示しています。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')も図に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1.6となるように規格化した値です)。
 
図2. 東京都の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]
 
第5波BとCについての"τ×平均"と"τ×増加率"の2つの指標もプロットしてあります。"τ×増加率"は内的自然増加率の理論的な変化を表し,実際のデータからの"τ×平均"が,最適化で得られるτ×増加率をよく追随していれば,解析モデルと実際のデータの一致が良好であることを意味します。第5波プロファイルBとCはこれらの合致が良好で,感染の形態(変異株の構成が単一,など)が対象の期間にわたって一様であることを示唆していました。図の第5波Bについては,"τ×平均"と"τ×増加率"の値が初期の半分を過ぎる時点が変曲点なので,すでにピークを過ぎています。なお8月8-9日頃のこれら両者の指標の一致度は良い(連休の影響を避けるために重みを小さくしています)ので,連休の取り扱いと現在のパラメータは妥当と考えています。
 
解析では,できるだけ少ない数のロジスティック関数を用いて,関数の和として累積の感染者数へ最適化しています。用いているデータは暦日(日付,曜日,休日)についての過去の累積感染者数のみです。 したがって,予測ではありません。新たなプロファイルが現れた時には,過去のプロファイルからの乖離としてその出現を検知できます。プロファイルの確度は出現の初期には低く,おおむね変曲点を1週間を過ぎると信頼に値する確度になります。もちろん,新たな出現とその性状は見通すことはできません。また,結果も報告(公表)されるデータの性質と正確さに依存しています。結果の解釈は,結果を観る観点にも大いに依存していますので,ご留意ください。

図の見方は,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご参考ください。

[神奈川県]
 
神奈川県についての8月14日のNHKのデータ(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-widget/)による解析を図3(図1に相当)に挙げておきます。東京都と同様に,8月7日(図の"第5波8/07”)以降にプロファイルに変化がありました。オリンピック開催中の感染状況を反映しているはずです。 第5波Cの変曲点は18日で,東京都のものより3日遅れです。基本再生産数相当値は1.83で東京都と千葉県とほぼ同じ,環境収容力は約64,000名です。
 
3. 神奈川県が8月14日発表の日別データに基づきます [図をクリックすると拡大]

[千葉県]
 
千葉県についての8月14日のNHKのデータによる解析を図4(図1に相当)に挙げておきます。東京都と同様に,8月7日(図の"第5波8/07”)以降にプロファイルに変化がありました。週初の連休で少なかった感染者数が,週の後半に現れて感染者数が多くなっています。ほぼプラト―のピークですが,第5波の主要なプロファイル5Cの変曲点は17日で,東京都のものより2日遅れです。基本再生産数相当値は1.84で東京都と神奈川県とほぼ同じ,環境収容力は約30,000名です。
 
4. 千葉県が8月14日発表の日別データに基づきます [図をクリックすると拡大]

[埼玉県]
 
埼玉県についての8月14日のNHKのデータによる解析を図5(図1に相当)に挙げておきます。第5波はほぼ5Bのプロファイル1つで表され,7日のプロファイルとほぼ同じ内的自然増加率で増加傾向が長引きました。プロファイル5Bの変曲点は12日で,東京都の変曲点よりも4日早くなっていますが,まだ確定的ではありません。なお,東京都の5Bと5Cを1つのプロファイルで表すと変曲点は8日になり,やはり4日遅れです。基本再生産数相当値は1.82で東京都,神奈川県と千葉県とほぼ同じ,環境収容力は約48,600名です。
  
5. 埼玉県が8月14日発表の日別データに基づきます [図をクリックすると拡大]

2021/08/07

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [8月7日, 2021年]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [8月7日, 2021年]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [August 7th, 2021]

 
東京都が発表した確定日別の感染者数を用いて,感染者数のプロファイルを解析しました。2021年8月7日のデータによると,感染者数のピークはかなり早まって8月2日(報道発表の速報データの日付では3日)と得られました。実際に感染が最大となったのは7月26日頃となります。
 
前回のブログ(7月10日更新)の"東京都の感染者数プロファイルの解析"では,新たなプロファイル"第5波"を導入していました。東京都の感染者数のプロファイルを見ると,7月11日頃を境に,第5波の傾向に変化が見られ,増加傾向が著しくなりました。そこで,第5波が2つのロジステック関数のプロファイルとして,前回のプロファイルを5Aとし,さらに,5Bを追加して,累積の感染者数に対して関数のパラメータを最適化しました(先立つ第3波と第4波のパラメータも同時に最適化しています)。最適化の方法は従来の解析と同じです
 
ただし,7月22日から25日までの4連休の感染者数は少なく報告されることから,通常の日曜日の感染者数の比率(計算値に対する報告数の割合)に近くなるとまず仮定して解析を進め,その比率の挙動に注意しながら,次第に比率を更新された比率に置き換えました。この操作は報告数を計算値に対応させたことに等しいので残差が0に近くなります。これは,最小二乗法にこれら日々の値を含めない(あるいは重みをほぼ0にする)ことに相当します。この操作の後に,減少分を後日の増加分で補填する処理を行いました。その他の日々については,曜日ごとの過去の比率データで補正して曜日による変動を低減しています。これら操作により,ある期間の累計感染者数は実際の累計数とは乖離させないという条件を付しています(前回のブログにて説明しました)。なお,連休前の7月18日の時点での解析を図3として後方に挙げてあります。
 
図1は,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),本ブログの解析による日別の感染者数の計算値(日別calc),そして"再生産率"を挙げます。"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1でピーク(増加時。減少時には底の値),1よりも小さければ小さいほど減少・収束に向かう傾向が大きくなります。

第4波のプロファイルは,5月3日が変曲点(ほぼピークに相当)で,基本再生産数相当値(R0)は1.49,環境収容力(期間全体の累計感染者数)はおよそ46,000名です。これらのパラメータ値はこれまでのブログからは変化がほとんどありません。本ブログの日付は確定日ベースで,報道発表データ(当日分の数は1%程度,前日分が約80%,残りがその前の日付の分です)よりは概ね1日早くなります(報道発表の日付は1日を加える)。なお,実効再生産数は感染が生じた日が基準なので,"再生産率"を実効再生産数に対応させる際は,日付から7日を差し引いてグラフをご覧ください。
 
第4波プロファイルから乖離する感染者数の増加分が5月17日頃に現れだしました。6月12日の時点の解析では,増加分を反映する新たなプロファイルを第4波Bとして,その増加の傾向を指摘しました。6月26日の解析では,このプロファイルを"第5波"として,その特長を調べました。今回のプログでは第5波Aとしているこのプロファイルは,7月20日頃に変曲点(ピーク)に達しました。プロファイルの環境収容力(全期間の感染者数)は第4波のプロファイルよりは少し数が大きくなっています。
 
再生産率は,日別の感染者数が最小となった6月11日から1を上回りはじめ,第5波となりました。6月30日には再生産率は1.28まで増加し,ほぼ横ばいとなりました。これはプロファイル5Aが寄与したもので,"アルファ型"(イギリス型)の感染プロファイルを反映していると考えられます。
 
その後,7月11日頃から急激な増加を見せ始め,24日には1.73まで大きくなりました。これは1週間でおよそ1.7倍の日感染者を生ずる大きな値です。この様子を反映してるのがプロファイル5Bで,"デルタ型"(インド型)の感染力の強さと,出現の割合を示唆しています。その後は減少に転じ,8月2日には1を切ってピークを迎えたました。その後も,大きな感染者数が続いていますが,やがて急速な減少傾向に入るものと考えられます。この減少傾向は8月15日頃までは著しく,その後はやはり減少傾向にあるプロファイル5Aが効いてきて,やや緩やかな減少へと推移します。
 
第5波はまだ進行中なので,プロファイルの現在の値は暫定的です。とくに変曲点からの日数の経過はまだわずか4日で,しかも直前に4連休があったこと,5Aと5Bの2つプロファイルが近接して重なっているので,確度はまだ高くはありません(変曲点を過ぎておおむね1週間を過ぎると確度は高くなります)。
 
プロファイル5Aは,変曲点が7月20日,基本再生産数相当値(R0)は第4波よりも少し大きい1.54,環境収容力がおよそ49,700名です。5Bは,変曲点が5Aから13日遅い8月2日,基本再生産数相当値(R0)は2.60,環境収容力がおよそ58,000名です。5Aの最大の日感染者数は約900名,5Bは約3,300名です。これらが重なった8月2日には約4,020名の最大の計算値となっています。確定日データでは8月3日の値が約4,780名と見積もられ(公表値は暫定的で,まだ確定していません),曜日補正を施した解析での値の約4,730名とよく対応します。なお,報道された8月4日の速報データでは4,166名で,曜日を考慮すると約4,050名になりますので,解析との差は0.7%と僅かです。
 
第5波のプロファイルの合計の累計感染者数(環境収容力)は約104,600名となり,第4波のプロファイルよりもはるかに大きい2.3倍です。
 
東京都は7月12日に緊急事態宣言を発出し,その効果が現れるのは2週間後の7月26日以降と考えられます。プロファイルを見ると,26日以降にプロファイルのプラト―の見え始めていいますが,効果が顕著に現れているようには見えません。なお,今回の解析では第5波のピークを現時点では8月2日としていますが,その後もやや大きな感染者数が報告されています。ピークが高い状態がしばらく続き,ピークも数日は遅くなるかもしれません。
 
先の解析では8月中旬にピークが現れると予想していましたが,このように早期に減少に転じた要因としては,デルタ株の大きな基本再生産数相当値(急速な増大は速やかな減少につながる=感染者者の集団の多数を感染させてしまって,非感染者を減ずる飽和現象の効果),人々の対応,ワクチン接種の進行による効果,などが考えられます。 今後の状況には,緊急事態宣言の効果(有意に効果があればですが)が,減少の傾向を加速させていくのではないでしょうか。
 
1. 東京都が8月7日発表の確定日別データ(8月6日まで)に基づく [図をクリックすると拡大]
  
図2に東京都の感染者数プロファイル解析の詳細を示します。第3波のプロファイルC(日別感染者数はD f3C calc),第4波のプロファイル(D f4 calc),第5波Aのプロファイル(D f5A calc)と第5波B(D f5B calc),これまでのすべてのプロファイルを合成した計算値(日別calc)を示しています。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')も図に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1.6となるように規格化した値です)。
図2. 東京都の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]
 
第5波AとBについての"τ×平均"と"τ×増加率"の2つの指標もプロットしてあります。"τ×増加率"は内的自然増加率の理論的な変化を表し,実際のデータからの"τ×平均"が,最適化で得られるτ×増加率をよく追随していれば,解析モデルと実際のデータの一致が良好であることを意味します。既に終息の状態にある第4波プロファイルはこれらの合致が良好で,感染の形態(変異株の構成が単一,など)が対象の期間にわたって一様であることを示唆していました。図の第5波AとBについては,"τ×平均"と"τ×増加率"の値が初期の半分を過ぎる時点が変曲点なので,すでにピークを過ぎています。なお7月18日から26日頃のこれら両者の指標の一致度がやや悪く(連休の影響を避けるため重みを小さくしています),その後はその以前の延長に沿っているので,現在のパラメータは妥当と考えています。
 
解析では,できるだけ少ない数のロジスティック関数を用いて,関数の和として累積の感染者数へ最適化しています。用いているデータは暦日(日付,曜日,休日)についての過去の累積感染者数のみです。 したがって,予測ではありません。新たなプロファイルが現れた時には,過去のプロファイルからの乖離としてその出現を検知できます。プロファイルの確度は出現の初期には低く,おおむね変曲点を1週間を過ぎると信頼に値する確度になります。もちろん,新たな出現とその性状は見通すことはできません。また,結果も報告(公表)されるデータの性質と正確さに依存しています。結果の解釈は,結果を観る観点にも大いに依存していますので,ご留意ください。

図の見方は,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご参考ください。

[7月18日時点]
 
東京都は7月18日に速報の感染者数のみを発表し,確定日別データの発表はありませんでした。7月18日の速報データによる解析を図3(図1に相当)に挙げておきます。第5波Bを組み込んであり,急速な立ち上がりを示しています。変曲点は8月11日以降で,基本再生産数相当値は1.6,環境収容力は14万名余りでした。現在のパラメータは基本再生産数相当値は2.6と大きくなっており,これに対応して環境収容力の低減,変曲点までの日数の短縮がありました。
 
3. 東京都が7月18日発表の速報日別データに基づく [図をクリックすると拡大]

2021/07/10

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [7月10日更新; 2021年]

COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析 [7月3日,10日更新: 2021年]

Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [July 3rd and 10th updated; 2021]

 
東京都が発表した確定日別の感染者数を用いて,感染者数のプロファイルを解析しました。
本文は2021年7月3日のデータによるもので,10日のデータによる解析を追加・更新しました。6月の解析についても後述してあります。
 
[7月10日追加]  2021年7月10日に発表した確定日別データによる
 
東京都感染者数(7月10日までの確定日データ)では,第5波の傾向が先週に入って変わりました。 先週に入ってからの増分が影響し,ピークが7日間も遅くなっています。図5は図1に相当するものです。
 
第5波のプロファイルの累計感染者数(環境収容力)は約49,000名となり,第4波のプロファイルよりも大きく得られました。基本再生産数相当値(感染の始まりの再生産数)は1.54,変曲点(ピーク)は7月22日 となりました。9日時点での再生産率(実効再生産数相当値)は1.19で,1週間後は日別感染者数はおよそ1.2倍となるペースです。
 
この傾向に重みを付加したプロファイル(黒い破線)では,ピークが8月1日まで遅くなって,プロファイルからの累計数が第4波(環境収容力で約44,000名)の倍の約85,000名まで増えてしまいます。
 
図5. 東京都が7月10日発表の確定日別データ(7月9日まで)に基づく [図をクリックすると拡大]

図6は図2に相当します。東京都は6月21日までは緊急事態宣言の期間でした。それにも関わらず感染者数は増加の傾向にありました。 
 
図5のグラフを注視すると,6月27日からの週は日別感染者数はやや少なく,7月4日からの週は感染者数は多めになっています。まん延防止等重点措置に入って2週間を経過した先週の7月4日以降は増加のペースが大きくなっています。これにはデルタ株のまん延に起因しているかもしれません。
 
図6の"τ×平均2"に,減少と増加の様子がより明瞭に現れています。この増加のため,ピークが遅くなりました(まだ値が半減していないのでピークは未確定です)。第4波の"τ×増加率1"と"τ×平均1"は一致度が良好で,値も小さくなって,既に終息状態にあります。なお,図5の黒い破線は,7月4日からのデータについて,最小二乗法の重みを増して得たものです。
 
緊急事態宣言の期間中の感染者数増加の傾向にもかかわらず,延防止等重点措置に移行した結果として,延防止等重点措置の期間の3週間の感染者数への寄与は,7月11日に緊急事態宣言にまた戻ったとしても,今から2週間は続きます。その間には4連休,オリンピックの開始があります。連休が明けた後は,今年の新年の後,大型連休の後に見られたような,大きな日別感染者数の増大が現れるのでしょうか。一方では,ワクチン接種が進行し,その効果が徐々に現れるのではとの期待の気持ちもありますが,接種の効果は徐々に発現するものと思われます。
 
なお,東京都の過去の緊急事態宣言とまん延防止等措置の発出は,感染者数の減少にはほとんど効果が無いとの公的な定量的な評価(国立感染症研究所の解析チーム)があり,また,私自身のこれまでの解析からも同様に効果はほとんど無いとの所感です。7月下旬から8月上旬の推移は,最後の山場とも思われ,多大な留意と細心の対処が必要です。
 
図2. 東京都の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]
 
[7月3日]  東京都が2021年7月3日に発表した確定日別データによる
 
前回のブログ(5月29日更新)の"東京都の感染者数プロファイルの解析"では,第3波を4つのプロファイルA,B,CとDで表していました。第3波Bが年末年始に大きなピークとして現れた第3波の主要なプロファイルです。第4波はただ1つのプロファイルで表していましたが,6月に入って,第4波プロファイルでは記述しがたい感染者数の増加が認められたので,新たなプロファイル"第5波"を導入しました。
 
図1は,日別の感染者数(日別obs),その7日間移動平均値(日別ave),本ブログの解析による日別の感染者数の計算値(日別calc),そして"再生産率"を挙げます。"再生産率"は"実効再生産数"に相当する値で,1よりも大きければ大きいほど感染は拡大し,1でピーク(または底の値),1よりも小さければ小さいほど減少・収束に向かう傾向が大きくなります。
 
1. 東京都が7月3日発表の確定日別データ(7月2日まで)に基づく [図をクリックすると拡大]
 
第4波プロファイルを越える感染者数の乖離増加分が,5月17日頃に現れだしました。6月12日の時点では,増加分を反映する新たなプロファイルを第4波Bとして,その増加の傾向を指摘しました(図3として後述)。6月26日には,このプロファイルを"第5波"として,その特長を調べました(図4として後述)。今回のプログでは,第5波が7月12日頃に変曲点(ピーク)に達し,プロファイルの環境収容力(全期間の感染者数)が第4波のプロファイルよりは少し数が小さくなると考えられます。

第4波のプロファイルは,5月3日が変曲点(ほぼピークに相当)で,基本再生産数相当値(R0)は1.49,環境収容力はおよそ46,000名です。なお,本ブログの日付は確定日ベースで,報道発表データ(当日分は1%程度,前日分が約80%,残りがその前の日付の分です)よりは概ね1日早くなります(1日差し引く)。なお,実効再生産数は感染が生じた日が基準なので,"再生産率"を実効再生産数に対応させる際は,日付から7日を差し引いてグラフをご覧ください。
 
再生産率は,日別の感染者数が最小となった6月11日から1を上回りはじめ,第5波となりました。6月25日の1.27まで増加し,その後は減少し始めています。増加と減少のペースは第4波よりも早く,現在は1.21と依然として大きな値ですが,7月12日は1よりも小さくなってピークとなる見込みです。
 
第5波のプロファイルの現在の値は,変曲点が7月12日,基本再生産数相当値(R0)が1.65,環境収容力が32,000名です。現在はまだ変曲点に達していないため,これらの数値の確度は高くありません。変曲点を過ぎておおむね1週間を過ぎると確度はとても高くなります。7月12日の感染者数の計算値(平均の日別aveに近い)は710名で,7月22日には520名の6月26日頃の値に近くなります。なお,週内の曜日ごとの変動を考慮すると,日別感染者数は7月13日頃が最大で930名,6-9日と14-16日には850名程度の大きな数が算出されています。なお,報道発表ベースでは7月14日のように,プラス1日で,やや少なめの50名ほどを減じた数が見込まれます。
  
図2に東京都の感染者数プロファイルの詳細を示します。第3波のプロファイルB(日別感染者数はD f3B calc),プロファイルD(D f3D calc),第4波のプロファイル(D f4 calc),第5波のプロファイル(D f5 calc)と,これまでのすべてのプロファイルを合成した計算値(日別calc)を示しています。感染者数の累計値(累計obs')に計算値を最適化した結果(累計calc')も図4に示してあります(最新の累計感染者数で除して最大値が1となるように規格化した値です)。
 
今回の最適化解析では,確定日データとして報告される週内の感染者数が土,日,月曜日が少なめ,火,水,木,金曜日が多めになっています。これは週末に少なく診断,確定された感染者数が,その後の日々で補填される形で増えるためです(休祭日があると同様になります)。過去の曜日ごとの減少と増加を統計的に扱い,感染者数の減少と増加の変動を規格化し,変動率を週内で平均化するとほぼ1になります。これらを土曜日から金曜日まで積算すると,週内の変動はほぼ相殺されます。金曜日の累計感染者数は変動の影響を受け難いことから,金曜日の値は変更せずに,週内の変動を補填して補正しています。こうして補正した累計データから日別aveを計算し,図にプロットしています。この補正により,日別aveと日別calcの一致が著しく改善されています。なお,本ブログの解析での精密化は,累計感染者数に対して計算値を最小二乗法で精密化していることから,このような補正は得られるパラメータへは僅かな影響しか及ぼしていません。
 
図2. 東京都の感染者数プロファイルの最適化の詳細 [クリックで拡大]
 
第4波と第5波についての"τ×平均"と"τ×増加率"の2つの指標もプロットしてあります。"τ×増加率"は内的自然増加率の理論的な変化を表し,実際のデータからの"τ×平均"が,最適化で得られるτ×増加率をよく追随していれば,解析モデルと実際のデータの一致が良好であることを意味します。第4波プロファイルは,両者の値が0に近づいて既に終息の状態にあり,これらの合致が良好で,感染の形態(変異株の構成が単一,など)が対象の期間にわたって一様であることを示唆します。第5波については,"τ×平均2"と"τ×増加率2"の値が初期の半分を過ぎる時点が変曲点なので,まだピークには達しておらず,その日は7月12日頃と推定されます。

図の見方は,"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"をご参考ください。

[6月12日時点]
 
東京都6月12日発表の確定日別の感染者数で,その日の解析です。図3が図1に相当する解析結果です。
 
3. 東京都が6月12日発表の確定日別データ(6月11日まで)に基づく [図をクリックすると拡大]
 
第4波Aが第4波のプロファイルで,第4波Bが本日の第5波のプロファイルとなりました。
 
図の黒い破線の"第4波5/17"は,5月17日時点の解析で得た第4波のプロファイル("第3波D"と"第4波"の和)です。第4波Bが5月初めに現れても,第4波のプロファイルは6月11日の時点では"第4波5/17"とほぼ同じで,破線の"第4波5/17"よりも上の部分が第5波になっていること,上の部分がロジステック関数で表されることが判ります。この寄与は,既に日感染者数の半分を越えています。また,赤い矢印の箇所で増加傾向が明瞭に表れています。
 
[6月26日更新]
 
東京都6月26日発表の確定日別の感染者数で,その日の解析です。図4が図1と図3に相当する解析結果です。
4. 東京都が6月26日発表の確定日別データ(6月25日まで)に基づく [図をクリックすると拡大]
 
この時点で"第5波"として,このプロファイルが第4波に近い規模の感染を指摘しました。ただ,変曲点は6月19日頃,環境収容力は45,000名と得られました。基本再生産数相当値が1.58と小さく(緩やかに増減)算出されたことから,7月3日の結果と比べて,ピークが1週間遅れ,環境収容力が10,300名多く得られていました。