COVID-19 東京都の感染者数プロファイルの解析
[8月13日]
Profile analyses of COVID-19 affected numbers in Tokyo [August 13th, 2020]
東京都が本日8月13日に発表した感染者数は226名です。確定日の8月12日分は135名と少なく,11日分は192名(64名追加)に増えました。10日分は119名(5名追加)に変更されましたが,数が少ないことに変わりはありません。
緑の実線の"日別calc"よりも"日別obs"が少ない日が続いています。そのため,"τ×平均2"はこれまでの経過よりも値が小さくなっています。連休で少なった数が明金曜日にどのように影響が現れる注目です。変曲点(日別感染数のピーク)は確定日ベースの8月1日0時で,昨日の解析よりも約16時間早まっています。日々の発表数のばらつきが大きいため,変曲点は7月31日と8月1日を中心に多少の前後することがあるでしょう。
現在の状況は7月23日の"感染者数プロファイルの計算モデルとグラフの見方"とほぼ同じです。感染者数プロファイルには大きな変化はなく,収束の傾向は続いています。
ブログで解析している変曲点などの日時は発表日または診断確定日(東京都)を基準としています。実際に感染が生じたのは,これらの日付の概ね7日前から9日前になります。 変曲点から12日間を経過しているので,感染のリスクは現在は相当に低下しているはずです。
お盆を迎えると発表される感染者数が少なくなり,お盆後には大きく増えると予想されます。それでも,実効再生産数が既に1/3まで低下しているので,プロファイルの大勢にはあまり影響しないでしょう。
「グラフの見方」は図の下方に挙げてあります。
8月13日発表の東京都の確定日別データ(8月12日まで)に基づいています [図をクリックすると拡大] |
グラフの見方
感染確定日データの日別の感染者数の累計が,"累計obs"です。ただし,最新の値で割って,最大値が1となるようにした"累計obs'"をグラフにプロットしています。
累計obsに合致するようにロジスティック関数を最適化し,最適化した関数による計算値が"累計calc"です。この値を最新の累計obsで割った"累計obs'"と"累計calc'"をプロットしています。最新の"累計obs'"は1です。
"日別obs"は,日別の感染者数です。最適化した関数から計算される日別の感染者数が"日別calc"です。
最適化した関数から計算される内的自然増加率 r から計算される実効再生産数が,"τ×増加率"です。ここでの τ
(tau) は,感染者が感染させてしまう平均日数で,値は7を採用しています。初期の頃の"τ×増加率"に1を加えた数が基本再生産数に対応すると考えられ,東京都の第1波では2,第2波では1.55程度です。
日別の感染者数から見積もることができる"τ×増加率"に相当する値について,素のデータが曜日ごとのばらつきが大きいため,7日間の移動平均をとった値が"τ×平均"です。第1波について"τ×平均1",第2波について"τ×平均2"としています。最新の3日間では7日間移動平均が適用できませんが,動向を把握するために,最新日は実際の値そのもの,前日では3日間の,前々日では5日間の移動平均を採用しています。そのため,最新日と前日の値の変動の幅は大きくなっています。
これら"τ×平均"は関数モデルが妥当ならば,"τ×増加率"に次第に合致するはずです。"τ×平均1"は第1波の"τ×増加率"によく沿っていて,"τ×平均2"は変化しながらも第2波の"τ×増加率"に追随しています。
"累計calc'","日別calc"と"τ×増加率"は日付を指定すれば計算できるので,数日後の値もプロットしています。
日別感染者数がピークに達するとき,"日別calc"と"τ×増加率"は変曲点に来ます。変曲点に来ると"τ×増加率"が初めのころの値の1/2となります。"τ×増加率"と"τ×平均"が次第に小さくなって,半分となる時期が感染のピークです。このときの累計感染者数を2倍すると,最大値になります。
"日別calc"はピークを挟んでグラフでは左右対称となります(偶関数です)。ピークの前と後では日別感染者数,および,その累計値(こちらは奇関数)はほとんど同じ値になります。