COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析
[8月24日]
Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [August 24th, 2020]
東京都が本日8月24日に発表した感染者数は95名です。100名を切ったのは,7月8日以来初めてです。確定日の8月23日分は63名,22日分は146名(26名追加)と少なくなっています。この2日分が発表分の大多数を占めています。
変曲点(日別感染数のピーク)は確定日ベースの8月1日3時となり,昨日からは1時間早まりました。ほぼ1週間前の変曲点の日時と同じ日時になっていて,8月1日1時頃を中心に3-4時間前後するという変動を示しています。変動幅はわずかですが,発表数が多ければ遅くなり,少なければ早まるという,最適化に付随する特性があります。
日別感染者数のプロファイルを見ると,変曲点の8月1日のピークを中心に左右対称になっています。7月23日に記した"COVID-19 感染者数プロファイルの計算モデルと見方"のプロファイルとほぼ同じ経過をたどっています。
政府の専門家の見解が報道されていますが,この解析のブログを書いている者としては,見解につていは少なからぬ違和感を覚えます。見立てが遅すぎること,緊張を強いるようなトーンであること,なによりも,将来の見通しがないこと,希望への光が感じられないこと,などです。プロファイルを見ていて,行政の掛け声が結果としてプロファイルに現れていない(接触の8割削減もしかり)と思えるのは私だけでしょうか。的確な情報が提供されないと,行政への信用,ひいては感染対策への参加姿勢が失われてしまうのではと危惧されます。
「グラフの見方」は図の下方に挙げてあります。
8月24日発表の東京都の確定日別データ(8月23日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大] |
グラフの見方
感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。
累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。
"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。
最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ
(tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。
日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。
これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。
"累計calc'","日別calc"と"τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。
日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc"と"τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率"と"τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。
"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。